りそな ブラジル・ソブリン・ファンド(毎月決算型)/ 大和証券投信委託
- オススメ度:
- 運用会社:
- 大和証券投信委託
- 商品名:
- りそな ブラジル・ソブリン・ファンド(毎月決算型)※ブラソブ
- 地域/決算:
- ブラジル / 年12回(毎月分配型)
- 対象資産:
- 債券
- 基準価額:
- 7,821円(2012年9月3日付け)
- 手数料:
- 3.0%(最安申込手数料 ※りそな銀行) 1.40%(信託報酬)
りそな ブラジル・ソブリン・ファンドは利回りなどの数字が実は優秀!?
この投信はブラジル国債に投資し分配金を出している。りそなが冠に入っているのは、この投信の受託銀行(投信で集めた資金の保管管理をする銀行)がりそな銀行という点もあるが、販売会社がりそなグループに限定されているためだ。関東圏では埼玉りそな銀行、関西圏ではりそな銀行と近畿大阪銀行が販売している。近畿大阪銀行はりそなHDの完全子会社であるため販売会社になっている。さて、この投信の分配履歴を振り返ると、現在の分配金は毎月120円で、2009年まで振り返っても120円であった。よくキープしている。
まず基準価額だが、他社より格段に早い2009年から下落が始まっている。要所要所で上昇局面もあるが、基本的には右肩下がりで下落している。それに反して累積投資額(分配込みの基準価額)は増加傾向にあるが、明らかに伸び悩んでいる。現在の水準は2009年時の好調時に留まっている。2012年前半の急激なレアル安が響いている。
純資産は他社同様に減少はしているが、他社ほどに落ち込んでいるわけではない。りそな銀行の販売が効いているのかもしれない。このまま120円の分配額をキープできるかもしれない。
上位の組み入れ銘柄だが、全てをブラジル国債が占めており、およそ半々の比率で割引債と利付債が占め、多少だが物価連動債が含まれている。割引債は購入額と債券額面の差額で利益を得る債券、利付債は利子を受け取りながら償還を待つ債券とイメージすればいい。物価連動債は馴染みが薄いがインフレ率と連動する債券でインフレが進めば、元本と利息が増加し利益が得られる。とはいえ、他社と特に大きな差異は無い。
今後の見通しだが、結論から述べるとブラジル経済は綱渡りで景気を維持しているが、この投信にとっての状況は悪い。まず通貨レアルだが、2011年の景気減速で政府がレアル安に舵を切り、輸出中心の経済は復調の兆しを見せた。しかし、この投信はレアルで利益を出しても、分配時には円換算するため利益が明らかに目減りする。
また、政府が打ち出した低金利利策は、国民にとっては自動車販売等に寄与し、製造業の景気指数も1年半ぶりにプラスになった。だが、低金利により、この投信が保有する国債の利子収入を減少させ、分配金減額をもたらしている。以前として8%という金利は先進国・新興国の中では高金利な部類に入るが、2011年は10%超えの金利であった点を考慮すれば2割も利子収入が減ったことになる。政府の方針が転換しない限りは、この投信には厳しい状況が続きそうだ。
次に、他社のブラジル債券型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額、手数料、信託報酬、利益額、分配利回り等を比較した。「利益額=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額」
最後に、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。
計算上での考え方は「前年比で基準価額がマイナス5%とすると、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額した場合、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」
※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。
商品名 | 大和投信 ブラジル ボンド |
レッグメイソン ブラジル国債 ファンド |
新光投信 ブラジル債券 ファンド |
大和投信 ブラジル レアル債 |
りそな ブラジルソブリン ファンド |
---|---|---|---|---|---|
基準価額 | 8,005円 | 6,883円 | 7,700円 | 8,243円 | 7,821円 |
増減率 | -9.2% | -17.2% | -25.9% | -9.0% | -9.5% |
手数料 | 1.5% | 2.0% | 3.0% | 3.0% | 3.0% |
信託報酬 | 1.40% | 1.62% | 1.26% | 1.40% | 1.40% |
信託財産 留保額 |
0% | 0% | 0% | 0% | 1.4% |
分配利回り | 16.6% | 12.3% | 21.3% | 16.1% | 17.0% |
3年分の 利益額 |
482,633円 | 349,822円 | 610,122円 | 452,031円 | 466,359円 |
100万で 3年運用 ※基準価額増減考慮 |
1,230,787円 | 917,036円 | 1,017,269円 | 1,206,212円 | 1,208,346円 |
最終予想 利回り |
7.17% | -2.85% | 0.57% | 6.45% | 6.51% |
上図の通り「りそな ブラジルソブリンファンド」は、基準価額のマイナス幅は他社より小さい。1年前の基準価額は8,639円で、現在の7,821円まで9%程度しか下落していない。他社のブラジル国債型の投信では、マイナス20%もある中では優秀と言わざるをえない。基準価額(資産)を大きく削っていないにも関わらず、分配利回りも高い。そのため最終予想利回りでも6%を超えている。このまま純資産が大きく減少する流れにならずに分配額を維持できれば、数字面では推せる投信になりそうだ。
最後に結論だが、数字上では優秀な投信といえそうだ。ただし、利回りを最大限に重視する姿勢なら、大和投信のブラジル債ファンドも検討したい。その差は僅かだが、手数料も半額で済むため資産運用のスタート地点からして、この投信は一歩遅れている。また、りそなグループでしか販売しておらず、りそな銀の口座を保有していない人には不便極まる。りそなとしては、オリジナル商品として手数料で稼ぎたいのだろうが。。。
一方、ブラジル経済自体の先行きにも不安が残るため、そもそもブラジル関連のファンドで良いのか大いに疑問が残る。外部環境、特に同国にとって有力な輸出先である欧州・中国の経済環境が改善されてから、再び過熱的な経済成長が起こるかは微妙だ。それであれば、同程度の高利回りを確保でき、明らかに一時期よりも市場環境が良くなった米国リート、欧州債務のリスクオフから真っ先に回復するなど抜群の安定度を誇るオーストラリア債も有力な資産運用をする商品の候補だ。その点も加味して購入したいところだ。