投信・預金/資産運用 解説・用語集

ハロウィーン投資の効果と利用法

ハロウィーン投資とは、ハロウィーンである10/31に購入して半年間保有し続けて4/30までに売却する投資法だ。これはアノマリー(ジンクス)を利用した方法で、欧米の投資格言「5月に株を売って、どこかへ遊びに行け。ただし9月に戻ってくるのを忘れるな(Sell in May and go away. Remember to come back in September」を元にしている。本来であれば9月に株を購入しなければならないが、9月にリーマンショックが起きたこともあり、今では10月ということにされている。

他のWebサイト・書籍・雑誌等でも紹介されているように、その効果は絶対ではないが、かなりの勝率を誇る。ただし、その効果は物によって差があるのが実情だ。下図は各年の10/31の終値で購入し、4/30に売却した場合のプラスマイナスのパーセンテージだ。購入・売却日が祝日の場合には前日に購入・売却したとして算出した。

ハロウィーン投資の勝率と平均リターン(日経平均・NYダウ・ドル円・ソフトバンク)

上図で最も勝率が高いのが日経平均に投資した場合で、逆に勝率が最も低いのがソフトバンクとなっている。これはハロウィーン投資だといっても、個別株でも同様の効果を得られないことを示している。その一方で勝率ではなく平均リターンにすると、ソフトバンクは日経平均を上回っている。個別株だと勝率こそ悪いが、当たると大きいということだ。

他方で、NYダウ・ドル円だと勝率は悪くないがリターンが微妙な数字となっている。特にNYダウに投資する場合には、為替ヘッジをかけないと日本から投資する場合には為替変動リスク(ETFでも為替リスクはある)を負う。例えば2004年の数字を例にとると、NYダウは1%上昇しているがドル円は1%円高に動いているため利益が相殺される。イマイチな面はあるが、近年のパフォーマンスは昔よりも上昇しているため、為替分を跳ね返して良い運用先になる可能性はある。

また、ドル円はFX業者がハロウィーン効果を騒いでいるわりには効果はイマイチだ。ただ、FXの場合は金利差によるスワップポイントがあるため、高金利通貨に投資してスワップ狙いで半年間保有するという手は使えそうだ。また、通貨によっては勝率が上昇するものもあるため、スワップと合わせて通貨選択が重要となりそうだ。

ここまでのところ、かなり優秀な運用方法だと考えられる一方で、「NYダウなんてリーマンショック後は右肩上がりで、別に10月→4月に絞らなくてもいいのでは?」という疑問も沸いてくる。そのためリーマンショック後に逆に4/30に購入し10/30に売却した場合のパーセンテージも算出した。

逆ハロウィーン投資の勝率と平均リターン(日経平均・NYダウ・ドル円・ソフトバンク)

やはりと言うべきか、日経平均・NYダウ・ドル円は勝率もリターンも悪化してしまっている。逆に個別株の代表としたソフトバンクはリターンも勝率も上昇している。夏~秋にかけては個別株の相場(個別株が独自に動く可能性がある)ということが伺えてくる。
他方で「結局は10/31が安くて4/30が高いのだから、10/31に購入して再来年の4/30に売却すれば上昇分を2倍ゲットできて手間も半分になる?」という欲張りな考えも出てくる。下図が10/31に購入して翌々年の4/30に売却した場合のパーセンテージだ。

2倍ハロウィーン投資の勝率と平均リターン(日経平均・NYダウ・ドル円・ソフトバンク)

楽に楽を重ねて儲けよう、などとは考えてはいけないということか。。。日経平均とドル円は勝率・平均リターンが共に下落している。しかし、NYダウはリーマンショック時の下落でも放置できるメンタルが必要になるが、平均リターンは上昇している。リーマンショックのような危険を嗅ぎ取れるなら検討に値する方法かもしれない。

以上のことから、上昇している理由こそ不明だが優秀な運用手法といえる。様々なアレンジをしたが、結局はベーシックな方法が一番有効そうだ。ただし、投資先によって勝率やリターンの度合いが異なる点には注意しておきたい。また、10/31に買いそびれたという人もいるだろうが、その場合には4/30までに10/31の価格を下回る日を待てばいい。その日に購入すれば同じようなリターンが得られることになるはずだ。