ダイワ・ブラジル・レアル債オープン(毎月分配型)/ 大和証券投資信託委託

大和証券投資信託委託/ダイワ・ブラジル・レアル債オープン(毎月分配型)
オススメ度:
3
運用会社:
大和証券投資信託委託
商品名:
ダイワ・ブラジル・レアル債オープン(毎月分配型)
地域/決算:
ブラジル / 年12回(毎月分配型)
対象資産:
債券
基準価額:
8,243円(2012年9月3日付け)
手数料:
3.0%(最安申込手数料 ※大和証券) 1.40%(信託報酬)

ダイワ・ブラジル・レアル債オープンは高利回りだが同社の他投信の方が?

この投信は、ブラジルレアル建て債券に投資し分配金を出している。2014年にサッカーのW杯、2016年に五輪開催される予定で、ブラジルには大規模な経済効果が見込める。イベント開催後に株価が暴落するのではないかという疑念があるだろうが、前回のロンドンオリンピック後には閉会翌日に1%下落したが、数日後には回復している。さらに、2010年の南アフリカのW杯の際には、同国の株価は20%下落したが。半年後には回復している。株価が経済の全てを表しているとも言えないが、一方通行で景気後退になるとは言い切れないだろう。また、分配履歴を振り返ると、過去1年では毎月120円で、2009年まで遡っても120円をキープしている。

ダイワ・ブラジル・レアル債オープン(毎月分配型)の基準価額(基準価格)及び純資産の推移チャート

まず基準価額だが、他社と似たような動きをしており、近々では2012年2月にレアルが暴落した際に大きく下げている。ただ、1年前の9月にも下げていたため、1年前からは10%程度しか下落しておらず、その点では他社より健闘している。

純資産は2011年をピークに減少している。他社が2010年から減少している点を鑑みれば粘っているともいえる。しかし、新光のブラボは増加に転じており、このまま減少すれば分配金減額もありうる。

ダイワ・ブラジル・レアル債オープン(毎月分配型)の上位構成銘柄

上位の組み入れ銘柄だが、ブラジル政府が発行する債券が中心となっている。定期的に利金を得る固定利付け債と額面より安価に購入できる割引債が大半を占めるが、物価と連動する債券も組み込まれており、物価がインフレになれば、元本も利息も増加する債券で好調時には2重で利益をもたらす。

他社比較して、特に珍しい点は無いが、デュレーションが4年と若干長い点か。デュレーションは投資した債券を回収できる平均年数を表し、数値が大きいほど金利変動による債券価格の影響を受けやすい。金利下落傾向にあるブラジルでは、債券価格の上昇の恩恵は他社投信より受けられる。

ブラジルの政策金利・インフレ率など

ブラジル経済の見通しだが、2011年までの利上げ政策から、2012年は伸びが鈍いる景気の下支えのため、追加緩和による利下げをしている。その成果か、インフレ率は下落傾向から2012年後半に反発している。ただし政策結果ではなく、2012年5月にブラジル北東部で起きた干ばつで野菜・小麦などの食料価格が高騰したためとも考えられる。安易に好景気からのインフレとはいえまい。

また、レアルの為替レートだが、2012年はレアル安が進んだ。輸出がメインのブラジル経済にはプラスだが、この投信にはマイナス要因だ。さらに外国人のブラジルへの投資も、リスク回避志向から以前ほどの熱気が無い。再びの熱気を期待しての好機と捉えるには、好材料が少なすぎて微妙だ。。。

次に、他社のブラジル債券型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額、手数料、信託報酬、利益額、分配利回り等を比較した。「利益額=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額」

最後に、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。
計算上での考え方は「前年比で基準価額がマイナス5%とすると、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額した場合、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」
※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。

商品名 大和投信
ブラジル
ボンド
レッグメイソン
ブラジル国債
ファンド
新光投信
ブラジル債券
ファンド
大和投信
ブラジル
レアル債
HSBC
ブラジル債券
オープン
基準価額 8,005円 6,883円 7,700円 8,243円 6,333円
増減率 -9.2% -17.2% -25.9% -9.0% -8.0%
手数料 1.5% 2.0% 3.0% 3.0% 3.0%
信託報酬 1.40% 1.62% 1.26% 1.40% 1.62%
信託財産
留保額
0% 0% 0% 0% 0.5%
分配利回り 16.6% 12.3% 21.3% 16.1% 13.5%
3年分の
利益額
482,633円 349,822円 610,122円 452,031円 371,131円
100万で
3年運用
※基準価額増減考慮
1,230,787円 917,036円 1,017,269円 1,206,212円 1,150,425円
最終予想
利回り
7.17% -2.85% 0.57% 6.45% 4.78%
ブラジル債券型投資信託の比較表(大和投信ブラジル・ボンド・オープン毎月決算型・レッグメイソン ブラジル国債ファンド・新光投信ブラジル債券ファンド・大和投信ブラジル レアル債・HSBCブラジル債券オープン)

上図の通り「大和投信・ブラジルレアル債オープン」は、前述したように基準価額(資産)の削り幅は他社よりも少ない。分配利回りも新光投信には劣るが16%と優秀だ。そのため、最終予想の利回りでも6%前後が予想され、同社のブラジルボンドと並んでいる。上図では割愛したが、累積投資額(分配込みの基準価額)でも、他社と同様の1年でマイナス7%前後と健闘している。

最後に結論だが、数字面で優秀なため十分に検討できるレベルの投信だろう。同じ大和投信に同様にブラジル債の投信があるが、数字面で大きな差異が無いため、数字だけ考えればどちらでも良いだろう。ただし、同じ会社でもブラジルボンドの純資産が5,000億円を超えるのに対して、この投信は1,400億円と3分の1以下の規模しかない。毎月分配型の投信は、特に純資産を削って分配金を出す傾向が強く、純資産が大きい方が分配金維持には有利で、投資家の安心感もあるというものだ。その点では、同じ大和でもブラジルボンドの方が良いだろう。