損害保険 解説・用語集

世界的に日本は地震が多い地震大国か?発生率と世界での割合は?

一般的には日本は地震が多い地震大国と言われているが、果たして本当に日本は地震が多い国なのだろうか?国交省の資料(災害に強い国土づくりへの提言)の国土面積に対する災害と経済活動というデータを見る限り、国土面積に対して確かにマグニチュード6以上の地震回数が多い。

日本の国土面積に対しての地震の回数の比率(出典:国土交通省「災害に強い国土づくりへの提言」)

このデータによれば、日本の国土面積は世界の0.25%の比率を占めるだけで、国土の面積はお世辞にも広いとはいえない。しかし、2000~2009年に世界中で起きたマグニチュード6以上の地震は約1000回のうち、200回は日本で起きていることになる。これは比率(割合)にすれば世界のM6以上の地震の約20%が日本を震源地としていることになる。

ご存知の通り2009年以降も大地震が日本で起きており、2011年には東日本大震災、翌年にかけても余震で震度6以上が起きている。さらに2013年には淡路島地震、2014年に長野県神城断層地震と伊予灘地震、2015年に小笠原諸島西方沖地震、2016年に熊本地震が起きている。2017年こそマグニチュード6を超える地震はなかったが、2018年には北海道胆振東部地震(震度7)と大阪北部地震(震度6)が起きている。枚挙に暇がないとは、まさにこのことだ。

日本は活火山数でも世界で有数で、世界中の活火山のうち約7%が日本に集中している。東日本大伸震災を代表とする海溝プレートと陸側プレートによる地震だけでなく、活火山を原因とした地震も多いのが日本の地震の特徴だ。今後も地震が減るという見通しは持てないだろう。

しかし、国土面積に対しての地震数は多いとはいえ、日本の数倍以上の面積を持つ国もある。実際の地震発生数ではそちらの方が多い可能性もある。地震の発生数が国土の広さのせいで多いなら、それらの国の方が地震の年間発生率では高くはないだろうか?そこで下図の国連開発計画がまとめた「世界各国の地震頻度」を見てほしい。

世界各国の地震頻度・国土面積当たり地震頻度・地震数のランキング(出典:国連開発計画「世界各国の地震頻度」)

このデータは世界で年間に発生するマグニチュード5.5以上の地震の数の統計だが、1位は中国で年2回は大地震が起きている。やはり国土が広く日本と地理的にも近い中国は年間発生率も高いのは納得しやすく、回数だけでいえば世界一の地震大国は中国となる。 2位はインドネシア、3位はイラン、日本は4位で年間1.14回となっている。この統計は1980~2000年までのものだが、前述したように日本では概ね年1回は名称が付く地震が起きているため、感覚としての地震の回数と合致するだろう。

中国では日本の倍の大地震があるなら、もっとニュースなどで騒がれているはずだが?と疑問を持つかもしれない。しかし、これは被災死亡者の少なさから予想が付くだろう。中国での地震は人が少ない内陸部・山間部で起きている可能性が高いのだろう。その他の国ではインドネシアのように海に囲まれており海抜が低い場所が多い国は津波の影響があり、イランなどの新興国のためインフラ・防災対策が脆弱な国も被災死亡者が多い。

一方の日本は国土が狭いため人口密度が高く、中国とは異なる。防災対策(地震対策)には積極的な点で新興国とは異なる。そう考えると、年間の地震頻度こそ他国よりも低いが、地震による影響は他国よりも大きいといえる。日本は他国よりも地震による人的被害も経済的損失も大きいと考えられる。

以上のように、日本に住む限りは、地震とは向き合わなければならない。とはいえ日本も相応の広さがあり、今後予期されている日本海側が震源地とされる大地震が皆無という点を信じれば。北陸などの日本海側に引っ越すという手もある。それが難しいようなら、地震保険・防災対策などの大地震への備えを地道にやるしか無さそうだ。。。