東海3県ファンド/ 東京海上アセットマネジメント投信

東京海上アセットマネジメント投信/東海3県ファンド
オススメ度:
2
運用会社:
東京海上アセットマネジメント投信
商品名:
東海3県ファンド
地域/決算:
日本 / 年1回
対象資産:
株式
基準価額:
12,203円(2013年5月9日付け)
手数料:
1.5%(申込手数料 ※SBI証券) 0.98%(信託報酬)

東海3県ファンドはトヨタ系企業への依存度が高く別投信も要検討!

この投信は、東海3県(愛知・岐阜・三重)に本社を構える日本企業の中で、株価の時価総額が上位50社以内にある企業の株式に投資し、その配当や売買益等で運用している。愛知が含まれていることから分かるように、トヨタ自動車を始めるとするグループ企業への投資比率は高い。さて、過去数年の分配金履歴を振り返ると、2009~2013年までは0円であった。ただし、2007年には2,000円、2006年には3,000円という高額な分配金を出していた過去もある。2013年の決算も株高基調を背景に相当に上昇していたが、これ以上の上昇がなければ無配が続く可能性が高そうだ。

東海3県ファンドの基準価額及び純資産の推移チャート

まず基準価額だが、他社の国内セクターファンド型の投信と同様に2012年末から急上昇している。しかし、未だに2007年時のピークは超えられず、この辺りからも分配金が出ない理由が伺い知れる。累積投資額(分配金込みの基準価額)は、現在は無配だが、過去の大きな分配金があり基準価額とは差がある位置を推移しているが、現在は連動した動きをしている。2008年からほぼ無配のため、その頃に購入した人は、今の基準価額でようやく損失が消えたか利益が出たことになる。

純資産は基準価額と連動した動きで、個人投資家が新規に殺到して買い入れた形跡は近年は存在しない。これからも同様の状況が続きそうだ。

東海3県ファンドの上位構成銘柄及び業種比率

この投信が組み入れている株式銘柄だが、業種別では輸送用機器が30%とトップで、次いで機械・陸運業が続く。さすがにトヨタのお膝元である愛知に本社を置く企業だけあって、必然的に同社に関連する企業は多くなるため当然の結果ともいえよう。ただ、トヨタと関連性が薄そうな電気ガス・銀行といった企業へも投資はしているようだ。おそらくは地元密着の独占的な地位を築いている企業へ投資しているのだろう。

個別銘柄では、再三出ているトヨタがトップではなくJR東海がトップで、次いでトヨタ、トヨタ系のパーツ製造を手がけるデンソー・アイシン、同グループ豊田自動織機・豊田通商が並ぶ。また、地元独占系では中部電力の名が見られる。

今後の見通しだが、前述した通りトヨタ系企業が多く、この投信は同社の業績・株価に大きく影響を受けるのは疑いようがない。さらにいえば、一見すると中部電力のようなトヨタとの関連性が薄そうな企業でさえ、トヨタの工場の稼働率が落ちれば電気収入が減少することも予想され、トヨタの業績だけでなく販売台数等においても影響は軽微ではないといえよう。さて、現在は過度な円高の是正により、同社の業績は拡大基調にあり、景気回復による自動車の販売台数増の期待から、さらなる円安進行があれば海外生産のメリットが薄れてくるため国内回帰が起こり、雇用拡大・賃金上昇という明るい未来が見えなくはない。ただ、未だに世界経済が完全に景気回復とはいえず、再びの円高懸念も無くはないため予断は許さないといえよう。同社に関してはトヨタグループファンドも参照して欲しい。

次に、他社の日本株で特定業種に投資する投信(純資産ランキングで上位)と、基準価額・手数料・利益(利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額)分配利回り等を比較した。また、分配金のうち実際にファンドの収益が何%かも投信の健全性として比較した。さらに基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。計算上は「前年比で基準価額がマイナス5%なら、1~3年後も5%ずつ減額すると仮定し、3年分の分配金を足すと元金100万円はプラスか?」※増減率は基準価額が1年前から何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。信託財産留保額は投信を解約時に発生する約0.5%の費用

商品名 トヨタグループ
ファンド
ニッセイ
日本勝ち組
大和
金融新時代
損保ジャパン
グリーン
東京海上
東海3県ファンド
基準価額 18,245円 15,312円 5,991円 9,006円 12,203円
増減率 +83.6% +69.8% +102.9% +61.8% +50.5%
手数料 1.5% 1.5% 3.0% 0% 1.5%
信託報酬 0.69% 1.00% 1.52% 1.50% 0.98%
分配利回り 0.3% 0.3% -1.5% -1.5% -1.0%
3年分の
分配利益額
-6,103円 -5,815円 -75,600円 -50,000円 -49,400円
分配金と収益
比率
\180=\180
(100%)
\200=\22
(11%)
- - -
100万で3年運用
※基準価額
増減考慮
6,187,281円? 4,889,324円? 8,283,296円? 4,188,384円? 3,357,327円?
最終予想
利回り
83.5%? 69.7%? 102.3%? 61.1%? 49.7%?
日本の特定業種に投資する投資信託の比較表(トヨタグループ株式ファンド・ニッセイ日本勝ち組・大和 金融新時代・損保ジャパン グリーン・東海3県ファンド)

上図で「東海3県ファンド」を比較したが、まずは基準価額が1年前の2012年の8,110円から2013年現在の12,203円まで50%近い上昇をしている。普通に考えれば十分に満足のいく数字なのだが、いかんせん他社の同型投信と比較すると数字は低く、また、その間の上場企業全体の株価を表す指数(東証株価指数・トピックス)が60%以上の上昇を果たしている点を考えると、余計に物足りない数字と分かる。手数料は1.5%と高いが、信託報酬は0.98%と安い。また、分配金が0円のため分配利回りは諸経費の分だけマイナスとなってしまう。ただ、基準価額が上昇しているため、計算上では最終予想利回りでは約50%となった。とはいえ2014年以降も同様に上昇するとは考えにくく、上昇するにしても上下がありつつの上昇となるのが株式相場の常だ。そのため、最悪ではマイナスになる可能性も十分に心に留めておく必要がある。

結論としては、決して悪くはない投信なのだが、いかんせんトヨタ・トヨタ系企業への投資比率が高く、それならトヨタグループファンドに投資した方が良いだろう。というのも、トヨタ~の方が上図からも分かる通り、パフォーマンスが上なのもあるためだ。分配金が年1回ではあるが、出ているのも好感できる。この投信よりもトヨタへの依存度は高くなるが、どうせ依存度が高いのだから、思いきって依存度を高めて高パフォーマンスを狙った方が投資妙味はありそうだ。