アジア・オセアニア好配当成長株オープン(毎月分配型)/ 岡三アセットマネジメント
- オススメ度:
- 運用会社:
- 岡三アセットマネジメント
- 商品名:
- アジア・オセアニア好配当成長株オープン(毎月分配型)
- 地域/決算:
- アジア・オセアニア / 毎月分配型(年12回)
- 対象資産:
- 株式
- 基準価額:
- 4,944円(2013年1月22日付け)
- 手数料:
- 3.0%(申込手数料 ※岩井コスモ証券) 1.05%(信託報酬)
アジア・オセアニア好配当成長株オープンは流石に純資産NO.1なだけある!
この投信は、アジアとオセアニアで高配当を出している企業に株式投資し、その配当金と売買差益(インカムゲイン・キャピタルゲイン)で、基準価額の上昇と分配金を出している。アジア・オセアニアに投資している投信の中ではトップの3,000億円超の純資産額を誇る。純資産の額は個人投資家からの人気を表すとも言われているため人気もトップといえる。
ちなみにアジア・オセアニアへの投資を謳っているが、ニュージーランドへは投資しておらず、残るオーストラリアへの投資比率も30%前後だ。アジア圏の企業が残る70%を占めているため、投信のパフォーマンスはアジアの株式市場に大きく左右されることになる。さて、過去1年の分配履歴を振り返ると、毎月75円を出している。2010年まで遡っても75円をキープしていた。
基準価額だが、2010年から何度か小反発はしているが、なだらかに下落している。近々では上昇の兆しはあるが、現在までの流れからすると5,000円~5,500円前後が限界だろう。累積投資額(分配込みの基準価額)は急激に上昇中で、既にリーマンショック直前の2008年のピークを越えている。このままアジア圏の株式市場が好調なら最高値の14000円も視野に入ってきそうだ。
一方で純資産は、2012年には中国の経済悪化の影響があってか減少したが、再び増加に転じる強さを見せている。この増加の流れは心強い。
この投信に組み入れられている株式の国別比率では、豪州がトップで次いで香港が高比率だ。特に他社と国別で大きな差異はないが、香港の比率は他社よりも若干高めに設定されている。
構成比率の高い個別銘柄でトップは「テルストラ」となっている。同社はオーストラリアの最大手の通信会社で、豪州政府が51%の出資比率を保持しており、半官半民の企業といえる。公式HPでは850万の固定回線契約者と1,150万の携帯ユーザーを擁し豪州で高いシェアを誇る。株価は2010~2011年は低迷していたが、2012年には市場環境だけでなく好業績も相まって、2011年の3.0豪ドルから1.5倍にまで膨れ上がっている。2008年の未だピークには届かないが、この投信には好影響を与えていそうだ。2番手には豪州で最大規模の銀行である「ナショナル・オーストラリア銀行」があるが、こちらの株価は横ばいが続いている。こちらは配当金狙いと考えられそうだ。
この投信で最も投資比率の高いオーストラリアの経済情勢だが、2012年後半は政府が財政黒字化に向けた歳出削減を実施したことで、成長率のマイナス要因となってしまった。それを中央銀行の金利引き下げで支えている格好だが、それに反して世界的なリスクオンムードで豪ドルは他通貨に比較して明らかに豪ドル高が進行している。資源の輸出を主軸にしている同国には頭の痛い状況だが、資源関連の設備投資が伸びている点と、鉄鉱石の価格が上昇に転じている点で今後の輸出増からの経済成長が見込める状況にはある。
総合すると、プラス材料とマイナス材料が錯綜しているわけだが、景気は一時期の最悪期から脱して好景気に向かう途上といえそうだ。オーストラリアの株式市場(S&P/ASX200)のチャートも、欧州危機・米国経済失速の際に節目の4,000ポイントを下回ったが、現在は反発から上値を狙う展開に入っており、この投信にもプラスに働きそうだ。
次に、他社のアジアオセアニアに投資する海外株式型の投資信託(純資産ランキングで上位)と基準価額・手数料・信託報酬・利益(利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額)・分配利回り等を比較した。加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。計算上は「前年比で基準価額がマイナス5%なら、1~3年後も5%ずつ減額すると仮定し、3年分の分配金を足すと元金100万円はプラスか?」※増減率は基準価額が1年前から何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。
商品名 | 岡三 アジア・オセアニア 好配当 |
野村 アジア好配当 投信 |
JPモルガン 日興JFアジア ディスカバリー |
大和住銀 アジア好配当 ファンド |
三井住友 アジア・オセアニア 好配当 |
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基準価額 | 4,944円 | 9,062円 | 12,095円 | 6,248円 | 6,599円 |
増減率 | +15.9% | +39.2% | - | +13.3% | +32.5% |
手数料 | 3.0% | 2.5% | 3.5% | 3.0% | 1.5% |
信託報酬 | 1.05% | 1.10% | 1.67% | 1.36% | 1.58% |
信託財産 留保額 |
0.5% | 0.5% | 0% | 0% | 0.5% |
分配利回り | 17.2% | 3.3% | -1.7% | 1.8% | 2.1% |
3年分の 利益額 |
479,617円 | 99,421円 | -85,100円 | 25,231円 | 41,707円 |
100万で3年運用 ※基準価額 増減考慮 |
2,037,297円 | 2,769,208円 | ? | 1,480,888円 | 2,368,439円 |
最終予想 利回り |
26.7% | 40.4% | ? | 13.9% | 33.3% |
上図で「岡三アジア・オセアニア好配当成長株オープン」を比較したが、まず基準価額が他社同様に上昇しているのだが、その伸び率はイマイチといえる(もちろん、他タイプの投信が終わり無き下落をしていることを鑑みれば15%は優秀)。これは、前述したように豪州の株式市場が良好なのと、豪州に次いで投資比率が高い香港株式市場が2012年6月の18,000ポイントから右肩上がりで、2013年現在は23,000ポイントまで30%近い上昇をしているのが要因といえる。それ以外の数字では手数料は安価ではないが、信託報酬は安価に設定されているのは利益の上乗せ要因といえそうだ。他社が年1~4回の分配の中で、この投信は毎月分配型となっているため分配利回りはトップの高さだ。最終予想利回りでは他社に劣るが、他社が異様な上昇と考えれば、数字面では実質では最優秀といえる。
最後に結論だが、アジア・オセアニア型の投信の中では最も優秀といえる。純資産が同タイプの中ではトップでスケールメリットがあるのも安心感に繋がる。特に毎月分配型の投信は、純資産を削って分配金を無理にでも出し続ける傾向が強いため、組み入れ資産の運用(+分配金の維持)を考えればプラスポイントだ。投資している地域の市場環境が良好なのも良い。香港は中国の一都市ではあるが、その歴史が物語るように中国随一の経済都市であり、中国籍ではない外国企業(米・欧州のアパレルブランドなど)の上場数も多い。今後の中国経済が今までのような成長を持続できるかは多いに疑問があるが、香港市場は別と考えられる。そういう意味でも、上海市場でなく香港市場というのは心強い。
もちろん、2012年後半は円安が進行したのが大きくプラスに働いたため、来年も同様のパフォーマンスを維持できるかは大いに疑問だ。同型の投信なら、この投信が基本は最も優秀だが、政治情勢に不安がある中国(香港)や天災が大きく影響する豪州に投資している点は忘れずにおきたい。