野村豪ドル債オープン・プレミアム(毎月分配型)/ 野村アセットマネジメント

野村アセットマネジメント・野村豪ドル債オープン・プレミアム(毎月分配型)
オススメ度:
2
運用会社:
野村アセットマネジメント
商品名:
野村豪ドル債オープン・プレミアム(毎月分配型)※豪債プ毎
地域/決算:
オセアニア / 年12回(毎月)
対象資産:
債券
基準価額:
9,780円(2012年7月6日付け)
手数料:
3.1%(申込手数料 ※野村證券) 0.66%(信託報酬)

野村豪ドル債オープン・プレミアムは未だ未知数の投資信託だが?

この投信は、2012年に設立したばかりの投信で、豪ドル建ての国債・公社債で運用し、毎月分配を行っている。設立から1年も経過していないが、純資産額は2,900億円を集めており、豪ドル債を投資対象としている投資信託の中では、短期豪ドル債ハイグレード・オセアニア・ボンドに次ぐ規模だ。野村證券の顧客がこぞって購入しているのかもしれない。

設立から間もないため、過去の分配金の履歴は振り返れないが、現在は毎月分配で100円を出している。ここから、いつまで分配金をキープできるか。。。

野村豪ドル債オープンプレミアムの基準価額及び純資産の推移チャート

基準価額だが、1年も経過していないため、何とも判断ができないが、近々の動きは他社の豪ドル債型の投信と似ている。特に豪ドルが75円台に突入した2012年春には大きく下落したが、その後は持ち直し始めている。

分配金再投資基準価額と基準価額も大きく乖離せず連動している。今からの購入なら分配金再投資の基準価額が9,780円を割り込まなければ損はないわけで、今の勢いが継続するなら期待は持てる。

また、純資産は募集開始時こそ大きく伸ばしたが、増加は止まっている。未だ増加傾向の豪ドル債もあり、その意味では少し心もとない感がある。

野村豪ドル債オープンプレミアムの上位構成銘柄及び年間収益率

投資している構成銘柄の比率を見ると、格付けがトリプルAの債券に、ほぼ100%投資している。ダブルAやシングルAの債券に投資している投資信託もあり、その意味では同型の投信よりはリスクは抑えめにしてあるといえそうだ。

構成銘柄に目を向けると、他社とは異なり、オーストラリア国債や地方の州債などへは直接投資していない。なぜか「EUROPEAN INVESTMENT BANK(欧州投資銀行)」の比率が高く、欧州の現在の状況から割安と踏んで組み入れているのかもしれない。その他の銘柄には「Kreditanstalt für Wiederaufbau(略称:KFW)」があるが、これはドイツの国営金融機関で、欧州だけでなく新興国などにも投資はしているようだ。

豪ドルのチャート及び金などの価格

今後の見通しだが、まず豪ドルの推移を見ると、対米ドルでは上昇基調にある一方で、対円では上下はあるものの概ね80円近辺で落ち着いている。この投信は特に為替プレミアムを狙っており、円高・豪ドル安になる方がベターな傾向にある。今の基準は2009年時は元より2011/2012年のピークよりは安く悪い状況では無さそうだ。

オーストラリアの主要な輸出品目の1つである金・小麦の価格は、特に金の高騰が著しいが、小麦も高騰しつつある。こちらもオーストラリア経済にとっては悪い流れではない。

次に、他社の豪ドル債の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額、手数料、信託報酬、利益額、分配利回り等を比較した。「分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額 = 利益額」

そして、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。
計算上での考え方は「前年比で基準価額がマイナス5%で現在の基準価額が1万円とすると、1年後も2年後も5%ずつ減額した場合、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」
※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。

製品名 大和住銀
短期豪ドル債
大和投資信託
ハイグレード
オセアニア・ボンド
野村
豪ドル債オープン
UBS
オーストラリア債券
三井住友
豪ドル債ファンド
基準価額 6,669円 7,220円 9,780円 9,044円 7,468円
増減率 -15.7% -6.2% -2.2%? -2.7% -9.9%
手数料 1.4% 1.3% 3.1% 2.1% 2.6%
信託報酬 0.94% 1.31% 0.66% 1.05% 1.29%
信託財産
留保額
0% 0% 0.5% 0.3% 0.3%
分配利回り 17.1% 10.3% 11.6% 9.6% 14.8%
3年分の
利益額
511,611円 309,730円 348,298円 286,943円 443,357円
100万で
3年運用
※基準価額増減考慮
1,096,695円 1,122,098円 1,247,740円? 1,183,505円 1,147,000円
最終予想
利回り
3.12% 3.91% 7.66%? 5.78% 4.68%
豪ドル債型投資信託の比較表(短期豪ドル債オープン・大和投資信託ハイグレードオセアニアボンド・野村豪ドル債オープン・UBSオーストラリア債券・三井住友豪ドル債ファンド)

上図の通り「野村 豪ドル債オープン」の分配利回りは他社と同等レベルだ。信託報酬は他社よりも低額だが分配金の額自体が低額なため低いのかもしれない。また、基準価額の増減を加味して計算したいところだが、設立から1年も経過していないため計算はできない。一応、ここ数ヶ月の流れでマイナス2~3%の下落ならば、予想利回りは高いことにはなる。また、分配金再投資基準価額の3ヶ月の騰落率でもマイナス6%で、他社の8~10%よりも現在までのところは健闘している。

最後に結論だが、まだ十分な時間が経過しておらず評価は難しい。2012年4月より新規の購入を再開したが、あと数ヶ月は様子見するのが賢明かもしれない。決して悪い投信では無さそうだが、欧州関連が組み込まれているのも気になる。パフォーマンスもさることながら、その点でも様子を見ておきたい。

もしも、オーストラリア経済が良好な点を鑑みて、踏ん切りがつくようなら、まだ純資産の増加からの分配金増加も期待して購入してしまうという手もある。