損害保険 解説・用語集
少額短期保険とは?
少額短期保険は、少額で短期の保険であり、支払われる保険金にも制限がある保険(最高で1千万円まで)を意味する。また、少額短期保険を販売する業者は、損害保険会社とは異なり、資本規制・商品規制が緩く多様な商品を生み出されている。
特に注目されるものに、火災保険とセットがルールで単体で加入できない地震保険の少額短期保険がある。これは保険料が安価な点に加え地震被害の補償を補う側面がある。本家の地震保険は支払われる保険金は火災保険の30~50%に限定されるが、それでは家が全壊すれば保険金だけでは不足する。その補償が補いきれない分を少額短期保険で充当できる(保険金の2重取りには該当しない)。そのため、一定の利便性はある。ただし、前述したように保険会社の規模が小さいため、大地震が来れば保険金の支払われない可能性がある。そのため非常に心もとない保険ではある。
次に、少額短期保険が多いのがペット保険だ。これはペット保険の歴史が浅く日本では2000年代から普及し、大手損保は進出しておらず、損害保険会社の資格を有するのはアニコム・アクサ・アイペットのみとなっている。残りは少額短期保険の保険会社がペット保険を販売している。地震保険のような不安は少ないが、小規模な企業のためサポート面で不安・請求の手間などの問題がある。
それ以外に、各社でオリジナリティのある少額短期保険が販売されている。障害者のための医療・個人賠償のための保険(ぜんちのあんしん保険)、争議費用の準備のための定期預金(メモリードライフ)、糖尿病の人のための医療保険(ぺりおDM80)、賃貸オーナーの経営リスクをカバーする(無縁社会のお守り)、旅行会社が悪天候により旅行がキャンセルされた場合のキャンセルフィーを補償する(お天気保険)など、多種多様なものがある。もしも自分が「あったらいいな」と思う保険が大手損保会社のHPで見つからない場合には、少額短期保険のHPを覗いてみるといいだろう。
以上のように、多種多様なニッチなニーズに応えるのが少額短期保険となるが、重ねてになるが、結局は規模の小さいことがネックになる。特に多様な少額短期保険の中で、その1つで異常事態(大地震・パンデミックなど)が起きると、他の保険に影響が出る点も考えておきたい。セーフティーネットが存在せず、損保会社だと破綻しても保険契約者保護制度により保険金が支払われるが、少額短期だと破綻すれば支払われない。自転車保険で加入した保険会社が、別に販売していた地震保険で破綻する可能性がある。その場合にも会社が破綻すれば自転車保険の保険金が支払われない可能性がある。そのため、あくまでサブで考えるべき保険だといえる。