損害保険 解説・用語集

火災事故の状況(都道府県編)

総務省の消防白書によると、日本における火災事故(火事)は年間で約5万件発生している。それを都道府県別で見ると、件数だけでは人口・建物数が多い東京都がダントツに多い。しかし、人口あたりの出火率で見ると、状況は異なる。

都道府県別の出火件数及び出火率

確かに件数だけでは、東京が年間5,000件以上とトップだが、人口あたりの出火率では47都道府県の中で17位でしかない。土地柄でストーブ・ヒーターなどを頻繁に利用する北海道・東北エリアの出火率が高いかといえば、むしろ出火率は低い県が多い。それよりは内陸エリア・関西以西に出火率が上位の県が多い。例えば、出火率で1位の山梨、4位の長野は内陸エリアで、2位の宮崎、3位の高知県は関西以西の比較的暖かい地域だ。逆に出火率が低いのは、富山・福井・石川・新潟といった北陸地域、滋賀・京都・大阪といった関西地域となっている。バラつきはあれど、一定の法則性は見えてこなくはない。

それは、出火原因の1位が放火であり、2位がタバコという点から考えられる。出火率の低い富山における放火事件の検挙率は、全国平均の1.5倍で47都道府県でトップだ。富山では放火に対する社会の目が厳しく放火が発生しにくいと予想される。同じく出火率の低い京都は、人口に対しての喫煙率が全国4番目の低さ、さらに喫煙者が感じる「喫煙しにくい雰囲気」では全国トップの80%以上となっている。潜在的なタバコの吸いにくさと分煙が進んでいることが出火率の低下を導いていると予想される。

とはいえ、法則性に則って火災が発生しにくい県にいるからといって、火災保険が不要ということではない。出火原因の1位の放火は自分では如何ともし難い事象のためだ。自分で建てた大切な家が燃えて資産ゼロになることが不安なら、火災保険には十分に価値はあるといえる。