損害保険 解説・用語集

ペット賠償責任特約は必要か?

ペット保険は、基本的にはペットの病気・ケガで発生した診療費に対して保険金が支払われる。これに特約として、ペットが他人にケガ等を与えた場合の賠償責任(賠償金)をカバーするペット賠償責任というものが存在する。これは火災保険・自動車保険などの他の保険では、個人賠償責任特約という名称で存在しているため、それらに加入していれば不要とも考えられる。それでは、わざわざペット保険会社でペット賠償責任特約に加入するメリットはあるのだろうか?

まず考えられるのが、窓口の1本化で手間が省ける点だ。仮に、ペットが急に道路に飛び出して自動車事故を起こしたとしよう。この場合、ドライバー・車両がケガをするだろうが、自分のペットも当然にケガをする。その場合、相手方のドライバーにも賠償責任が発生するが、自分のペットの治療費も必要になってくる。その際に、ペット保険会社に相手方への損失と自分のペットの治療費の両方を一気に相談できるメリットがある。

ただし、これには不安点があり、基本はペット保険会社はペット保険が主であり、一般的な事故に対しては知識が乏しい。さらには、ペット保険の個人賠償責任の場合には、保険担当者が示談代行はしてくれず、自分と被害者(もしくは被害者の保険会社担当)で過失割合など直談判する必要が出てくる。感情的なやりとりが発生することも考えれば、これは非常に厄介だ。自動車保険・火災保険の担当者に示談代行してもらう方が、確実に手間が省けるのは間違いない。

次に考えられるのは保険料の節約という点だ。一般的に、ペット保険よりも自動車保険の方が保険料が高額だが、仮に前述の事例で自動車保険の個人賠償責任特約を利用したとしよう。もしも翌年度からの自動車保険の保険料が値上がりするようであれば、その値上がり幅にもよるが、ペット賠償責任特約を利用した方がお得になる可能性がある。

ただし、これも個人賠償責任特約を利用するのが火災保険であれば、仮に翌年度から値上がりしたとしても、そもそもの保険料がペット保険よりも低い可能性が高く、ペット保険の個人賠償責任に加入した保険料よりもお得になるはずだ。

以上のように、ペット保険のペット賠償責任の必要性はあるようで無い。ただし、これは他の保険でカバーできる場合に限られる。もしも個人賠償責任特約を付帯していないようなら、ペット保険のペット賠償責任特約を利用する手はある。ただし、ケースによるが過度な期待はしない方が賢明といえるだろう。