ダイワ・オーストラリア高配当株ファンド/ 大和証券投資信託委託

大和証券投資信託委託/ダイワ・オーストラリア高配当株ファンド
オススメ度:
3
運用会社:
大和証券投資信託委託
商品名:
ダイワ・オーストラリア高配当株ファンド
地域/決算:
オセアニア / 年2回
対象資産:
株式
基準価額:
12,344円(2013年1月22日付け)
手数料:
3.0%(申込手数料 ※大和証券) 1.50%(信託報酬)

ダイワ・オーストラリア高配当株ファンドは豪州企業のみ投資する希少な投信

この投信は、アジア・オセアニア型の投信の中でも数少ないオーストラリア企業の株式に限定して投資している投信だ。株式銘柄の選定にあたっては、配当利回りを重視する方針をとっている。というのも、日本・米国の株式銘柄の配当利回りが平均2%程度なのに対して、オーストラリアの株式銘柄は平均5%に近い数字となっているためだ。もちろん、配当は豪ドルで受け取ることになるため、この投信のように円で分配金を出すタイプの場合には、為替動向(豪ドル/円相場)にも大きく影響されるため注意したい。その分配金だが、年2回決算のため回数は少ないものの、1回あたり240円を出している。ただし、2012年3月設定でスタートした投信のため、今後も分配金額をキープできるかは注視する必要がある。

ダイワ・オーストラリア高配当株ファンドの基準価額(基準価格)及び純資産の推移チャート

まず基準価額だが、2012年3月の船出から大きく下落し厳しい状況であった。この時に豪ドル/円相場で74円まで円高が進行していたのが大きく響いたといえる。その後は為替が円安に触れ、2012年後半には一気に円安が進行がしたのが追い風となって一気に12,000円台に突入した。そろそろピークアウトしても不思議ではない水準ではあるが。。。

純試算は設定来で大きくは動いていない。2012年後半に落ち込んでいるのは、初決算で分配金を出したのが影響したのだろう。運用により時間と共に戻せれば問題はないが、戻せないとなると先行きが怪しくなってくる。

ダイワ・オーストラリア高配当株ファンドの上位構成銘柄・国別・業種比率

組み入れている資産は当然ながらオーストリア企業の株式が大半を占めるが、若干はリートも含まれているようだ。株式の業種比率では金融業への投資が大半を占めており、他業種のサービス・生活必需品等との差は大きい。金融市場の動向に大きく左右されそうだ。

上位の個別銘柄でも金融業が多いが、トップは「SPI 200 INDEX」で豪州の株式市場全体の指数に連動するETFとなっている。個別銘柄で金融トップは「WESTPAC BANKING」で、オーストラリアの4大銀行(ビッグ4)の一角だ。オーストラリアでは4大銀行で個人向けローンの8割を掌握しており、その中でも同行は純資産ではナンバー2の位置にある。ただし、株価は近5年では20~30ドルを行き来しており上昇の伸びは欠ける。冒頭の投資指針の通り配当狙いで組み入れているようだ。

さて、肝心のオーストラリア経済の現況と見通しだが、2012年は資源頼みのオーストラリアにとっては、外需の落ち込みが厳しくGDP成長率はマイナスの落ち込む場面も見られた。また、資源関連の民間投資にも一服感があり、資源ブーム(資源高)が落ち込んだこともある。また、豪州政府の利下げ政策にも関わらず、世界的な金融緩和で余剰資金が高金利の豪ドルに流れているため豪ドル高が進んでいるのが、経済の柱が輸出であるオーストラリアには悪影響を及ぼしつつある。今後は外需(特に中国・欧州)の景気回復に伴って、回復が見込めるはずだ。豪州経済は「岡三アジオセ株投信」も参照してほしい。

次に、他社のアジアオセアニアに投資する海外株式型の投資信託(純資産ランキングで上位)と基準価額・手数料・信託報酬・利益(利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額)・分配利回り等を比較した。加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。計算上は「前年比で基準価額がマイナス5%なら、1~3年後も5%ずつ減額すると仮定し、3年分の分配金を足すと元金100万円はプラスか?」※増減率は基準価額が1年前から何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。

商品名 岡三
アジア・オセアニア
好配当
野村
アジア好配当
投信
JPモルガン
日興JFアジア
ディスカバリー
大和住銀
アジア好配当
ファンド
ダイワ
オーストラリア
高配当株
基準価額 4,944円 9,062円 12,095円 6,248円 12,344円
増減率 +15.9% +39.2% - +13.3%
手数料 3.0% 2.5% 3.5% 3.0% 3.0%
信託報酬 1.05% 1.10% 1.67% 1.36% 1.50%
信託財産
留保額
0.5% 0.5% 0% 0% 0%
分配利回り 17.2% 3.3% -1.7% 1.8% 2.4%
3年分の
利益額
479,617円 99,421円 -85,100円 25,231円 41,656円
100万で3年運用
※基準価額
増減考慮
2,037,297円 2,769,208円 1,480,888円
最終予想
利回り
26.7% 40.4% 13.9%
アジアオセアアニア型の株式投信の比較表(岡三 好配当成長株オープン・野村アジア好配当投信・JPモルガン日興アジア ディカバリー・大和住銀アジア好配当ファンド・ダイワ・オーストラリア高配当株ファンド)

上図で「ダイワ・オーストラリア高配当株ファンド」を比較したが、設定から1年が経過していないため1年前の基準価額とは比較できない。一応、設定時の10,000円と比較すれば、言わずもがな20%以上の上昇はしている。20%の上昇なら他社の同型投信にも劣ってはいない。また、手数料・信託報酬は安価ではないが、分配金が年2回だが出るため、スズメの涙程度だが分配利回りはプラスとなっている。計算上での最終予想利回りは、他社と同条件で比較はできないが、基準価額の20%程度の上昇を考慮すれば、およそ20%程度の利回りと計算される。ただし、この数字が来年以降も継続するとは考えにくく、また、歴史の浅い投信のため今後のパフォーマンスも読みにくい。最終予想利回りは5~10%、最大で15%といったところか。

結論としては、全ては為替次第なのだが、少額で購入してみるのも一興かもしれない。オーストラリアの現在の経済情勢は良好とはいえないにも関わらず、為替が円安に触れることでパフォーマンスは大きく上昇している。ということは、今後のオーストラリアの経済情勢が回復による上昇+為替の円安によるパフォーマンスの上昇が見込める。既に90~100円レベルのため、現在以上の円安でも上昇幅は限られている。(直近10年での豪ドル/円は最高で107円のため)為替は安定か若干の円安で十分で、本来の主目的であるオーストラリア企業の業績拡大が進むことで基準価額の上昇が期待できる。ただし、オーストラリアは自然災害も多い国のため相応の下落リスクを覚悟するか、資産の数%の少額投資に留めることが肝要だ。