ピムコ・グローバル・ハイイールド・ファンド(毎月分配型)/ 三菱UFJ投信

三菱UFJ投信/ピムコ・グローバル・ハイイールド・ファンド(毎月分配型)
オススメ度:
3
運用会社:
三菱UFJ投信
商品名:
ピムコ・グローバル・ハイイールド・ファンド(毎月分配型)※ピムコG
地域/決算:
米国他 / 毎月分配型(年12回)
対象資産:
債券
基準価額:
5,042円(2012年12月3日付け)
手数料:
2.0%(最安手数料 ※宮崎銀行) 1.40%(信託報酬)

ピムコ・グローバル・ハイイールドは年々減配されても当面は何とか!

この投信は、世界中のハイイールド債に投資して分配金を出している。名称こそ"グローバル"が用いられているが、実際には投資している債券は米国の社債が中心で、資産を構成する通貨は米国が約80%を占める。そのため今回は実体を重視して、米国ハイ債型の投信と比較する。また、現在の分配金は55円だが、過去の分配履歴を見ると、2010年は100円、2011年は70~85円で、2011年12月より55円で現在に至る。明らかに年々減配しており、この流れが継続するなら2013年末には40円程度が予見される。

ピムコ・グローバル・ハイイールド・ファンド(毎月分配型)※ピムコGの基準価額・累積投資額・純資産の推移チャート

基準価額だが、なだらかに2010年から下落している。為替ヘッジをしていないだけ緩やかだが、下落には歯止めは掛からなそうだ。累積投資額は上昇中だが、ベンチマークとズレが発生している。このズレが大きくなるほど、市場が良好でも全体の指数ほどには伸びない可能性を示唆している。

純資産は分配金の減配する時期と重なる。2010年の3500億(100円分配)、2011年末の1800億円(70円分配)と来ているため、現在の1200億円から2013年に1000億円を切るようなら、分配金は40円台に減額される可能性が高い。

の通貨比率・上位構成銘柄・格付け状況

構成銘柄を見ると、冒頭でも述べた通り米ドル建ての債券が8割近くを占めている。ユーロ・イギリスポンド・カナダドルも含まれるが、米ドルと比較すれば僅かな比率だ。債券の格付けではダブルBとシングルBで80%以上で、他社投信と異なり、若干だがハイ債ではないシングルA以上の格付けの債券も入っている。

個別の構成銘柄を見ると、米国の国債(中期債)以外では、他社の米国ハイ債と似通った社債が並んでいる。米国で天然ガス生産・販売を手がける「エルパソ」、ITに強みを持つコンサル会社の「スプリント・キャピタル」、米国でベアリングやチェーン等の工業製品を製造する「RBS GLOBAL REXVORD」等が並んでいる。米国企業でない銘柄には7位の「UPC HOLDING」があり、同社は欧州でケーブルテレビや通信サービスを提供している。ただ、リバティーグローバルという米国企業の傘下に入ったため、米国企業の側面も強いが。。。

現在の米国経済は、FRBの低金利政策、住宅市場の緩やかな回復、個人消費の底固さから緩やかな回復基調を続けている。ただし、企業の設備投資が鈍い点や住宅市場が回復中とはいえ低水準の範疇から出ていない点から、まだ本格的な景気回復には至っていないと言える。また、ハイ債市場は投資適格級に格上げされる社債も増加中で、平均デフォルト率も2%と低く良好だ。ただし過熱した債券人気により、債券価格の上昇=利息収入低下が起きている。利息収入も分配金の源泉にする債券型投信には少し苦しい状況でもある。経済動向については、他投信ページになるがフィデリティ野村 豪ドル野村米ハイレアルも参照して欲しい。

次に、他社の米国ハイ債型の投資信託(純資産ランキングで上位)と基準価額・手数料・信託報酬・利益(利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額)・分配利回り等を比較した。加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。 計算上は「前年比で基準価額がマイナス5%なら、1~3年後も5%ずつ減額すると仮定し、3年分の分配金を足すと元金100万円はプラスか?」※増減率は基準価額が1年前から何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。

商品名 フィデリティ
USハイイールド
ファンド
野村
米国ハイイールド
豪ドル
野村
米国ハイイールド
レアル
PIMCO
米国ハイイールド
レアル
PIMCO
グローバル
ハイイールド
基準価額 4,834円 11,192円 7,632円 6,787円 5,042円
増減率 +1.5% -1.4% -13.6% -11.9% +6.4%
手数料 1.7% 3.0% 3.0% 3.0% 2.0%
信託報酬 1.58% 0.88% 0.88% 1.60% 1.4%
信託財産
留保額
0% 0.5% 0.5% 0% 0.5%
分配利回り 15.8% 20.6% 22.7% 24.9% 11.7%
3年分の
利益額
456,907円 581,917円 646,147円 717,639円 325,701円
100万で3年運用
※基準価額
増減考慮
1,502,297円 1,541,748円 1,290,536円 1,400,305円 1,529,277円
最終予想
利回り
14.5% 15.5% 8.8% 11.8% 15.2%
米国ハイイールド債型の投資信託の比較表(フィデリティUSハイイールド・野村 米国ハイイールド豪ドル・野村 米国ハイイールド レアル・PIMCO米国ハイイールド レアル・ピムコ・グローバル・ハイイールド)

上図で「ピムコ・グローバル・ハイイールド 」を比較したが、特筆すべきは基準価額が1年前の4,740円から6%上昇している点だ。他社が軒並み下落している中では評価できる。ただ、冒頭のチャートを思い返せばあくまで基準価額を維持する傾向にあり、今回の上昇は分配金を減配して基準価額の上昇に充てたと考えるべきだろう。分配金を垂れ流しにして基準価額を下落させるよりは、まともな運用といえる。そのため、分配利回りは他社よりも明らかに見劣り数字でワーストだ。しかし、分配利回りが低くとも、基準価額が上昇しているため計算上の最終予想利回りは15%前後と優秀な数字だ。ただ、年々減配しているため、さらに分配利回りは低下する可能性が高い。仮に基準価額の上昇を維持するが40円に減配するとすると、10%前後の利回りが想定される。それでも十分に優秀な数字だ。

結論としては、とりあえず当面は購入しても悪くはない投信といえる。あくまで分配金は減配しても基準価額が微増するという想定の元だが。。。気がかりなのは純資産の減少ペースで、これが現在までの減少ペースよりも加速するようなら、状況は厳しくなるため注意しておく必要があるだろう。また、為替ヘッジをしておらず、投信は米ドル建ての債券で構成されているためドル円相場の為替の影響を受ける。ドル円が80円近辺で推移している分には影響も限定的だが、1年後・2年後に70円台が定着するようなら、この投信にも悪影響が及び、基準価額の下落と共に減配される負のフパイラルに突入するため、その点も注意しておく必要がある。ここ5年間は長期スパンでは円高が進行しているため、相応の覚悟はしておいた方が、後からの衝撃も少なくて済むかもしれない。