損害保険 新種の保険の説明・評価

エース損保 歯の保険とは?

エース損保は2012年9月から歯の保険を販売している。その名の通り、歯を補償対象として、虫歯や欠損などが起きた場合に保険金が受け取れる。そもそも歯の治療は健康保険が適用でき、治療費の自己負担は3割であるため保険を利用するまでもない。

しかし、差し歯・インプラントでは健康保険が適用されない(正確には健康保険が適用できる差し歯は、機能も見た目もイマイチ)ため、高額な治療費を自由診療という形で支払うことが間々ある。そのため、その治療費の負担を保険でカバーするというのが、この保険の背景にはある。さて、それでは具体的にどういったケースで補償が受けられるか、まずは下図を参照してもらいたい。

エース損保 歯の保険の補償内容・項目

まずベーシック・お手頃・充実の3プランがあり、それらによって補償は若干異なる。ベーシックという名称だが、このプランが1番補償が小さく、健康保険が適用される虫歯などについて、年間15万円まで保険金が受け取れるのみだ。2番目のお手頃プランで年間20万円以内で、インプラント・ブリッジが各々10万円まで、インレー(詰め物)とクラウン(差し歯・被せ物)で3万円まで保険金が受け取れる。さらに充実プランだとインレーとクラウンが5万円まで拡充される仕組みとなっている。歯のホワイトニング・矯正などの美容目的の治療は保険適用外となるため注意したい。

それでは、実際に要する費用はどうなのか。例えばインプラントは歯茎にボルトを入れて差し歯にする治療法だが、費用は平均で15~30万円であるケースが多いようだ。もちろん、より良い製品を選択したり複数の歯を治療するなら保険金は不足するが、とりあえずは家計への負担は相当に軽減できるといえる。ただし、保険金が最大20万円のため、保険料次第では貯金した方がマシ(保険料の無駄払い)になる可能性がある。下図の保険料の表を見てもらいたい。

エース損保 歯の保険の年齢別の保険料

図の保険料は月払いのため非常に安く見えるが、年間だと2~3万円の保険料となる。5年も経てば保険金の10万円に達するため、今現在で20~40代前半なら貯金した方が賢明だ。実際、某歯科医の調べではインプラントをする人の年齢は50代・60代がダントツに多く、さらに上の70代になると歯茎の状態からインプラントにできないケースが多い。このことから分かるのは、50代になると歯の不安が増す可能性が高いということだ。つまりは40代後半か50歳前半まで加入せず貯金しておき、これらの年齢に差し掛かったら保険を契約するというのが、保険料を節約しつつ、この保険を最大限有効活用する手段といえよう。もちろん、それでも健康な歯を保てれば保険料は無駄になってしまうが。。。

以上のように、基本的には必要性は乏しい保険なのだが、自分の年齢次第では利用価値が無くはない保険といえる。間違えても若いうちから保険を契約して保険料を無駄にするということは無いようにしてもらいたい。また、保険金は10万円程度のため、高品質な差し歯などを希望すると雀の涙ぐらいにしかならない可能性も把握しておく必要があろう。