ダイワ/ハリス世界厳選株ファンド (ハリス厳選株) / 大和証券投資信託委託

大和証券投資信託委託・ダイワ/ハリス世界厳選株ファンド (ハリス厳選株)
オススメ度:
2
運用会社:
大和証券投資信託委託
商品名:
ダイワ/ハリス世界厳選株ファンド (ハリス厳選株)
地域/決算:
海外 / 年1回
対象資産:
株式
基準価額:
10,213円(2012年12月21日付け)
手数料:
3.0%(申込手数料 ※大和証券) 1.80%(信託報酬)

ダイワ/ハリス世界厳選株ファンドは期待は大きいが今からでは?

この投信は、PER/PBRなどの指標から割安の海外株式を探して投資し運用している。2011年4月に誕生した投信で歴史は浅く、分配も今では珍しい年1回という点に注意したい。また、2012年4月に初の決算を迎えたが分配金は0円で、今後もスタート時の1万円を大きく超えてこなければ、分配金は出なそうだ。また、投資している企業の業種は情報通信・サービス・金融と幅広いが、地域別では米国が約50%、スイスが約20%と2国の株式市場に大きく影響される。

ダイワ/ハリス世界厳選株ファンドの基準価額及び純資産の推移チャート

さて基準価額だが、スタートした2011年から大きく下げ、その後は8,000~10,000円以下の圏内を行ったり来たりしている。下落に関しては、市場環境の悪化もあるが、大きく円高に振れたのが原因と考えていいだろう。2012年後半は両者が改善傾向にあるために上昇してきた。この勢いなら11,000円までは行けるかもしれない。

一方で純資産は減少が止まらない。解約は1億円を超えているが、それでも軽微なはずで、ここまで減少しているのは妙な展開だ。。。

大和証券投資信託委託・ダイワ/ハリス世界厳選株ファンドの国別比率・業種比率・上位構成の株式銘柄

組み入れている株式だが、米国・スイスの企業、資本財・情報通信の比率が高い。他社はエネルギー関連が高比率のため特徴的ともいえる。

個別銘柄でトップの「Credit Suisse」は日本でも展開しているクレディスイス銀行だ。プライベートバンキングが主力だが、株価は2011年は40円近辺だったが、2012年は20円台を低迷している。この投信で確実に足を引っ張っている銘柄だ。3番手の「SnapOn Inc」は、米国・欧州・アフリカで展開するペンチやスパナ等の日曜大工や自動車整備の工具を扱う企業だ。株価は2011年には60円近辺だが、2012年には80円まで急伸している。こちらはパフォーマンスに大きく貢献していそうだ。

今後の見通しだが、投資比率がトップの米国経済は、緩やかな回復の途上にある。住宅着工件数が底打ち、失業率の改善、小売売上高が微増とプラス要因はあるが、企業の景況感や製造業の指数が振るわない。これらの数値が上昇してきたなら、本格的な好景気に進むといっていいだろう。また、米国の経済情勢については「野村ドイチェ・高配当インフラ株」「ピクテ・グローバル・インカム」等も参照してほしい。

次に、他社の海外株式型の投資信託(純資産ランキングで上位)と基準価額・手数料・信託報酬・利益(利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額)・分配利回り等を比較した。加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。 計算上は「前年比で基準価額がマイナス5%なら、1~3年後も5%ずつ減額すると仮定し、3年分の分配金を足すと元金100万円はプラスか?」※増減率は基準価額が1年前から何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。

商品名 ピクテ
グローバルインカム
株式ファンド
ピクテ
新興国インカム
ファンド
野村ドイチェ
高配当インフラ株
レアル
大和
グローバル高配当
オープン
ダイワ/ハリス
世界厳選株
基準価額 4,347円 4,536円 8,178円 3,998円 10,213円
増減率 -4.5% +0.4% -4.0% +13.3% +31.1%
手数料 2.0% 2.0% 3.5% 0% 3.0%
信託報酬 1.10% 1.15% 0.83% 1.08% 1.80%
信託財産
留保額
0% 0.5% 0.5% 0% 0%
分配利回り 12.7% 18.7% 18.2% 1.9% -1.8%
3年分の
利益額
361,079円 535,738円 507,367円 57,645円 -54,000円
100万で3年運用
※基準価額
増減考慮
1,231,966円 1,546,395円 1,392,649円 1,512,912円 2,171,185円
最終予想
利回り
7.2% 15.6% 11.6% 14.8% 29.4%?
海外株式型投資信託の比較表(ピクテグローバルインカム株式ファンド・ピクテ新興国インカムファンド・野村ドイチェ高配当インフラ レアル・大和グローバル高配当オープン・ダイワ/ハリス世界厳選株ファンド)

上図で「ダイワ/ハリス世界厳選株ファンド」を比較したが、まず特筆すべきは基準価額の上昇幅がトップという点だ。米国の株式市場は全体的に回復した感もあるが、それ以上に円安が進行したのが2012年後半の躍進に繋がった。ただ、こういったファクターは他社も同様で、分配金が0円という点を差し引いても(他社では基準価額は変動なしで分配利回りは18%程度)、ここまで他社との差が開いたのは、組み入れている企業の株式の幾つかがファンドマネージャーの読み通りに躍進した可能性が高い。この点は素直に評価できる。問題は、このパフォーマンスが2013年・2014年と維持できるかということだ。上昇があれば下落もあるのが、株式市場と為替市場の常といえるため、右往左往はあるはずだ。実績から計算した予想の範疇を大きく超えてしまうが、最終予想利回りは良くて20%、悪ければ9,000円を切ってマイナスと考えるべきだろう。

結論としては、かなり投機的な投信といえ、マイナスもやむなしと割り切って購入するなら悪くない。ただし、市場環境が良好な時に購入するのではなく、市場環境が悪化した際に購入すべきともいえる。2012年後半からは市場環境がドン底ではなく上向いているため、今からの購入は大きなフパフォーマンスの上昇は期待できないが、一定程度の利益は出る可能性がある。そういった視点なら購入は悪くない。しかし、安定した運用を希望する人や、分配金を年金の補填にしたいような人にはオススメできそうにない。