生命保険 解説・用語集

ガン保険は本当に必要か?

ガンは日本人の2人に1人が発症する病気であるため、ガン保険は老若男女問わず関心のある保険だ。とはいえ、確率こそ保険会社は喧伝するが、ガン治療に要する費用は声高に叫ぶことはない。ガン保険は本当に必要なのだろうか?

部位別ガンの治療費・平均年齢・死亡率・平均入院日数

まずは「治療費の実費」から考えてみる。全日本病院協会の2012年10月~2013年3月の医療費データでは、胃がんで約35万円、気管支がん(肺がん)だと約25万円となっている。ただし、この数字はあくまで平均であり、がんには進行度合いによってステージⅠ~Ⅳ(1~4)までの4段階で治療費が異なる点を見逃せない。がん保険と検討前に考えるべきポイントでも記載した通り、人間ドック・がん検診を受けない人は、気づかない内に進行する可能性が高く、その分だけ治療費は高額になっていく。逆にステージⅣまで進行すれば死が近づくため治療は安くなっていくのだが。。。

ガンのステージ別(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ)の治療費と自己負担額

さらに昨今では、がんの治療における入院は短くなる傾向にあり、通院治療が主流となっている。現在の平均の数値では、平均入院日数が30日に対して、平均通院日数は40日と長い。上図に通院治療を加えると、厚労省の入院外治療の1回あたりの自己負担額は胃ガンで約4,500円となる。4,500円×40日の18万も追加で考えておく必要がある。

ここまでで、がんの治療費は高額なため保険は必要だと考えるかもしれないが、日本には高額療養費制度があるのを忘れてはならない。この制度は治療費が一定の金額を超えると、超過分の治療費が国から国民に支払われる制度だ。月収53万以上だと自己負担は毎月15万円程度が上限となり、月収53万円以下なら毎月12万円、70歳以上で月収28万以上で8万円、月収28万以下なら5万円程度が上限となる。前述の胃がんで70歳だと、病院窓口では33万円を支払った2~3ヶ月後に差額の28万円が戻ってくる。この制度は日本国民であれば誰でも利用が可能だ。医療保険は必要か?でも記載した通り、この基準に照らせばガン保険といえど、生活費とは別に貯金額が128万・165万・300万・600万・800万と段階が進む程に不要となる。

以上を総括すると、ガン保険も医療保険と同様に貯金で十分にカバーできるため不要といえる。わざわざ不払いがあるかもしれないものに頼る必要は無い。しかし、医療保険の先進医療と同様に、自由診療を考慮せねばならない。先進医療を利用する確率は統計上は1%未満で、自由診療も同程度の確率が予想される。

しかし、先進医療と同様に自由診療となれば自己負担額は数百万円を超えるため貯金でカバーするなら上乗せが必要になる。医療保険と同様に先進医療まで考慮するなら800+300万円(重粒子線治療の場合)で1,100万円があれば万難を排す領域に入ったといえよう。他方で、保険でカバーするなら、自由診療がカバーできるセコムのメディコムあたりが候補となる。