投信・預金/資産運用 解説・用語集
なぜS&Pケースシラー住宅価格指数は重視されるのか?
S&Pケースシラー住宅価格指数とは、スタンダード&プアーズ社(S&P)が発表している、全米の主要都市における一戸建て住宅の再販価格を元にして算出した住宅価格指数を意味する。ケースシラーは、同指数を開発したケース教授とシラー教授の名前に由来している。米雇用統計と共に重要視される指数である。
このS&Pケースシラー住宅価格指数は、米国内の住宅価格動向を示す最も一般的な指数であり、指数が上昇(価格が上昇)すれば住宅市場は活況、指数が下落すれば住宅市場は不況にあるといえる。これは一般的に価格が上昇していれば、需要が大きいと推測されるためだ。また、米国の住宅事情に関してはS&Pケースシラー住宅価格指数の他に、中古住宅販売件数、新築住宅販売件数、住宅着工許可件数、全米住宅建築業協会・住宅市場指数と多数存在する。
なぜ、これほどまでに住宅販売が重視されるのか。まずは、住宅の購入が他の何よりも高い買い物である点がある。日本と異なりローリングストーンのような生き方をしていそうなアメリカ人だが、古くからアメリカの中では、庭付き(プール付き)マイホームを持つのがアメリカンドリームの1つとして根付いている。そのため、住宅購入は人生最大の買い物であるのは日本とは変わらない。それほどの買い物ができる好況さを消費者が感じていることも指している。
しかし、住宅市場が重視されるのは、単に住宅が他の消費財より高価格というだけではない。住宅を購入し引っ越す際には、当然ながら新しい大きな家に移り住むに際して家具や寝具を新調したり、電化製品やキッチン周りの商品まで買い換える可能性が高い。そのため、住宅市場が活況となるのは他の耐久財・消費財が売れるということを意味しているのだ。個人投資家としては、S&Pケースシラー住宅価格指数の上昇は、米国で住宅市場が活況というだけでなく、米国経済全体が浮揚しつつある兆候なのだと考え、投資運用の糧とすべきだ。