損害保険 解説・用語集
収支相等の原則【しゅうしそうとうのげんそく】
収支相等の原則とは、保険契約者が支払う保険料の総額と保険会社が行う投資による運用益の合計額と、保険会社が支払う保険金(給付金)と維持費・諸経費の合計額が等しくなるように、保険会社は保険料を算定しなければいけないというルールを意味する。
民間保険を生業とする保険会社にとって、保険契約者が支払う保険料は"収"入であり、保険会社が支払う保険金(+諸経費)は"支"出となる。これがイコールにならなければ、保険会社の経営は成り立たない。かなり突き詰めて言えば、保険会社は健全な経営をすべきだという原則といえる。給付・反対給付の原則が、個別の保険に対して保険料と保険金のバランスを取るべきだという原則なのに対して、収支相等の原則は保険会社全体の収支を意味している。
収支相等の原則に照らせば、A損保会社の募集しているA自動車保険では保険料と保険金の均衡がとれていても、同じく販売するB火災保険は均衡がとれず、保険営業で過度な接待などをした支出があり赤字になってはいけないことになる。この場合、本来であればA自動車保険は「給付反対給付の原則」を守っており値上げは無いはずだが、保険会社全体で収支相等が成立していないため、全体の収支を改善させるために値上げされる可能性がある。
この原則は、保険契約者からすれば、契約する保険会社の経営状況には目を光らせておく必要性を指摘しているともいえる。過度に心配する必要はないが、保険会社の都合で、理不尽な保険料の値上げがされる可能性がある点は、頭の片隅に置いておきたい。