投信・預金/資産運用 解説・用語集
個人向け国債はメリット小・デメリット小!
個人向け国債は、2003年に発行が始まった日本政府が発行する国債だ。国債は、満期まで保有して償還となると債券の額面通りの金額が受け取れ、償還までの間には利子が受け取れる仕組みになっている。円建てのため償還まで保有すれば、元本が保証された金融商品ということになる。もちろん、日本政府が債務不履行(デフォルト)となれば債券は紙クズとなるが、今のところは可能性は極めて低い。
個人向け国債が通常の国債と異なるのは、最低購入額が1万円からと低額で、満期前でも政府による債券額での買取りがある点だ。通常の国債は億単位での売買であり、1万円から購入できるのは手軽に分散投資ができるのはメリットといえよう。また、政府による買取も流動性リスク(売りたくても売れない or 足元を見られる)といった懸念がなくなるため、こちらもメリットといえよう。
さらに変動利付け国債を選択すれば、受け取れる利子は市場の金利情勢の影響を受ける。そのため金利の上昇局面では受け取れる利子が大きくなる。もちろん、逆に金利が低下傾向にあれば利子は少なくなる。日本国債は長期的に下落傾向にあるため、金利上昇は期待しにくい状況ではある。そのため個人向け国債でも変動利付け債の方が不利(利子収入が年々減っていくため)で、固定利付け国債の方が有利(利子が一定のため)といえる。
だが、金融政策や財政次第で一度上昇すれば暴騰するとも囁かれている日本国債だけに、一縷の望みは無くはない。そうなれば、ローン金利などの貸出金利に影響するため、経済的には破滅的な状況になっているかもしれないが。。。
他方のデメリットとしては、そもそも金利が低い点が挙げられる。5年で0.05%は普通預金や定期預金(キャンペーンもの除く)よりは高いが、他の元本保証ではない金融商品とは比べ物にならない。日本銀行が掲げるインフレ2%は相当に無理な感が否めないが、仮にインフレ2%となると個人向け国債で得られる利子などは、損を軽減するに留まるだけとなる。
また、政府による個人向け国債の買取りだが、満期前の中途換金でも債券の額面通りに買い取ってはくれるが、その際に利子が差し引かれた額になるため注意が必要だ。中途換金の場合には、それまでに受け取った利子の大半は無くなると考えた方がいい。具体的には、変動利付け国債なら直近2回分の利子、固定利付け国債の3年ものなら直近2回、5年ものなら4回分が額面から差し引かれて政府に買い取ってもらうことになる。
以上のようにメリット・デメリットがあるため、自分の投資状況に鑑みて個人向け国債を購入するか否かを決定するといいだろう。資産を預金・定期預金に固めているなら個人向け国債にも振り分けて元本保証でも利益が稼げる。逆にリスクが高い資産が多めなら、安定度の高い個人向け国債に多少なりとも振り分ければリスクヘッジができる。その反面、資産構成で既にリスクとリターンのバランスが取れている人は、無理に個人向け国債に手を出す必要はないだろう。