HSBC ブラジル債券オープン(毎月決算型)/ HSBC投信(HSBCグローバル・アセット・マネジメント)
- オススメ度:
- 運用会社:
- HSBC投信(HSBCグローバル・アセット・マネジメント)
- 商品名:
- HSBC ブラジル債券オープン(毎月決算型)
- 地域/決算:
- ブラジル / 年12回(毎月分配型)
- 対象資産:
- 債券
- 基準価額:
- 6,333円(2012年9月3日付け)
- 手数料:
- 3.0%(最安申込手数料 ※ソニー銀行) 1.62%(信託報酬)
HSBC ブラジル債券オープンは他社よりも一歩劣る利回りだが?
この投信はブラジル国債に投資して高金利を得て、高分配金を出している。ブラジルは2016年まで各種大型イベントが予定されており、その経済効果の期待から個人投資家からの人気も高い。特に鉄鉱石が輸出品として有名だが、鉄鉱石以外にも、2010年にリブラ油田が最大160億バレルに上る埋蔵量と推定され、世界で過去30年で最大規模の油田となった。これによりブラジルの石油埋蔵量は米国に匹敵する規模となった。鉄鉱石が資源安に陥っている現在では、原油が輸出できる規模になったのはプラス要因だ。さて、この投信の分配履歴を振り返ると、分配金は毎月120円を出している。2009年から120円をキープしている。
基準価額だが、他社より早い2009年から下落を始め、累積投資額(分配込みの基準価額)でも順調に伸びているとはいえず、1万円をキープするのが精一杯というところだ。チャートでは、スタート時(設定日)から保有していれば、かろうじて利益を出している。
純資産は2011年後半の欧州問題がポルトガルからギリシャ・スペインと広がりから大きく減少して、2012後半に入っても増加していない。一部のブラジル国債ファンドは一時的に増加に転じているものもあり、その点では人気に陰りがあるといえよう。
上位の組み入れ銘柄だが、ブラジル国債が全てを占めるが、その比率は定期的に利息を得る利付債と額面より安く購入して差額を利益にできる割引債が4:6の比率となっている。インフレ率の上昇により元本も利息も増加する物価連動債は組み入れていない。これが後述するパフォーマンスで他社に一歩の遅れを出している理由かもしれない。
平均デュレーションは2.5年と他社と似通った数字だ。ただし、デュレーションが4年になっている投信もあり、若干だが短いともいえる。デュレーションが短いほど金利変動の影響を受けやすく、金利が下落傾向にあるブラジルでは利子収入が減る分だけマイナス要因だ。
現在のブラジル経済だが、ブラジルの中央銀行であるBCB(Banco Central do Brasil)は、断続的に利下げをしており、史上最低金利を更新している。このまま6~7%までは下落する予想だ。低金利の恩恵も受けてローンが組みやすく、政府の販売促進策もあり自動車販売台数は好調だ。それに続いて小売売上高も右肩上がりだ。
以上のことからブラジル経済は好調ともいえるが、GDPが1%と低迷、ほぼ1年間は製造業生産がマイナスと楽観できる状態ではない。各種政策で、ようやく景気を維持していると考えた方が賢明だ。欧州・中国などの外部環境の悪化が改善されなければ、この投信のパフォーマンスは悪化の一途になる可能性もある。
次に、他社のブラジル債券型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額、手数料、信託報酬、利益額、分配利回り等を比較した。「利益額=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額」
最後に、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。
計算上での考え方は「前年比で基準価額がマイナス5%とすると、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額した場合、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」
※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。
商品名 | 大和投信 ブラジル ボンド |
レッグメイソン ブラジル国債 ファンド |
新光投信 ブラジル債券 ファンド |
大和投信 ブラジル レアル債 |
HSBC ブラジル債券 オープン |
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基準価額 | 8,005円 | 6,883円 | 7,700円 | 8,243円 | 6,333円 |
増減率 | -9.2% | -17.2% | -25.9% | -9.0% | -8.0% |
手数料 | 1.5% | 2.0% | 3.0% | 3.0% | 3.0% |
信託報酬 | 1.40% | 1.62% | 1.26% | 1.40% | 1.62% |
信託財産 留保額 |
0% | 0% | 0% | 0% | 0.5% |
分配利回り | 16.6% | 12.3% | 21.3% | 16.1% | 13.5% |
3年分の 利益額 |
482,633円 | 349,822円 | 610,122円 | 452,031円 | 371,131円 |
100万で 3年運用 ※基準価額増減考慮 |
1,230,787円 | 917,036円 | 1,017,269円 | 1,206,212円 | 1,150,425円 |
最終予想 利回り |
7.17% | -2.85% | 0.57% | 6.45% | 4.78% |
上図の通り「HSBC ブラジル債券オープン(毎月決算型)」は、基準価額が1年前の6,882円から8%程度しか下落しておらず、ブラジル債券型の投信で純資産トップ5に入る投信の中では、最もマイナス幅を抑えている。手数料・信託報酬は高額だが、分配利回りは13%となかなか優秀だ。ただし、他社投信が15%を超える分配利回りであることを考えれば、基準価額を削っていない分だけ低めともいえる。最終的には4%強の利回りが予想され、優秀な利回りといえるだろう。ただし、累積投資額(分配込みの基準価額)の1年の騰落率ではマイナス8%と、他社よりも優秀なわけではない。
最後に結論だが、予想利回りでは他社に一歩劣るため、数字重視なら他社投信がベターだ。しかし、他社よりも資産を削らずに分配金を出している点は評価できる。時間が経過する程に基準価額が下落していくのは精神衛生上で良くない人は、この投信を選んでも良いだろう。ただ、1%程度の差であれば誤差ともいえるため、思い切って無視して利回りにこだわっても良い。特に、大和投信のブラボオープンなら手数料が他社の半額で、その面でのメリットは十分にある。たかだか1.5%の差は小さくも見えるが、500万円分を購入するなら、1.5%の手数料なら7万5千円、3%なら15万円で差額は軽く5万円を超える。大抵の人には容易に看過できる金額では無いはずだ。