ピクテ・プレミアム・ブランド・ファンド(3ヵ月決算型) / ピクテ投信投資顧問
- オススメ度:
- 運用会社:
- ピクテ投信投資顧問
- 商品名:
- ピクテ・プレミアム・ブランド・ファンド(3ヵ月決算型)
- 地域/決算:
- 海外 / 年4回
- 対象資産:
- 株式
- 基準価額:
- 10,176円(2012年12月21日付け)
- 手数料:
- 2.0%(申込手数料 ※マネックス証券) 1.50%(信託報酬)
ピクテ・プレミアム・ブランド・ファンドは投資方針のブランドへ投資が魅力
この投信は、ブランド力のある海外企業の株式に投資し運用している。ブランド力=プレミアムブランドの定義は、ブランド自体が消費者に幸福感を与え、高価格帯の商品でも購入される商品を持つ企業のようだ。具体的な企業は後述する。さて、過去の分配金履歴を振り返ると、2010年~2012年は分配金は0円だった。ただし、後述のチャートを見ると、累積投資額(分配金込みの基準価額)と基準価額に差があるため、2006年か2007年には分配金を出していたことは確実だ。現在は落ちすぎた基準価額を戻すことに注力しているのだろう。
さて基準価額だが、他社の海外株式型の投信と同様に近1年は上昇している。市場環境では米国市場が回復したのと、ブランドの多いフランスの株式市場が堅調だったのがプラスに働いたのだろう。為替が円安に振れたのもプラスだ。ただし、10,000円台に戻った2012年も分配金が0円ということは、過去の高値であった12,000を超えないと分配を再開しないのかもしれない。
純資産は、他社と異なり減少が止まっているのは心強い。さすがに現在の400億円程度からピークの1,000億円まで戻すのは困難だろうが、今後のパフォーマンス次第では、個人投資家からの再注目を浴びる可能性は否定できない。
組み入れている株式だが、業種ではブランド力が如実に業績にも反映されるアパレルの比率が高く、次いで小売が高い。小売といっても、アルコール飲料などの嗜好品に近い小売だ。国別では、他社の海外株式型の投信と同様に米国がトップだが、ブランドが多いフランスがナンバー2というのは特徴といえる。
個別の株式銘柄を見ると、トップの「フィナンシエール・リシュモン(Financiere Richemont)」は、日本でも知名度が高いカルティエやピアジェといった宝飾品のブランドと、IWCやモンブランといった時計や万年筆といった紳士向けのブランドまで展開している持ち株会社だ。株価は2010年時には30ポイント前後だったが、現在は70ポイントを超えて2倍に膨らんでいる。次いで時計のスウォッチ、メンズのアウトドアルックな衣服が特徴的なトミーフィルフィガーのPVH、スポーツウェアのナイキ、ギネスなどの特徴的な黒ビールを展開するディアジオが並んでいる。
今後の見通しだが、投資比率がトップの米国経済は、緩やかな回復の途上にある。住宅着工件数が底打ち、失業率の改善、小売売上高が微増というプラス要因の反面、企業の景況感や製造業の指数が振るわない。これらの数値が上昇してきたなら、本格的な好景気に入ると考えられる。特に、この投信はブランド品を展開するアパレルブランドへの投資比率が高く、小売売上高が今後も上昇することがパフォーマンスの上昇に大きく寄与するだろう。ただ、米国を筆頭とした先進国での売上が振るわなくとも、最近の高級ブランドは中国を始めとした新興国で大きく売上を確保しているため、新興国の中間層が成長する限りは、一定程度の成長は見込めるともいえる。それが業績と株価にも反映されている。着目点の良い投信ともいえそうだ。また、米国経済情勢については「野村ドイチェ・高配当インフラ株」「ピクテ・グローバル・インカム」等も参照してほしい。
次に、他社の海外株式型の投資信託(純資産ランキングで上位)と基準価額・手数料・信託報酬・利益(利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額)・分配利回り等を比較した。加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。 計算上は「前年比で基準価額がマイナス5%なら、1~3年後も5%ずつ減額すると仮定し、3年分の分配金を足すと元金100万円はプラスか?」※増減率は基準価額が1年前から何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。
商品名 | ピクテ グローバルインカム 株式ファンド |
ピクテ 新興国インカム ファンド |
野村ドイチェ 高配当インフラ株 レアル |
大和 グローバル高配当 オープン |
ピクテ プレミアムブランド ファンド |
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基準価額 | 4,347円 | 4,536円 | 8,178円 | 3,998円 | 10,176円 |
増減率 | -4.5% | +0.4% | -4.0% | +13.3% | +19.3% |
手数料 | 2.0% | 2.0% | 3.5% | 0% | 2.0% |
信託報酬 | 1.10% | 1.15% | 0.83% | 1.08% | 1.50% |
信託財産 留保額 |
0% | 0.5% | 0.5% | 0% | 0.5% |
分配利回り | 12.7% | 18.7% | 18.2% | 1.9% | -1.5% |
3年分の 利益額 |
361,079円 | 535,738円 | 507,367円 | 57,645円 | -45,000円 |
100万で3年運用 ※基準価額 増減考慮 |
1,231,966円 | 1,546,395円 | 1,392,649円 | 1,512,912円 | 1,627,194円 |
最終予想 利回り |
7.2% | 15.6% | 11.6% | 14.8% | 17.6%? |
上図で「ピクテ・プレミアム・ブランド・ファンド」を比較したが、特筆すべきは基準価額の上昇幅が他社と大差でトップという点だ。分配金が0円という点を差し引いても(他社では基準価額は変動なしで分配利回りは18%程度)、ここまでの差は前述した「フィナンシエール・リシュモン」などの組み入れた株式が躍進したのが功を奏している可能性が高い。問題は、このパフォーマンスが2013年・2014年と維持できるかという点だが、チャート上では上下はあれど、確実に上向き続けている点から期待は持てる。やはりブランド力のある商品に憧れる新興国の中間層を獲得している企業は強い。為替が大きく円高に向かわなければ、今後も躍進する可能性は大だ。最終予想利回りは最高で計算値の17%、為替の影響を受けて凹んでも5~6%は維持できるのではないだろうか。
結論としては、構成されている銘柄に魅力があり、今後のパフォーマンスも期待できるためオススメできそうな投信といえる。ブランドが確固たる地位があれば、高額商品でも手を出すのは世の常でもあり、収入が年々増加している新興国の中間層を獲得しているのも、今後も市場が拡大して売上拡大に繋がる。さらにポジティブな点としては、ブランドといっても自動車・電化製品等はリコール・不良品で大きな問題となり株価も下落する懸念があるが、そういった懸念がアパレルでは起こりにくい。やはり投資方針は非常に魅力的な投信といえる。ただし、投資方針と投信のパフォーマンスは別だ。急激に純資産が減少するような気配が出始めたり、アパレルの生命線である原料・素材の価格が急騰するといった状況が出てくれば、投信のパフォーマンスを大きく下げる可能性がある。その点には注意したい。