投信・預金/資産運用 解説・用語集
損失補填と利益追加の禁止
損失補填と利益追加の禁止とは、投信などの金融商品を購入する前後において、販売会社等が商品によって個人投資家が被る損失を補填する行為や、利益を追加する行為を禁止することを意味する。これは金融商品取引法39条に定められている。特に注意すべきは、損失補填・利益追加を実行した販売会社は元より、要求した個人投資家も同法により罰せられる点だ。
例えば、500万円分の投信を購入したが、100万円分の損失が出たため、損失分の半額の50万円を販売会社から個人投資家に渡した場合が該当する。直接的な金銭ではなく、金の延べ棒などの過度なお中元・お歳暮、有利な条件での金利優遇なども禁止行為に含まれる。仮に禁止行為を行った場合、明確な罰則規定は見当たらないが、過去の判決(判例)を見る限りでは罰金刑もしくは懲役が課されている。ただし、販売会社に明らかな法律違反、例えば「確実に儲かります」のような断定的な判断を提供した場合には損害賠償という形で損失補填を受けることは法律違反ではない。この場合も、販売会社の担当者・責任者だけの判断で損失補填は行えず、政府(内閣府)に内閣府令で定められている必要書類を提出せねばならない。
個人投資家としては、投資に際しては自己責任の原則を旨として、投資にあたる必要がある。損失を被ったからといって、安易に証券会社・銀行に損失補填を求めてはいけないということだ。そのため、商品選びは慎重に行い、証券会社・銀行からの説明に耳を傾け、安易にオススメの投信を聞くなどといった行為は慎むべきだ。