生命保険 解説・用語集

子供1人に必要な費用はいくら?

子供1人を成人するまでの20数年育てるのに、必要な費用は一体いくらなのか?それにより育てる側も相応の心積もりが必要になってくる。夫婦を除いた子供1人の生活費と、子供が幼稚園・小中高・大学のどの段階で公立・私立に通うかを分類して算出した。

まず子供1人を育てる際には、「衣食住に関わる生活費」と「教育費(進学費・学習費)」に分かれる。前者は特に意識することは少ないだろうが、子供が生まれることで食費、衣料費・理美容費・小遣い費などが夫婦2人よりも大きくなるのは間違いない。AIU保険のデータを参考にすると、大学卒業まで合計1,600万円程度が必要になるようだ。これを22年で割ると年間72万円(月額6万円)の費用負担増ということになる。

しかし、子供が成長するにつれ食費も衣料費も増え、小遣い(+プレゼントでねだる物)も高額化するのは目に見えている。そのため、中間の11歳未満と以上で1:2で分けると仮定してみる。その計算だと概ね中学前までは月額2万円の負担、中学以降は4万円の負担となる。とりあえず体が大きくなるのに要するベースの金額は、この金額と考えていいだろう。

次に「教育費(進学費・学習費)」だが、これは幼稚園から小中高から大学までに要する費用だ。費用には給食費・学習塾の費用なども含まれる。こちらは文部科学省「平成24年 子供の学習費調査」を参考にする。下図を見ると公立か私立かで大きく平均額が分かれるのが分かる。

幼稚園・小中高・大学の平均進学費用(公立と私立の比較)

まず幼稚園だが、公立なら年間23万円で大抵は年少・年長の2年制なので合計46万円となる。一方の私立だと年間48万円で年少・年中・年長の3年制が多く合計144万円となる。年間で2倍の費用が必要かつ期間が1.5倍で、3歳(4歳)のスタートから大きく差があることが分かるだろう。次に年数は同じ小学校では、公立は年間30万円で6年で180万円、私立だと140万円で6年で840万円が必要になる。中学だと公立で年間45万円で3年で135万、私立で年間130万円で3年で390万円、同じく高校だと公立で年間38万円で3年で114万、私立で年間96万円で3年で288万円となる。最後の大学は国立・私立は元より文系理系でも異なり、国立大学が4年で240万円に対して、私立文系で380万円で、私立理系で516万円となっている。ちなみに医学部だと6年で1,700万円まで跳ね上がる。

もちろん、これらの金額が一気に必要になるわけではない。まとまった資金が必要なのは入学金の数十万円程度と考えていい。それ以外は定期的な収入があれば賄える。これを公立私立の各ケースで分けてみる。

幼稚園から大学までの進学費用(公立・私立を段階別に分類)

上図を見て分かるのは、まずは私立に入学するのが遅いほどに費用負担は軽減される点だ。そして、ひとたび私立に入学すれば月額12~15万円(食費込み)を覚悟する必要がある。もちろん数十万円の入学金も必要だ。また、合計額にあまり意味はないが、文系で国公立一貫だと約1,400万円だが、私立一貫だと約2,700万円となる。私立の幼稚園に入園することを検討する前に、普通よりプラス1,300万円多く支払うことを念頭に置いておきたい。

注意したいのは、上図の数字には自宅外から大学に通学する場合を度外視している点だ。自宅外通学となると、家賃・仕送りなどが必要になり、衣食住の年間4万円では到底不足する。月額でプラス5万円は見ておく必要があるだろう。私立文系なら月額17万円程度は考えておく必要がある。そもそも大学に入学する前に浪人生となったり、入学しても留年(もしくは留学)したりすれば、それもまた別途費用が必要になる。

さらに音大・美大だと学費が年間で100万円はプラスせねばならない。専門学校だと平均以内に収まることが多いが、理学療法や針・マッサージだとプラス100万以上になることもある。逆に短大だと単純に学費も生活費も削れるため金銭的な負担は軽減される。上図は限りなく精緻な数字ではあるが、あくまで平均的なモデルという点を忘れずにおきたい。

以上のことから、子供が生まれた段階で月額12万円以上の出費が出る時期が来ることを、念頭に置いておく必要がある。それを踏まえて貯金や定期預金は元より、こども保険や他の保険を利用することを考える必要がある。こども保険の利回りは低いため、株・債券・投信・FX・ワラント・現物投資・不動産収入等を検討するのもいい。

また、収入からして教育費が完全に不足するようなら、新たな収入源(副業・共働き)を模索したり、子供を機に転職して収入増を図る必要が出てくる。アクロバテックな方法だが、教育費が日本より安いヨーロッパに移住するというのも1つの手だ。逆に収入が十分にあるなら、児童手当て(子供手当て)は全て貯金して入学金には備える、果てはギャンブルで得た泡銭(競馬の払戻金など)は全て貯金する、といった緩い考え方もできるだろう。