DIAM新興国ソブリンオープン通貨選択シリーズ ブラジルレアルコース/ DIAMアセットマネジメント
- オススメ度:
- 運用会社:
- DIAMアセットマネジメント
- 商品名:
- DIAM新興国ソブリンオープン通貨選択シリーズ ブラジルレアルコース
- 地域/決算:
- 新興国 / 年12回(毎月分配型)
- 対象資産:
- 債券
- 基準価額:
- 7,229円(2012年10月26日付け)
- 手数料:
- 2.0%(申込手数料 ※マネックス証券) 1.05%(信託報酬)
DIAM新興国ソブリンオープン レアルは偶然にも優秀な投信に見えるが?
この投信はソブリンという名称が付いているが、一般的に信用格付けが高いという意味でのソブリン債に投資しているわけではない。基本的には新興国のハイイールド債券に投資して分配金を出している。さらにブラジル通貨レアルで為替ヘッジすることでも利益を追加している。レアルコース以外に南アフリカランド・豪ドル・米ドル・中国元・円コースも存在するが、最も人気(純資産)があるのはレアルコースだ。過去の分配金履歴は、2011年2月から2012年8月まで160円を出していたが、2012年9月から減配され130円となった。 下がり続ける基準価額を食い止めるためと考えられる。
その基準価額だが、他社のハイ債型投信でも見受けられるパターンだが、2011年後半から小幅に反発はすれど、下落を止められていない状況だ。減配した効果で基準価額が反発しているわけではなく、累積投資額も2012年初頭の数字を越えられずにいる。なかなか厳しいチャートだ。
純資産は再び増加に転じている。ただし、これは個人投資家からの新規の買い付けではなく、投資している債券の価格が上昇した分だけ増加した可能性が高い。債券価格が上昇すれば利息が減少するため、やむなく減配となったという流れだろう。
国別ではロシアの比率がトップだが、他社のハイ債型投信ほどにダントツの高比率ではなく、ブラジル・メキシコ・トルコも、ほぼ同等の比率で組み込まれている。冒頭でも述べたが、ソブリンという名称だが、組み入れられた債券の平均格付けはトリプルBと信用度の低い債券が中心だ。むしろ、シングルAという高格付けの債券が組み込まれているのが珍しい。
個別銘柄では、国別で構成比率が高い各国の国債が並んでいる。他社と比較しても取り立てて珍しい国が並んでいるわけでもない。強いていえばベネズエラ国債の比率が若干高めという点と、上位に社債がまったく組み込まれていない点が挙げられる程度だ。
投資比率が高い国の現在の経済状況と見通しは、ロシアは三菱UFJ新興国債券ファンド、インドネシアはSMBC日興ニューワールド債券ファンドを参照して欲しい。
8番手のコロンビアは中南米に位置し、経済成長率も5%~6%を維持している。コーヒー豆(アラビカ種)で有名で、同国にとっては今でも主要な輸出品目の1つではあるが、現在は石炭・石油などの鉱業も盛んだ。日本企業でも特に商社は既に目を付けており、2011年には伊藤忠商事が1,000億円以上の投資をしている。そういった背景もあり、雇用者数は年々増加し、失業者数は確実に減少している。また、内需も堅調で経済成長を牽引している。特に住宅の他にショッピングセンター等の着工が増加している。もちろん不安が無いわけではなく、コーヒーは中南米で頻発するハリケーンなどの自然災害の影響を受けやすく、輸出を牽引する石油・石炭も投機的な価格変動のリスクを背負っている。
次に、他社の新興国ハイイールド債型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額・手数料・信託報酬・利益・分配利回り等を比較した。「利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額」
加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。
計算上での考え方は「前年比で現在の基準価額がマイナス5%の場合、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額するとすると、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。
商品名 | 野村 グロハイ債 資源国通貨 |
三菱UFJ 新興国債券 レアル |
大和住銀 エマージングボンド レアル |
新興国債券 ファンド 豪ドル |
DIAM 新興国ソブリン レアル |
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基準価額 | 6,275円 | 7,836円 | 7,455円 | 11,213円 | 7,229円 |
増減率 | -5.0% | -17.6% | -13.0% | -1.8% | -0.1% |
手数料 | 4.0% | 3.0% | 0% | 3.0% | 2.0% |
信託報酬 | 0.78% | 1.52% | 1.48% | 1.52% | 1.05% |
信託財産 留保額 |
0.5% | 0% | 0.5% | 0% | 0.5% |
分配利回り | 18.3% | 29.1% | 16.2% | 19.9% | 20.5% |
3年分の 利益額 |
505,305円 | 843,236円 | 481,787円 | 566,512円 | 590,892円 |
100万で 3年運用 ※基準価額増減考慮 |
1,361,615円 | 1,401,780円 | 1,139,821円 | 1,512,616円 | 1,587,167円 |
最終予想 利回り |
10.84% | 11.92% | 4.46% | 14.79% | 16.65% |
上記で「DIAM新興国ソブリン・レアル」を比較したが、基準価額は1年前よりまったく下落しておらず、1年前の2011年10月の7,238円と差がない。ただし、その間に8200円台まで上昇していたこともあり、安心感もあるが残念という感も否めない。手数料・信託報酬は取り立てて安価ということはない。分配利回りは、基準価額を削っていない分だけ悪いかと思いきや、他社にヒケをとらない数字だ。最終予想利回りでは、他社が軒並み基準価額のマイナスで分配利回りから数字を下げるなかで、分配金から諸経費差し引いた程度で済んでおり優秀だ(実際には、この後に分配金には税金が課されてしまうが。。。)
結論としては、数字は非常に優秀な投信といえる。しかし、基準価額が動いていないのは、ページ上部の基準価額のチャートを再度確認してもらいたいが、偶然に下落したところと重なっただけとも読める。それであれば、予想通りのパフォーマンスを継続できるかは大いに疑問だ。また、2012年に分配金減額しており、2013年にも減額されないという保証はない。このまま新興国債券の人気が継続するようなら、間違いなく減配だろう。そうなると、さらに、予想数字は下方修正されるはずだ。後者は他のハイ債型投信にも同条件ではあるが、手放しで上記の数字は信じない方が賢明だ。購入を検討中なら、とりあえず、ここまでのパフォーマンスができるかに懐疑的な見方をしながら資産運用を進めてもらいたい。