損害保険 解説・用語集

ペット保険は本当に必要か?

ペット保険は、時に高額となるペットの治療費をカバーするために、近年注目されている。だが、果たして本当に必要なのだろうか?

結論から述べれば、相応の貯金ないしは収入があるなら、ペット保険は不要だ。これは、他の保険でも同じだが、必要な治療費を賄えるなら、わざわざ掛け捨て(ただの支出になる)保険を契約する必要はない。それでは、ことペット保険においては、どの程度の金額を覚悟しておけばいいのか?

ペットを飼育する上で必要な費用

上図は「1年間にペットにかけた費用項目(アニコム調べ)」だが、その中でエサ代を抑えて最も高いのが治療費となっている。とはいえ、あくまで平均した数字でしかなく、予防注射などを済ませた後のペットには、年1回の健康診断ぐらいが必要で、年間6万円の治療費がかかるとは考えられない。突発的な事象(交通事故など)を除けば、数年間は治療費が0円となることも十分にありうる。基本はペットが歳をとる毎に治療費は増額されると考えるべきだ。

その一方、この数字は別の側面も示唆している。年間6万円の治療費ということは、犬の平均寿命である13年から計算すると、万が一の病気のために7~80万円を用意しておけば、ペットの一生涯に渡って保険がなくとも事足りることになる。それも別に一気に貯金するのではなく、13年間で月5千円ずつ貯めればいい計算だ。その意味ではペット保険の必要性は乏しいことになる。さらに、年齢別で必要な治療費の詳細を検討してみる。

犬1頭あたりの年間医療費

上図は「犬1頭あたりの年齢別年間診療費(アニコム調べ)」だが、これは犬が何らかの病状で動物が動物病院に通院した場合の平均額だ。決して、毎年数万円がかかるわけではない。これを見ると、5歳頃までは何らかの病気になっても、軽度である可能性が高く年間5万円で済むことになる。この額なら保険などは不要だ。仮に、犬の一生のうち2度病気にかかり、13歳まで生きて3度目の病気(もしくは老衰)で死んだとしよう。その場合、おおまかな計算だが5万円+8万円+16万円になり、合計で29万円になる。それも一気に29万円が必要になるわけではない。数年に一回ずつ10万円ぐらいが必要になる計算だ。この数字からしても、ペット保険の必要性は薄いことになる。

以上の数字から考えるに、最低30万円、最高80万円程度の貯金があればペット保険は不要ということになる。ただし、あくまで平均的な数字、理論上の金額でしかない。度々、異物を飲み込んで入院→手術ということになれば、1回あたり20~30万円が必要になり、容易に理論上の金額を超える。あくまで上記の金額は目安として考えてほしい。ペット保険はペットショップなどで薦められて、何の気なしに契約してしまうが、その必要性は改めて考えるべきだろう。