SMBC・日興ニューワールド債券ファンド・ブラジルレアル(NW債レ)/ 三井住友アセットマネジメント
- オススメ度:
- 運用会社:
- 三井住友アセットマネジメント
- 商品名:
- SMBC・日興ニューワールド債券ファンド・ブラジルレアル(NW債レ)
- 地域/決算:
- 海外 / 年12回(毎月分配型)
- 対象資産:
- 債券
- 基準価額:
- 6,973円(2012年10月26日付け)
- 手数料:
- 3.5%(申込手数料 ※三井住友銀行) 0.99%(信託報酬)
SMBC・日興ニューワールド債券レアルは数字で他社に一歩も二歩も劣る!
この投信は、高利回りの新興国債券に投資し、さらにブラジルレアルで為替ヘッジをかけて為替プレミアムや為替益を得て分配金を出している投信だ。一応、交付目論見書には先進国の社債・国債も組み入れる可能性について言及しているが、アメリカが1%弱、欧州先進国も合計3%程度しか組み入れられていない。さて、この投信の過去1年の分配金履歴では、2011年8月から毎月150円を維持してきたが、2012年9月には耐え切れずに120円に減額された。この流れが続くなら来年には100円を切る可能性も否定できない。
基準価額だが、2009年から2011年6月近辺までは基準価額を維持しながら、累積投資額(分配金込みの基準価額)を伸ばしており良好な状態であったが、その後は欧州を中心とした世界経済の悪化の影響で、基準価額を削っても累積投資額が伸びきれない悪循環に陥っている。
純資産も2010年のピークから減少が止まらない。2012年2月の増加は日銀の追加緩和がプラスに働いたためで、その効果も一時的なものであったことが分かる。現在の純資産額は3,000億円弱で、1年前から500億円分が減少している。このまま減少を続けるようなら、やはり1年後の分配金減額が視野に入ってくる。
上位組み入れ銘柄だが、国別ではロシア・インドネシア・メキシコ・ブラジルと、他社のハイ債型の投信と似た国が並んでいる。債券の種別では、大和住銀のハイ債型投信等のように国債が8割を占めることはなく、新興国の国債と社債で半々を占めている。新興国の社債となると、国債以上に相応のリスクをとっていると見てとれる。
個別銘柄では、他社同様にロシア国債がトップの比率になっている。2番手以降はフィリピンやインドネシアといった東南アジア、ベネズエラやコロンビアといった中南米の国債が続いている。他社にない銘柄では格付けなし(NR)コートジボワール国債が組み入れられている。一時期はアフリカの優等生と呼ばれた時期もあるが、2011年の大統領選挙に端を発した内戦から市民に武器が流通し、部族対立も起きている。未だ治安等で不安はあるが、一時期よりは大きく改善しているため、今後のさらなる回復に期待しているのだろう。。。また、社債では経済が資源に大きく依存しているベネズエラ・ロシアの国営エネルギー会社が入っている。
今後の見通しだが、投資比率がトップのロシアについては「三菱UFJ新興国債券ファンド」を参照して欲しい。次いで投資比率が高いインドネシアだが、現在の経済状況は決して完全に良好とはいえない。まず、貿易収支が外需の悪化で赤字に陥っており、輸出の落ち込みが激しい。それに伴って鉱工業生産も前年比割れしている。通貨ルピアは対ドルでルピア安に進行しているのだが、それでカバーできる領域は超えてしまっている。
一方で、これまで景気を牽引していた内需は、小売売上高は2ヶ月連続で前月比プラス20%と好調だ。しかし、小売でも単価の高めなバイクの販売台数が2012年に入ってから大きく落ち込み、前年比を割る状況が続いている。これはインドネシア中央銀行の個人ローン規制も影響しているが、これ以上は内需に過度な期待はできそうにない。一応、インドネシア政府は成長率を2013年には6.5%から6.8%と加速すると強気の予想で、堅調な経済成長には期待が持てそうだ。
次に、他社の新興国ハイイールド債型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額・手数料・信託報酬・利益・分配利回り等を比較した。「利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額」
加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。
計算上での考え方は「前年比で現在の基準価額がマイナス5%の場合、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額するとすると、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。
商品名 | 野村 グロハイ債 資源国通貨 |
三菱UFJ 新興国債券 レアル |
大和住銀 エマージングボンド レアル |
SMBC 日興ニューワールド 債券 |
新興国債券 ファンド 豪ドル |
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基準価額 | 6,275円 | 7,836円 | 7,455円 | 6,973円 | 11,213円 |
増減率 | -5.0% | -17.6% | -13.0% | -10.2% | -1.8% |
手数料 | 4.0% | 3.0% | 0% | 3.5% | 3.0% |
信託報酬 | 0.78% | 1.52% | 1.48% | 0.99% | 1.52% |
信託財産 留保額 |
0.5% | 0% | 0.5% | 0% | 0% |
分配利回り | 18.3% | 29.1% | 16.2% | 19.7% | 19.9% |
3年分の 利益額 |
550,305円 | 873,236円 | 486,787円 | 589,832円 | 596,512円 |
100万で 3年運用 ※基準価額増減考慮 |
1,361,615円 | 1,401,780円 | 1,139,821円 | 1,280,113円 | 1,512,616円 |
最終予想 利回り |
10.84% | 11.92% | 4.46% | 8.58% | 14.79% |
上図で「SMBC・日興ニューワールド債券レアル」を比較したが、まず基準価額は1年前の2011年10月の7,761円から現在の6,973円まで約10%下落している。他社では最大17%下落から2%程度の下落に留めている投信があり、概ね平均程度のマイナスと考えられなくもない。一方で購入から運用に要する諸経費という観点では、手数料の高さが気になるが、またも信託報酬は平均といえる。分配利回りも平均といえ、最終的な予想利回りでは8%程度と予想される。しかし、前述した通り、2011年~2012年で分配金を減額した経緯があるだけに、2013年に分配減額される可能性を否定できない。その場合には予想利回りは5%を割り込むことも考えられ、その意味では数字面ではイマイチともいえよう。
結論としては数字面で他社に一歩劣り、オススメかは微妙なところだ。構成銘柄を見ても、コートジボワール国債等の今後の数字に期待できる銘柄もあるが、ほぼ他社同様の構成で魅力に欠ける。また、重ねてになるが、純資産が漸減傾向にあり、分配金減額が予見される点でも痛い。特に、毎月分配型の投信では、純資産(基準価額)を削って分配金を出す傾向が強く、純資産が目減りを始めてしまうと今後の先細りが確定的とも考えられる。やはり、これからの購入は微妙なところだ。とはいえ現在保有中の人は、累積投資額が上昇基調にある今は様子見が妥当だろう。どこまで伸びるかを注視しながら頂点を見極めて乗り換えか、分配金減額や、突発的な経済情勢悪化による基準価額の大幅な下落があれば乗り換えという姿勢で良いだろう。