投信・預金/資産運用 解説・用語集
信託財産留保額は残った投資家のための手数料?
信託財産留保額とは、投信の解約時に個人投資家が支払う費用を意味する。一部の投信は購入時に徴収されるものもある。概ね換金額の0.3~0.5%に設定されているものが多いが、無料にしている投信もある。
同じく購入前後に支払う募集・販売手数料や解約手数料が、単に販売会社の収益になるのに対して、信託財産留保額で支払った金銭は投資信託の財産に戻され、基準価額や分配金に反映される点で大きく異なる。信託財産留保額の主な目的は、運用資産の売却のコスト負担を公平化することにある。通常、個人投資家が解約を申し込むと、ファンドは解約代金に充てるため投資している資産を売却しなければならず、その際には取引に手数料を支払っている。それを解約していない他の投信保有者に負担させるのは筋違いであり、解約する個人投資家に費用を負担してもらうのが本筋となる。その費用が信託財産留保額という名称で支払っている費用の主な使い道だ。
また、副次的ではあるが、信託財産留保額には短期解約を防ぎ安定運用を図る意味もある。これは、予期せぬ短期解約が頻出すると投信の安定運用に支障を来たすため、これを防止するために一種のペナルティとして信託財産留保額を設定しておくということだ。どちらにせよ、投信のフェアな費用負担、安定運用を目的としていることには変わりない。
個人投資家としては、必要不可欠な諸経費の1つであり、支払うことには納得せざるを得ないが、それでも安価に越したことはない。手数料の3~5%よりも安価とはいえ、0.3%でも1,000万円なら3万円となり軽視はできない。これが利益が出ている投信を解約するのなら問題はないだろうが、損失が出ている場合には損失を少しでも減らしたいのが人情でもある。そのため、同タイプの投信の何れかを購入するか迷っている場合などは、購入前には交付目論見書などを確認し、手数料と併せて信託財産留保額が安価か無料なものを選んでおくのも手だ。