米国ハイ・イールド債オープン(通貨選択型)ブラジル・レアルコース/ 国際投信投資顧問

国際投信投資顧問/米国ハイ・イールド債オープン(通貨選択型) ブラジル・レアルコース(毎月決算型)
オススメ度:
1
運用会社:
国際投信投資顧問
商品名:
米国ハイ・イールド債オープン(通貨選択型)ブラジル・レアル(毎月決算型)
地域/決算:
米国 / 毎月分配型(年12回)
対象資産:
債券
基準価額:
7,061円(2012年12月3日付け)
手数料:
3.0%(申込手数料 ※光世証券) 0.98%(信託報酬)

国際投信 米国ハイイールド債 レアルは既に縮小傾向にある今となっては?

この投信は、米国の低格付けの社債に投資し分配金を出している。一時期のブームに乗り、他社同様に乱立した米国のハイ債+レアルで為替ヘッジしており、今では他社同様に尻すぼみ状態だ。また、レアル以外にも円・豪ドル・インドネシアのルピア・トルコリラ・中国元で為替ヘッジしたコースが用意されているが、どのコースも純資産が100億円に満たず減少し廃れている。さて、現在の分配金は100円だが、2011年上半期から2012年前半までは160円であり、いきなりの60円減配とは、かなり分配金の捻出には苦労しているようだ。

米国ハイ・イールド債オープン(通貨選択型) ブラジル・レアルコース(毎月決算型)の基準価額(基準価格)及び純資産の推移チャート

まず基準価額だが、2010年に設定され歴史は短いが、概ね他社と似た推移をしている。特に2012年上半期はレアル相場が安定していたことも、基準価額が横ばいを維持できた最大要因の1つだろう。

純資産は設定から間もないが、既に縮小傾向に入っている。2011年時のピークには2000億円に迫る勢いであったが、現在は600億円程度と3分の1にまでシュリンクしてしまった。これでは急激な減配が再び到来するのも時間の問題だ。次は50円か60円あたりか。。。

米国ハイ・イールド債オープン(通貨選択型) ブラジル・レアルコース(毎月決算型)の業種比率・上位構成銘柄

組み入れ銘柄の国別では、米国が87%と高比率だが、西ヨーロッパの小国ルクセンブルク、カナダ、イギリス、オランダも組み入れられている。他社の米ハイ債型投信ではGSぐらいにしかない傾向だ。業種別ではヘルスケア・サービスがワンツーで、他社と異なり社会インフラ関連は低比率だ。

ただし、上位個別銘柄には差異は少なく、ITに強い経営コンサルの「スプリント・キャピタル」、ニュージランドの富豪が所有する「レイノルズ・グループ」が並ぶ。4番手の「DISH DBS コーポレーション」は、日本と異なり国土が広いため衛星放送が主流の米国で、衛星放送のテレビサービスを展開している。ただ加入者数の伸びが鈍化し株価は低迷している。

現在の米国経済は、FRBの超低金利政策、住宅市場の緩やかな回復、個人消費の底固さから緩やかな回復基調を続けている。ただし、企業の設備投資が鈍い点や住宅市場が回復中とはいえ低水準の範疇から出ていないため、まだ本格的な景気回復までは時間を要する見込みだ。また、ハイ債市場は投資適格級に格上げされる社債も増加中で、平均デフォルト率も2%と低く良好だ。ただ、市場環境の良好さを背景に債券人気が過熱しており、債券価格の上昇=利息収入低下が起きている。この投信も利息収入も分配金の源泉にする側面があり、さらに人気が過熱すれば減配に陥る可能性は大だ。経済動向については、他投信ページになるがフィデリティ野村 豪ドル野村米ハイレアルも参照して欲しい。

次に、他社の米国ハイ債型の投資信託(純資産ランキングで上位)と基準価額・手数料・信託報酬・利益(利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額)・分配利回り等を比較した。加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。 計算上は「前年比で基準価額がマイナス5%なら、1~3年後も5%ずつ減額すると仮定し、3年分の分配金を足すと元金100万円はプラスか?」※増減率は基準価額が1年前から何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。

商品名 フィデリティ
USハイイールド
ファンド
野村
米国ハイイールド
豪ドル
野村
米国ハイイールド
レアル
PIMCO
米国ハイイールド
レアル
国際投信
米国ハイイールド
レアル
基準価額 4,834円 11,192円 7,632円 6,787円 7,061円
増減率 +1.5% -1.4% -13.6% -11.9% -8.4%
手数料 1.7% 3.0% 3.0% 3.0% 3.0%
信託報酬 1.58% 0.88% 0.88% 1.60% 0.98%
信託財産
留保額
0% 0.5% 0.5% 0% 0%
分配利回り 15.8% 20.6% 22.7% 24.9% 16.0%
3年分の
利益額
456,907円 581,917円 646,147円 717,639円 450,443円
100万で3年運用
※基準価額
増減考慮
1,502,297円 1,541,748円 1,290,536円 1,400,305円 1,218,275円
最終予想
利回り
14.5% 15.5% 8.8% 11.8% 6.8%
米国ハイイールド債型の投資信託の比較表(フィデリティUSハイイールド・野村 米国ハイイールド豪ドル・野村 米国ハイイールド レアル・PIMCO米国ハイイールド レアル・国際投信 米国ハイ債レアル)

上図で「国際投信 米国ハイ債レアル」を比較したが、基準価額は1年前の2011年12月から8%の下落と、他社のレアルでヘッジした投信よりも健闘している。分配金を減配して基準価額の上昇に充てたのも、上昇に一役買ったのだろう。それでも、レアルでヘッジしていない投信とは比較にならないマイナスだが。。。手数料は平均的な額だが、信託報酬は安価といえなくもない。分配利回りは減配の影響もあり、同型投信の中では低い数字だ。以上を総合して計算すると、最終予想利回りは6%前後となった。しかし、毎月分配型の投信は純資産を削って分配金を出す傾向が強いが、この投信は確実に純資産が減り続けている。そう考えると、さらに分配金が減額される可能性も出てくるため、最終的には2~3%になる可能性がある。

結論としては、数字に魅力が乏しくオススメできそうにない。既にこの投信の全体資産が縮小傾向にあることからも、今から人気が再燃するとは考えにくい。レアルでの為替ヘッジでの悪影響が懸念されるが、同じレアル為替ヘッジ型の投信でも、他社の方が数字面でオススメできる。ただ、レアルよりも安定感のある豪ドルでヘッジしたタイプか、為替ヘッジなしの投信の方が安心感はある。