家族・親族の死亡後の手続き・届出

家族・親族が亡くなったら株式・投資信託の処理と相続手続きを!

家族・親族が亡くなり、故人の株式・投資信託を相続することになった人は、証券会社で相続の手続きをする必要がある。基本的には銀行口座の預金処理・相続と流れは同様だが、幾つか異なる点もあるため注意が必要だ。

まず抑えておきたいのが、故人が保有していた株式もさることながら、利用していた証券会社の把握だ。仮にトヨタの株式を保有していたとしても、相続の連絡先は株式の保有口座を管理している証券会社となる。配当金・株主優待も証券会社での株式移管などの相続手続きが完了すれば、相続人の口座に入るようになる。

故人が利用していた証券会社の特定に当たっては、銀行と異なりキャッシュカードが無い(もしくは故人が発行しなかった)こともあるため、送付されて来る書類等から判断するしかない。最近ではインターネット証券も増え、郵送物がほぼゼロであることもあるため、故人のPC・携帯電話から推測することもあるかもしれない。

また、銀行と同じく証券会社でも残高証明書を発行が可能なため、ほぼ利用していないと思われる証券会社でも発行を依頼するのはアリだ。ただ、本人以外が取得するため、残高証明には本人確認書類から戸籍謄本・実印・印鑑証明書・手数料が必要となる点に注意が必要だ。

それでは証券会社を特定した後の流れだが、証券会社に電話で連絡するか窓口に出向いて、口座の名義人が死亡した旨を伝えることがスタートとなる。その際に証券口座は凍結され、株式の取引ができなくなる。

故人の証券口座の処理・相続の主な流れ

手続きに必要な書類は戸籍謄本・印鑑証明は必要だが、あとの書類は遺言の有無・遺産分割協議書の有無で異なる。また、相続手続依頼書(銀行でいう相続届)を提出することになるが、微妙に証券会社によって形式が異なるため注意したい。

さらに銀行と大きく異なる点として、証券会社の新口座を開設する必要がある。相続人の新口座を利用することで、株式が移り株式の売却なども可能となる。この点、相続人が故人と異なる証券会社に口座を持っていたとしても、故人と同じ証券会社で口座を開設した方が相続はスムーズに進むだろう。証券会社間での株式の移管は可能だが、特定口座か一般口座かでの縛りがあったり、外国株式は対象外であったりするため、相続が落ち着いてから株式を移管した方が無難だ。

証券会社の相続手続依頼書の例イメージ

ちなみに遺品整理の際に、紙の株券が見つかったとしても、2009年以降は株券は電子化されたため、”その紙である株券自体は無価値”だ。しかし、株主であり株主としての権利がある可能性はある。これは株式の電子化の際に、株式の発行会社が信託銀行や証券代行会社に電子化しなかった株主の代わりに口座を開設している可能性があるためだ。そのため株券を頼りに株主となっている企業に問い合わせたり、その企業が事務を委託している信託銀行に故人の口座が無いか確認した方がいい。

また、売買単位に満たない端株(はかぶ)があった場合でも、売買できないから無価値と思うのは早計だ。現在、株式は100株ないしは1000株単位の売買のため、故人が保有していたのが50株だと通常は取引できない。ただ、証券会社や信託銀行に問い合わせれば売買が可能(端株を集めて売却してくれるイメージ)となるため、捨てずに問い合わせた方がいい。

以上が株式・投信(証券口座)の相続・処理についてだが、その他に死亡・相続について不明点・疑問点が出てくることもあるだろう。ネット・書籍などで情報収集しても腑に落ちないなら、証券会社に尋ねるか各自治体の窓口に問い合わせるといいだろう。また、死後事務委任契約を結んでいれば、弁護士・行政書士・司法書士が死後の手続きを済ませてくれる。まだ亡くなる前で1人暮らしをしている高齢者なら検討の余地があるだろう。