損害保険 解説・用語集

給付・反対給付均等の原則

給付・反対給付均等の原則とは、保険料が保険事故の発生の確率と保障額に見合うべきだとするルールを意味する。収支相等の原則と同様に、保険料(+運用益)と保険金(+諸経費)の均衡を保つ意味で同義であるが、収支相等原則が保険会社全体のことを言う一方で、給付・反対給付均等の原則は、個別の保険商品で均衡を保つこと、保険契約者は期待される保険金と支払う保険料を等しくすることを指している。

そもそも保険契約者が支払っている保険料は、事故・死亡が発生した際に支払われる純保険料と、保険会社の経費と利益になる付加保険料を合算した料金となっている。ネット専業保険は、人件費削減などで付加保険料を削ることで、全体的に安価な保険料を実現している。

逆に保険料が高いか値上がりするのは、給付(保険金)に対して反対給付(保険料)が不足した場合に起きる。これは「保険料=(事故の確率)×(保険金)」を成立させなければならないためだ。そうでなければ事故が発生した際に、保険会社は十分な保険金を支払えない。

例えば、東日本大震災を受けて2014年夏から地震保険の基準料率が約15%値上がりするのは、震災によって保険金が支払われたためだ。事故の確率が一定でも、準備されている保険金の準備金が減少すれば、それは保険契約者の保険料に跳ね返ってくる。

また、保険金の準備金がどれだけ大きくとも、事故の発生確率が上昇すれば保険料は上昇する。例えば、2013年に複数の損保会社が自動車保険の値上げを実施したが、これは高齢者ドライバーが増加し事故発生確率が上昇し、支払う保険金も増加したためだ。一見すると理不尽なようだが、保険の大原則に相互扶助の仕組み「1人は万人のために。万人は1人のために。」があり、どのような反論(高齢者ドライバーは高額な保険料を払うべきだ)があろうとも、それが保険の仕組みだと言わざるをえない。

以上のように、保険料が値上がりした際には、給付・反対給付の原則から理由を分析することで、今後の保険料の動向が推察される。例えば、自動車保険は高齢者ドライバーに加え、そもそもドライバー数が減少し保険金が少なくなっているため、保険金を引き下げない限りは今後も保険料は値上げされる傾向にあるだろう。これから見積もりをとる保険検討者も、既に保険を契約した人も、値上げの理由の理由の推察は元より、保険検討者は本当に保険対象が必要か?(自動車が必要か?)も併せて熟慮する必要があろう。