ブラジル・ボンド・オープン(毎月決算型) / 大和証券投資信託委託
- オススメ度:
- 運用会社:
- 大和証券投資信託委託
- 商品名:
- ブラジル・ボンド・オープン(毎月決算型)
- 地域/決算:
- ブラジル / 年12回(毎月分配型)
- 対象資産:
- 債券
- 基準価額:
- 8,005円(2012年9月3日付け)
- 手数料:
- 1.5%(最安申込手数料 ※クレディスイス証券) 1.40%(信託報酬)
ブラジル・ボンド・オープン(毎月決算型)は人気ナンバー1なだけはある!
この投信は、ブラジル・レアル建て債券に投資して高分配金を出している。特にブラジルは2年もの国債の利回りが8%と他国よりも高い。オーストラリア・中国・カナダでさえ2%前後の利回りのため、明らかに高金利なのは間違いない。格付けも2010年のトリプルBから2012年にはシングルAに格上げされ、その信用力も上昇している。前述した他国の格付けが据え置きという点を考えれば驚異だ。分配履歴を振り返ると、過去1年間は毎月120円を出している。2009年まで振り返っても120円をキープしている。純資産額もブラジル債券型投信ではトップの5,000億円規模でトップだ。 純資産は人気も表すため人気ナンバー1ともいえる。
まず基準価額だが、2010年から長期の漸次下落の傾向にあり厳しい状況だ。2012年初頭には上昇に転じていたが、2012年2月から一気に下落した。この主な原因は、ブラジル政府がレアル売り介入をしたことと、スペイン・ポルトガル等の欧州債務問題からの世界的なリスク回避志向でレアルが47円をピークに39円まで下落したためだ。2012年9月現在には38円台まで落ち込み非常に厳しい。
純資産も2011年をピークに減少し、上記同様に2012年2月から減少スピードは加速している。このままのペースで減少するようなら、分配金減額も視野に入ってくるかもしれない。
この投信の上位の組み入れ銘柄は、当然ながらブラジル国債が100%を占めている。割引債(債券額から利息分を引いた額で購入し、債券額満額で償還される債券)が全体の50%を占めている。特に高比率なのが2015年に償還される債券だ。3年後までにレアル安が改善されているか否か。。。近5年のレアルの動きを見ると、非常に不安定で再び50円近辺に戻るのは数年は要しそうだ。
政策金利も現在は一時期の高金利から利下げに転じており、以前のような10%近い利息を獲得できず、今後も同傾向が続くようなら、この投信のパフォーマンス低下は否めまい。
ブラジル経済の見通しだが、GDPは2009年を除き2010年まではプラス5-10%で成長してきた。だが、2011年からはプラス1%が精一杯で、2012年終盤でも状況に変化は無く楽観できない。
その原因は世界的な資源安に加え、債務問題に苦しむ欧州、経済失速が明白な中国への輸出減が響いている。それを受けてルセフ大統領が率いるブラジル政府はレアル安を推進している。この投信にはマイナス要因だ。一方で、ブラジル国民の足元の経済を見ると、新車販売台数が右肩上がりで消費意欲は旺盛にも見える。しかし、原因が政府の自動車販売促進策である点、近々の消費者信頼感指数が下落している点から、国民がサイフの紐を締め始めるのも時間の問題だろう。やはり経済情勢はイマイチだ。
次に、他社のブラジル債券型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額、手数料、信託報酬、利益額、分配利回り等を比較した。「利益額=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額」
最後に、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。
計算上での考え方は「前年比で基準価額がマイナス5%とすると、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額した場合、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」
※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。
商品名 | 大和投信 ブラジル ボンド |
レッグメイソン ブラジル国債 ファンド |
新光投信 ブラジル債券 ファンド |
大和投信 ブラジル レアル債 |
HSBC ブラジル債券 オープン |
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基準価額 | 8,005円 | 6,883円 | 7,700円 | 8,243円 | 6,333円 |
増減率 | -9.2% | -17.2% | -25.9% | -9.0% | -8.0% |
手数料 | 1.5% | 2.0% | 3.0% | 3.0% | 3.0% |
信託報酬 | 1.40% | 1.62% | 1.26% | 1.40% | 1.62% |
信託財産 留保額 |
0% | 0% | 0% | 0% | 0.5% |
分配利回り | 16.6% | 12.3% | 21.3% | 16.1% | 13.5% |
3年分の 利益額 |
482,633円 | 349,822円 | 610,122円 | 452,031円 | 371,131円 |
100万で 3年運用 ※基準価額増減考慮 |
1,230,787円 | 917,036円 | 1,017,269円 | 1,206,212円 | 1,150,425円 |
最終予想 利回り |
7.17% | -2.85% | 0.57% | 6.45% | 4.78% |
上図の通り、大和投信の「ブラジル・ボンド・オープン(毎月決算型)」は、分配金だけで考えると利回りは高く、新光投信のブラジル債ファンドに次ぐ高さだ。その割りに、基準価額も1年間で8,818円から現在の8,005円まで9%程度しか下落していない。純資産を削らずに運用益もかなり出ているのは間違いない。手数料も他社の半値と安く利益を上乗せしている要因といえる。
その結果、基準価額の増減も加味した最終予想の利回りでは7%と、なかなか優秀な数字を叩き出している。上図では割愛したが、累積投資額(分配金込みの基準価額)の1年の騰落率でもマイナス7%と、他社の8%や最大14%と比較すれば健闘している。ただ、マイナスということは、分配金を含めてもパフォーマンスは低下していることは確実だ。
最後に結論だが、ブラジル債券型の投信で利回りを重視するなら前向きに検討するといいだろう。純資産額もトップの5,000億円でトップで、どんどん純資産を削って分配金を出す毎月分配型の投信では、純資産が多い分だけ分配金がキープされる期間が長くなる可能性が高い。分配金の利回りでも16%と高く、200万購入なら月々3~4万の分配金が手に入る。老後だとしても年金以外の収入で、これだけあれば上出来だろう。ただし、当然ながら、いくら運用がプラス※予想 だとしても、分配金を受け取り続ければ数年後には元の運用資産の金額を割り込むことは必至なため注意したい。