投信・預金/資産運用 解説・用語集

なぜ投信で指値注文できないのか?

なぜ投信の購入は、株式の取引のように指値注文(価格が9,000円になったら買いor売り注文を出す等)ができないのか?これは基準価額が決定するタイミングと、投信の購入には時間制限がある点が起因している。

まず基準価額が決定するタイミングだが、価格は1日に1度しか更新がされないため、そもそも正確に指値を指しにくい。さらに価格が決定するのは債券市場・株式市場などがクローズした後の15時以降、当日中の夕方・夜間に価格が決定する。そのため、証券会社・運用会社のHPに表示されている価格も、昨日の価格でしかない。すなわち朝イチの9時に購入申込をしても、HPに記載されている価格で購入できるわけではなく、その日の15時以降に決定される価格で購入することになる。これは購入価格が購入前に分からないという、普通では考えられない事態を起こすことになる。さらに証券会社・銀行にもよるが、投信の購入申込は14時か15時前には締め切られ、それ以降の購入は翌営業日扱いとなる。申し込んだ日の価格も分からないのに、14時以降となると、さらに分からない翌日の価格で購入することになる。

それが、どのような事態を起こすか。例えば、注目していた投信の基準価額が8,000円を切ったから購入することにしたとする。朝イチに購入申込をすれば、その日の夜間に決定する価格で購入することになる。だが、その日の相場が動き大きく値上がりすれば、購入額は8,000円以上になる。とはいえ、日経平均に連動するようなインデックス型投信であれば、ギリギリまで価格は予想できる。その日の相場の趨勢の流れを見て日経平均が1万円を切りそうだと判断して、申込の締切直前の14時もしくは14時50分に申し込む手もある。それでも、株式市場がクローズする15時までの僅かな時間で、1万円を超える可能性は否定できない。やはり、どう転んでも正確に購入価格を知ることはできない。

個人投資家としては、僅かな購入価格の誤差を懸念するなら、投信ではなく株式やETFなどを購入した方がいい。この購入価格が不明なのは、投信は複数の投資対象に投資しているために起きる。さらに言えば投信は長期投資が基本であり、日々の細かい値動きを追うことは本来の趣旨に反している。投信を購入する個人投資家としては、限定的な1日の値幅などは瑣末な誤差と考えるべきだ。日々の値動きを追うよりも、長期に渡って保有するに値する投信なのかを判断する方に注力すべきだろう。