東京海上J-REIT投信(通貨選択型) ブラジルレアルコース(毎月分配型)/ 東京海上アセットマネジメント投信

東京海上アセットマネジメント投信/東京海上J-REIT投信(通貨選択型) ブラジルレアルコース(毎月分配型)
オススメ度:
2
運用会社:
東京海上アセットマネジメント投信
商品名:
東京海上J-REIT投信(通貨選択型) ブラジルレアルコース(毎月分配型)
地域/決算:
日本 / 年12回(毎月分配型)
対象資産:
不動産投信
基準価額:
6,302円(2012年9月26日付け)
手数料:
3.0%(最安申込手数料 ※野村證券) 0.65%(信託報酬)

東京海上J-REIT投信 レアルは目を疑う利回りだがレアルが心配!

この投信は、Jリートに投資し分配金を出している投信だ。Jリートは2001年に開始した比較的新しく、個人投資家でも購入経験のない人もいるだろう。ただ、世界のリート市場においての市場規模は、米国に次いで高く、世界の10%を占めるまで拡大した。とはいえ、2011年からの首都圏での大規模案件の竣工ラッシュが一段落し、国内投資家(特に企業年金)がJリートへの投資に消極的な姿勢を保持していることから、頭打ち感も否めない状況にある。

さて、この投信の純資産額はJ-REIT型の投信の中で、三井住友Jリートに次ぐ600億円に近い規模を誇る。ただ、ナンバー2とはいえトップとは倍以上の差がある。人気は三井住友に偏っているといえる。また、過去1年の分配履歴は毎月120円で、分配開始した2011年1月から維持している。

東京海上J-REIT投信(通貨選択型) ブラジルレアルコース(毎月分配型)の基準価額(基準価格)及び純資産の推移チャート

まず基準価額だが、2011年からの欧州債務問題で世界的なリスクオフ志向で下落傾向が続いていた。2012年の2月には日銀の追加金融緩和(バレンタイン緩和)では、リート買い入れの増額は無かったが、市場環境の改善を期待してか大きく回復した。ただし、その後は米国・中国経済の失速懸念等で伸び悩んでいる。今後も6,000円台をキープするのが精一杯の可能性が高い。

純資産も同様に減少・増加しているのだが、2月からは基準価額ほど減少していない。投資家からの追加の買い入れがあったのかもしれない。

東京海上J-REIT投信(通貨選択型) ブラジルレアルコース(毎月分配型)の組み入れ上位銘柄及びタイプ別の比率

種別比率では、他社Jリートと同様にオフィスがトップだが、全体の4割近い比率は他社よりも高めだ。上位組入銘柄では、日本ビルファンド、ジャパンリアルエステートと他社と大きくは異ならない。

最も比率が高い「日本ビルファンド投資」は、日本で最初に上場した不動産投資法人で、その資産規模もJリートでは最大で、実質トップのJリートだ。所有する物件は他のJリート同様に首都圏のオフィスが大半だが、テナントには三菱重工・新日鉄・アフラック等の有名企業が名を連ねる。純利益は2009~2010年は120億円から83億円まで減少し苦戦したが、2011年からは反転攻勢をかけ、94億円まで回復している。しかし、分配金は一時期の2万円まで戻すには程遠く、現在は1万5千円程度で横バイが続いている。あまり良い状況とはいえなそうだ。

東証リート指数・東京オフィスビル供給量の推移

まずブラジルレアルの現在と見通しだが、ブラジル政府はレアル高抑制に動いているが、世界的な金融緩和の流れでレアル高が進んでいる。しかし、対円では直近1年でも45円から40円を切る水準まで円高が進行し、5年前の70円の見る影もない。これは、この投信のパフォーマンスの重しであることは確実だ。日銀の金融緩和云々もあるが、世界的なリスクオフ志向からの、安定資産である円への資金流入が止まらない限りは厳しい状況が続くだろう。

一方で、Jリート指数に目を移すと、東証全体の株価を表すTOPIXが伸び切れない中、早々に2012年のピーク時まで回復する強さが見られる。指数自体は堅調といえる。しかし、2012年以降は大規模案件の竣工がストップするため一抹の不安がある。ただし、供給が減る分だけ賃料に回復の兆しが見えれば、この投信にもプラス要素になる。

次に、他社のJリート型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額、手数料、信託報酬、利益、分配利回り等を比較した。「利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額」
加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。

計算上での考え方は「前年比で基準価額がマイナス5%とすると、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額した場合、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」
※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。

商品名 三井住友
J-REIT
リサーチ
東京海上
J-REIT投信
レアル
新光投信
J-REITオープン
DIAM
J-REITオープン
オーナーズ
野村
日本不動産投信
基準価額 6,028円 6,302円 5,063円 4,465円 3,947円
増減率 -2.8% -11.0% -5.7% -6.7% -1.5%
手数料 2.0% 3.0% 0% 1.0% 3.0%
信託報酬 1.05% 0.65% 0.68% 1.05% 0.88%
信託財産
留保額
0.5% 0.5% 0.5% 0% 0.5%
分配利回り 11.9% 22.2% 15.9% 12.4% 8.2%
3年分の
利益額
331,688円 630,997円 472,329円 361,635円 212,226円
100万で
3年運用
※基準価額増減考慮
1,249,861円 1,335,637円 1,311,845円 1,174,127円 1,168,689円
最終予想
利回り
7.72% 10.13% 9.47% 5.50% 5.33%
Jリート型の投信の比較表(三井住友J-REITリサーチ・東京海上J-REIT投信レアル・新光投信J-REITオープン・DIAM J-REITオープン オーナーズ・野村 日本不動産投信)

上図の通り「東京海上J-REIT投信 レアル」は、分配金だけの利回りでは22%と驚異の利回りで他社Jリートを圧倒している。信託報酬も最安でパフォーマンスに寄与しているといえる。しかし、基準価額が1年前の7,082円から現在の6,302円まで、10%以上の下落をしている。結果的に、基準価額の増減を加味すれば実質の予想利回りは10%となる。とはいえ、この数字でも他社よりは優秀なのは間違いない。円高は進んでいるものの以前として先進国よりは金利が高いレアルでのヘッジが上手く作用しているのだろう。一方で、購入手数料が3%と高めな点には注意しておきたい。たかだか3%と侮るなかれ、500万円分の購入をしようとすれば15万円の手数料だ。これを相殺するだけでも利回りは大きく損なわれているのは確実だ。

最後に結論だが、予想利回りはトップのため数字を重視するなら間違いなく検討すべき投信だ。ただし、10%という高い数字の裏にはレアルが潜んでいるため、今後のレアルの動向次第では分配金が大きく動く可能性がある。また、大きな利回りの一方で、他社Jリートよりも大きく基準価額を削っていることも確かで、現在の600億円程度の純資産額で、いつまで分配金を維持できるか?という不安がある。長期ではなく数年程度の中期での保有を考えるのも良いだろう。また、下落し続ける基準価額が不安になる人は、精神衛生上のことを考えれば他のJリートを検討した方が賢明だ。その場合には、下げ幅が小さいわりにパフォーマンスが良好で、純資産額もトップの三井住友Jリートを選択するのも良いだろう。