生命保険 解説・用語集

定期保険の目的と選び方

定期保険は、一定期間に限った保険期間中に死亡すれば死亡保険金が受け取れる保険だが、一言で定期保険といえど様々なタイプの保険がある。どのタイプの定期保険を選ぶかは目的(何の懸念に対する保障が欲しいか?)によって分かれるため、それを抑えた後に保険料・保障の比較をすべきだ。

まず、定期保険にはノーマルな定期保険(平準定期保険)の他に、死亡保険金が増減する逓増定期保険逓減定期保険、死亡保険金は一定だが保険期間中に生存していると生存給付金が受け取れる生存給付金付定期保険、ノーマルな定期保険に特定疾病(ガン・心筋梗塞・脳卒中などの三大疾病)の保障を付加した特定疾病保障付定期保険などがある。

また、収入保障保険は死亡すれば保険金が毎月か毎年に上限(トータル保険金額)まで受け取れるが、これは定期保険の一種だ。どのタイプを選択すればいいか迷うが、基本的な比較項目である保険料・死亡保険金の増減に加え、主な対象者と目的を明確にすれば、どの定期保険を選択するか道が見えてくる。ただし、目的が明確であっても、果たして定期保険に頼るべきかを考える必要がある。

種別毎の定期保険の死亡保険金・保険料・目的の比較表

まず各定期保険を比較するが、死亡保険金は逓減・逓増定期保険以外は一定額となっている。逓減・逓増定期保険は主に経営者向きの保険で、経営者(+自営業)以外の人は基本的に選択肢に入れる必要はない。そして個人向けに募集・販売されているものがほぼ無い。

次の保険料は上図では35歳男性の保険期間20年の場合の相場を記載しているが、生存給付金付きが最も高額で収入保障が最も安くなっている。生存給付は生存給付金を加味すれば、見た目ほど保険料は高くはない。他方で収入保障保険は、そもそも受け取れる保険金が少額なケースが多く、さらに60歳まで保険金を受け取るといった歳満了タイプの場合、59歳に死亡すると1年間分の保険金しか受け取れないといった点もあり保険料は安い。保険料の安さを重視するなら収入保障保険となるが、前述のような特有の注意点も抑えておく必要がある。

そして、各保険にあった目的と各保険が持つ保障だが、いずれも死亡保障という点では疑いようがない。ただ、副次的な効果を持つ保険については、商品間の比較ではなく他の保険・金融商品との比較が必要になってくる。

まず生存給付金付定期保険だが、生存給付金を受け取る分だけ保険料が高くなっている点を考えれば、節税効果は度外視すれば、貯金よりも微かに有利かプラスマイナスゼロ程度に留まる。そのため他の保険でも貯蓄性の高い保険と比較する必要がある。低解約返戻金型の保険や、より高利回りで運用される外貨建ての保険などが候補になる。さらに投資信託・株式・外貨預金・個人向け国債・社債などと比較して、下落リスクは上昇するものの利益を追求した方がいいかを考えた方がいいだろう。

次に特定疾病保障付き保険だが、こちらは医療保険・がん保険などと保障・保険料で比較する必要が出てくる。保障では通院までカバーするか、通院治療が長期化する中で主流化している放射線・抗がん剤治療の治療費をカバーしているかを確認したい。また、定期保険+医療保険と比較して保険料は割安になっているかも要確認だ。

最後に収入保障保険だが、そもそも分割で受け取る意味があるのか?と考えれば定期保険でよく、保険料の安さを追求するなら低解約返戻金型の定期保険(もしくは終身保険)と比較する必要がある。また、一括で受け取れば、半額を定期預金にして確実に運用するといった手もある。節税効果と合わせて考える必要がある。

以上のように、基本的には目的で選び、その目的にあったより良い保険・他の金融商品と比較して、目的をより達成できつつ保険料が安くお得なものを選択するのが肝要だ。一定期間の死亡保障=定期保険という固定観念は捨てて、様々な選択肢を検討しておかないと、定期保険は解約返戻金が無いか極めて少ないため後悔することになる。その点を十分に留意して定期保険を比較するといいだろう。