損害保険 解説・用語集

竜巻は増えている?

火災保険においては、火災だけでなく風水害(地震による風水害は除く)も補償の対象となる。それでは、台風に次いで代表的な風害である「竜巻」は増えているのだろうか? 2012年分の統計をまとめた気象庁の「竜巻等の突風データ」を見るに、とりあえず竜巻の発生数は目立って増加はしていない。

竜巻の発生状況及び都道府県別の分布

右グラフの竜巻の発生数は、年度別に見てバラつきがあるが、目立って増加傾向にあるわけではない。2012年は28件の竜巻が発見されており、近年は概ね20~30件程度に収まっている。1991~2006年と近年を比較すると、発生数が過去最高を更新しているため増えて見えるが、計測機器の向上などによる発見数の上昇で、今まで見つけられなかった竜巻を発見できるようになったに過ぎない。

それよりも左グラフの都道府県別の竜巻の発生件数の分布が注目に値しそうだ。基本的には海沿いの県に発生件数が多いが、それよりも関東・東海に多いのが目に留まる。海沿いという条件に加えて、関東平野で土地が平らなのが竜巻の発生件数が多くなる要因といえそうだ。

それでは竜巻でどの程度の被害があるか、2012年に茨城県常総市で発生した竜巻を例にとると、死者・負傷者が計38名、全壊した住居が76件、半壊が158件、一部損壊が400件となっている。日本はアメリカほどに竜巻(トルネード)に対する意識が薄いのが、住居でも被害が大きくなった原因と考えられる。

ただ、冒頭でも記述したが、火災保険は竜巻による風水害も補償の範囲内にある。そのため竜巻が多い関東・東海・海沿いに住んでいる人は、火災保険に竜巻被害が含まれているのを、とりあえずは確認しておきたい。もちろん、保険に胡坐をかかず、自分でも相応の竜巻対策は考えておくのが賢明だろう。