損害保険 解説・用語集
特定早期解約制度【とくていそうきかいやくせいど】
特定早期解約制度とは、クーリングオフの適用外となる「契約者が保護に欠けるおそれのない申込」などに該当する場合に、一定条件を満たすと契約を契約者に有利な条件で解約できる制度を意味する。 2007年に保険業法により認められた制度で、クーリングオフを補完するために設けられた。そのため、クーリングオフと併用されることは無い。
特定早期解約制度の対象となるのは、変額保険契約や外貨建保険などのリスクが高い保険で、保険契約成立日か近接する日から10日以内(保険会社によって差異がある)なら、手数料を含めて支払った保険金が返還される仕組みになっている。特に外貨建保険は高金利を謳っても為替レートの影響を受けるため、10%下落(円高が進行)しても不思議はなく損失が出やすい。100万円を3%の利回りで5年回しても、ドル円が100円から85円になれば損失が出る。
ちょうど円安の時に満期になれば良いが、あまりにも不確定すぎる。さらに、事は単純ではなく諸経費分が保険料から差し引かれるため、保険を途中解約する場合には元本割れしている可能性が極めて高い。そこまで見抜けずに、保険であるにも関わらず元本割れして損失が出た人が多かったことが、特定早期解約制度が設けられた背景といっていい。
また、保険会社は契約から集めた保険金を資金運用しているが、その割合で外債(+外貨建て資産)の割合は極端に低い。日銀金融緩和で多少は増やしたが以前として割合は相当低い。これは、保険会社自体は、さらに円安が進行するとは考えていないと言っても過言ではない。自分は円安が進行しない(円高になるかも?)と考えているのに、一般人には高利回りを謳って為替リスクのある外貨建保険を売りつける。その営業姿勢を疑わざるを得まい。
また、保険金が返還されるといっても、保険料は解約した際の時価相当額しか返還されない点に注意したい。例えば、前述の外貨建保険であれば、10日以内に解約しても、10日間で100円から97円に円高が進めば3%分の損失が出ることになる。制度自体は比較的新しいが、万全とはいえないことは念頭に置く必要がある。また、これから保険を検討し見積をとる人は、クーリングオフ・特定早期解約制度を過信することなく慎重に保険選びをする必要がある。