UBS ブラジル・レアル債券投信(毎月分配型)/ UBSグローバル・アセット・マネジメント

UBSグローバル・アセット・マネジメント/UBS ブラジル・レアル債券投信(毎月分配型)
オススメ度:
1
運用会社:
UBSグローバル・アセット・マネジメント
商品名:
UBS ブラジル・レアル債券投信(毎月分配型)
地域/決算:
ブラジル / 年12回(毎月分配型)
対象資産:
債券
基準価額:
7,129円(2012年9月3日付け)
手数料:
3.5%(最安申込手数料 ※野村證券) 1.62%(信託報酬)

UBSブラジル・レアル債券投信は、もはや息絶え絶えの状況に入った?

この投信はブラジル債券に投資し分配金を出している。投資対象としてのブラジル人気は2008から2009年にピークを迎え、現在は以前ほどの過熱感は無い。メガバンクの投信販売ランキングを見ても、ブラジル関連の投信は7~8位に散見される程度だ。この投信も人気も表す純資産が以前ほどの増加を見せていない。明らかに人気に陰りが見えている。また、分配履歴を振り返ると、2009年から2012年5月までの分配金は55円だったが、現在は35円に減額した。ここまで純資産が細っている中では上出来かもしれない。

UBS ブラジル・レアル債券投信(毎月分配型)の基準価額及び純資産の推移チャート

まず基準価額だが、他社が2010年近辺から明らかに下落が始まっているが、この投信は2011年夏まで横バイを維持していたのは評価できる。しかし、それ以降は他社同様に反発する場面があったが再び大きく下落した。累積投資額(分配込みの基準価額)でも1万円を割り込み、2008年の人気沸騰時に購入した人は損は確定的になっている。

純資産は他社より減少幅が大きく目も当てられない状況だ。2008年時の2,500億円から現在の300億円まで10分の1まで減っている。毎月分配型の投信は純資産を削って分配金を出し続ける性格が強く、ここまで減少すると、さらなる分配減額は目前といっていいだろう。

UBS ブラジル・レアル債券投信(毎月分配型)の組み入れ上位銘柄

この投信の構成比率だが、国名は割愛されているが、全てブラジル国債が占めている。ただし、他社より圧倒的に少ない9銘柄で運用している。もはや純資産が細っている今、多くの銘柄に分散投資するのが困難なのかもしれない。

その内訳は、インフレが進行することで元本と利息が増すインフレ連動債の比率が高い。次いで購入額と債券額面の差額で利益を出す割引債が続く。デュレーションも2年と他社と同等で特徴は見受けられない。

今後の見通しだが、GDPや政府の経済対策から見たブラジル経済は「ブラジルボンドオープン」、金利・インフレなどからのブラジル経済は「新光ブラジルボンド・ファンド」を参照してほしい。基本的には、かろうじて好調を保っているように見えるが、その実、不安要素は多々存在している。特に金利低下が続いていることで、この投信にも利子収入が減った分だけパフォーマンス低下を招いている。さらに輸出を助けるべく政府が行っているレアル安の施策は、この投信はレアルから最終的に円に交換しなければならないため、パフォーマンスの明らかな低下をもたらす。状況は必ずしも良くはない。

次に、他社のブラジル債券型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額、手数料、信託報酬、利益額、分配利回り等を比較した。「利益額=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額」

最後に、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。
計算上での考え方は「前年比で基準価額がマイナス5%とすると、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額した場合、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」
※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。

商品名 大和投信
ブラジル
ボンド
レッグメイソン
ブラジル国債
ファンド
新光投信
ブラジル債券
ファンド
大和投信
ブラジル
レアル債
UBS
ブラジルレアル債券
投信
基準価額 8,005円 6,883円 7,700円 8,243円 6,482円
増減率 -9.2% -17.2% -25.9% -9.0% -6.3%
手数料 1.5% 2.0% 3.0% 3.0% 3.5%
信託報酬 1.40% 1.62% 1.26% 1.40% 1.62%
信託財産
留保額
0% 0% 0% 0% 0.5%
分配利回り 16.6% 12.3% 21.3% 16.1% 4.9%
3年分の
利益額
482,633円 349,822円 610,122円 452,031円 105,784円
100万で
3年運用
※基準価額増減考慮
1,230,787円 917,036円 1,017,269円 1,206,212円 928,378円
最終予想
利回り
7.17% -2.85% 0.57% 6.45% -2.45%
ブラジル債券型投資信託の比較表(大和投信ブラジル・ボンド・オープン毎月決算型・レッグメイソン ブラジル国債ファンド・新光投信ブラジル債券ファンド・大和投信ブラジル レアル債・UBSブラジルレアル債券投信)

上図の通り「UBSブラジルレアル債券投信」は、1年前の基準価額は6,918円で、現在の6,482円まで6%程度しか下落していないのは優秀だ。しかし、冒頭で述べたように分配金が減額されたのも影響し、分配利回りは5%と、他社ブラジル債投信とは比較にならない程に低い数字だ。結果、基準価額の下落を加味して分配金を利益と考えると、最終予想利回りではマイナス(赤字)になる計算だ。累積投資額の1年の騰落率でもマイナス9%と伸びが鈍化している。数字面では非常に厳しい結果となった。

最後に結論だが、純資産も既に細り、直近で分配金減額もあったが更なる減額も予見される。そのため、これからの購入はオススメできそうにない。ブラジル債券型投信で検討中なら、純資産が5,000億円でトップの大和投信のブラジルボンドを、まずは検討したい。クレディスイスなら手数料も1.5%と低く、乗り換えるにも悪くない。現在保有中の人は、乗り換え候補の投信が見つかり次第、もしくは頃合を見計らって解約・乗り換えをするのが賢明だろう。