投信・預金/資産運用 解説・用語集
ヘッジファンド型投信で相場を騒がすヘッジファンドに投資?
ヘッジファンド型投信とは、上昇相場でも下落相場でも収益が出るためのロング・ショート戦略や、市場全体の影響を受けにくいマーケットニュートラル戦略を駆使し収益を狙う投信を意味する。従来は、機関投資家や一部の大口の富裕層、年金基金のみが購入できたヘッジファンドを、個人向けの投資信託に設定したものでもある。
基本的にヘッジファンドは投資理論・金融工学に基づいてプログラミングされたルールに沿って、システム運用でコンピューターが高速取引を行う。その際には株式・債券・商品・為替といった多様な投資対象で、買い(ロング)と売り(ショート)を組み合わせて運用される。
現在では、ロング・ショート運用とマーケットニュートラル運用以外にも、政策を重視し経済指標の予想に伴ってレバレッジをかけて大きくポジションを傾けるグローバルマクロ運用を採用するファンドも多い。個人向けのヘッジファンド型投信でも、どの投資理論・金融工学を用いるかという差異はあれど同様の仕組みとなっている。
現在、個人投資家が購入できるヘッジファンド型投信では、例えば、世界最大の資産運用会社であるブラックロックが運用する「サイエンティフィック・エクイティ・ファンド」という米国株でロング・ショート戦略で運用する投信がある。世界最大の資産運用会社が運用しているわりには、基準価額は設定時の10,000円を割り込んでおり、ヘッジファンドが絶対ではない証明といえる。
実際、ヘッジファンドといえど長期で市場の動きと異なり上昇を目指すため長期で考える必要があるが、決して何時でも利益が出ているわけではない点に個人投資家は注意をすべきだ。さらに、ヘッジファンドの発祥地であるアメリカでも、ヘッジファンドは二極化しており、吸収されるファンドも多いなど、必ずしも収益が出ているわけではない。
個人投資家としては、通常以上にファンド選びが重要なタイプの投信であり、かつ信託報酬も高額な点に注意したい。指数に連動しがちな投信が多い中で、指数と異なる動きをするヘッジファンド型投信は、あくまでリスク分散の一環の投信と考えるべきだろう。