オーストラリア・リート・オープン(毎月決算型)/ 三菱UFJ投信
- オススメ度:
- 運用会社:
- 三菱UFJ投信
- 商品名:
- オーストラリア・リート・オープン(毎月決算型)
- 地域/決算:
- 豪州 / 年12回(毎月分配型)
- 対象資産:
- 不動産投信
- 基準価額:
- 3,107円(2012年1月10日付け)
- 手数料:
- 2.6%(申込手数料 ※SBI証券) 1.05%(信託報酬)
オーストラリア・リート・オープン(毎月決算型)は今は利回りも騰落率も良し
この投信は、オーストラリアの不動産投信(通称:LPT)に投資し運用している投信だ。基準価額はA-REIT Indexと連動させ、毎月で分配金を出している。A-REIT Indexとは、オーストラリアの証券取引所に上場している不動産投信の全体の平均値と連動している数字のこと。この指数と連動しているため、この投信はオーストラリア不動産全体の景気に左右される。主な注目点は下記3点が考えられる。
①基準価額がA-REIT Indexとの連動を目標
②構成銘柄はA-REIT Indexに採用された銘柄でほぼ同等の比率で構成
③想定利回りは比較的高く、5年後もプラスになる可能性がある(後述)
過去1年を振り返ると、分配金は毎月(年12回)で近々は毎月40円を出している。ただし、2011年9月までは60円の分配金を出していた。今後も、分配金が減少する可能性があることは覚えておきたい。
まず基準価額だが、目標のA-REIT Indexと同様の動きをしており、リーマン後の2008年12月を底値に緩やかに下降している。他の豪州リートでは小反発した後に若干上昇しているため、その上昇分を分配金に回しているのかもしれない。
純資産は2011年から再び急増している不思議な状況だ。他のリートは横バイ状態なので、再び三菱が販売に力を入れたか、投資家が比較的安定している豪州経済に目を向けたか。。。
この投信の上位の組み入れ銘柄は、図を見ると他社と大きくは異ならず、「WESTFIELD GROUP」や「STOCKLAND」が上位となっている。ほとんど他社と大きな差異は無いのだが、強いて挙げれば「MIRVAC」という比較的オフィスに強い不動産企業の比率が高いことぐらいか。
最も比率が高い「WESTFIELD GROUP」は、世界最大級の不動産会社で、特に小売業・ショッピングセンターに強い。豪州だけでなく、米国でもそれ以上のショッピングセンターを保有している。2010年度は11億ドル程度の利益を出しており、前年度よりも利益は増加傾向にある。
今後の見通しだが、まずオーストラリア単体で考えると、2011年12月に利下げがあり、さらにオフィス市場が好調のため、現在のリート指数は回復基調にある。このペースでいけば、半年後~1年後には850ポイント超まで伸びてくる可能性がある。小売売上高も2011年のクリスマス商戦は想定よりも不振に終わったようだが、堅調な動きを見せているため商業施設も伸びてくるかもしれない。
また、世界中と比較すると、オーストラリアはかなり安定した動きなのが分かる。年間のマイナス幅も小さく(米国は前年が悪すぎたためプラス)、底固くプラスに転じていくと予想される。投資環境は悪くない印象だ。
次に、基準価額、騰落率、手数料、信託報酬、想定利回り、100万円分を5年運用して解約した際の利益額も比較する。その計算式は下記だが、分配金は2012年現在の金額から変動しないと考える。
「分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額 = 利益額」※信託財産留保額は投信解約時に発生する解約金
最後に、基準価額の増減も加味して5年後に100万円の元がとれるか?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の騰落率が、今後の5年間も繰り返すと仮定し、分配金も現状維持だとした場合に、運用していた100万円が5年後に赤字か黒字かを検証した。
計算上での考え方は以下の通り(面倒な方は読み飛ばして頂いて構いません)
「過去1年間の基準価額の騰落率がマイナス5%で、現在の基準価額が10,000円とすると、1年後は9,500円(10,000×95%)、2年後は9,025円(9,500円×95%)、3年後は8,573円・・・・・と基準価額は減少すると仮定する。5年後の減少した基準価額×口数(=目減りした資産)に、5年分の分配金を足すと100万円を超えているか否か?」これを他社のオーストラリアリート(純資産ランキングで上位4商品)と比較した。
商品名 | 三菱UFJ オーストラリア リート |
三菱UFJ 欧豪リート |
DIAM アジア・オセアニア リート |
日興 上場インデックス 豪州リート |
- |
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基準価額 | 3,107円 | 2,649円 | 9,407円 | 87,023円 | - |
騰落率 | -3.4% | -9.6% | -10.9% | -14.2% | - |
手数料 | 2.6% | 2.1% | 2.1% | 1.0% | - |
信託報酬 | 1.05% | 1.05% | 1.65% | 0.47% | - |
想定利回り | 14.4% | 3.5% | 6.0% | 5.0% | - |
信託財産 留保額 |
0.3% | 0% | 0.3% | 0.3% | - |
5年分の 利益額 |
690,949円 | 153,001円 | 276,194円 | 239,289円 | - |
100万で 5年運用 ※基準価額増減考慮 |
1,532,123円 | 756,730円 | 837,774円 | 701,568円 | - |
上図の通り、「オーストラリア・リート・オープン」の想定利回りは高く、基準価額が毎年3%ずつ減少したとしてもプラスの運用になる可能性がある。基準価額を考慮しての最終の想定利回りは8.9%程度のため、他社の豪州系のリートと比較するまでも無く、過去のパフォーマンスは高い投信と言えそうだ。
もちろん、A-REIT指数と基準価額は連動するので、今後の市場動向によっては、実際の利回りは想定よりも減少する可能性はある。だが、それを加味しても数値は高い。
最後に結論だが、この投信のスタート時に購入した人からすると、基準価額が3分の1になり、大きな含み損を抱えている人もいるだろうが、今から購入するのであれば十分に検討に値する投信といえる。市場環境としても、欧州債務などの外部要因に左右されてはいるものの、決して悪くはない。新興国や米国と比較すれば、今後の大幅な成長については疑問だが、ある程度、安定した運用を望むのであれば安心感もある。ただし、一国の経済情勢に完全に左右されるため、アセットアロケーション(自分の資産の中から各投信に投資する配分)は高くし過ぎないようにしたい。
現在保有中の人は、基本的には今後も保有し続けて良いだろう。現在の勢いが続けば分配金再投資額では1万円には届きそうだ。しかし、15,000円等の際に購入していると元手をとるのは厳しい。思い切って損切りするのも手だろう。ただし、損切りするにしても、もう少し粘ってからでもいいかもしれない。