LM・オーストラリア毎月分配型ファンド/ レッグ・メイソン・アセット・マネジメント
- オススメ度:
- 運用会社:
- レッグ・メイソン・アセット・マネジメント
- 商品名:
- LM・オーストラリア毎月分配型ファンド
- 地域/決算:
- オセアニア / 年12回(毎月)
- 対象資産:
- 債券
- 基準価額:
- 8,093円(2012年7月6日付け)
- 手数料:
- 2.1%(申込手数料 ※新生銀行) 1.31%(信託報酬&監査費用)
LMオーストラリア毎月分配型ファンドは、どうしても見劣りはするが?
この投信は、豪ドル建て債券(オーストラリアの国債、州政府債、銀行の債券 etc...)で運用して分配金を捻出している。純資産額は他社の豪ドル債と比較すると6~7番手といったところだ。過去1年の分配金を振り返ると、毎月(年12回)で80円を出している。2010年10月までは70円だったが、2010年11月から2012年現在まで80円をキープしている。
まず基準価額だが、大半の他社の豪ドル債と同様に下落傾向にあるが、その下げ幅は1年前と比較するとマイナス6%で健闘している。分配金再投資後の基準価額は2011年の欧州債務懸念で下落しているが、他社と同様に若干の反発が見られる。
純資産は左図には無いが、2012年春から回復し始め、現在も増加傾向にあり心強い。このまま純資産が増加すれば、分配金維持から増額もあるか。。。
この投信の構成銘柄の比率を見ると、格付けがトリプルAとダブルAの債券の比率が高いが、シングルAの債券も15%ある。短期豪ドル債やUBSのオーストラリア債などの他の投信は、組み入れていないか、組み入れても10%以下で、この投信は同型の投信よりも若干リスクをとって利益を狙っていることが分かる。
とはいえ上位構成銘柄は、他社とは大きく異なるわけではなく、大都市ケアンズがあり鉱業の他に、世界遺産グレートバリアリーフやゴールドコースト等の観光資源も豊富なクィーンズランド州の州債、オーストラリアで2位の人口と金融セクターである都市メルボルンがあるビクトリア州の州債が名を連ねている。
今後の見通しだが、豪ドルは2012年5月までは低迷していたが、6月に入り反発を始めた。5月までのリスクオフからリスクオンに傾き、他のブラジルなどの新興国通貨よりも、いち早く回復したのが豪ドルの強さの証明だろう。
オーストラリア市場自体は堅調な流れで、前年比の実質GDPでも4%以上の伸びとなっている。ただし、雇用を見ると大幅に改善しているわけではなく、失業率はピークの5.3%から5.1%へと非常に緩やかな回復に留まっている。物価の伸びも鈍化していることを考えれば、まだまだ本格的な回復には至っていないと見るべきだろう。
次に、他社の豪ドル債の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額、手数料、信託報酬、分配利回り等を比較した。「分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額 = 利益額」
そして、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。
計算上での考え方は以下
「前年比で基準価額がマイナス5%とすると、1年後も2年後も5%ずつ減少すると仮定する。3年後の基準価額に、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」
※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。
製品名 | 大和住銀 短期豪ドル債 |
大和投資信託 ハイグレード オセアニア・ボンド |
野村 豪ドル債オープン |
UBS オーストラリア債券 |
LM オーストラリア ファンド |
---|---|---|---|---|---|
基準価額 | 6,669円 | 7,220円 | 9,780円 | 9,044円 | 8,093円 |
増減率 | -15.7% | -6.2% | -2.2%? | -2.7% | -6.5% |
手数料 | 1.4% | 1.3% | 3.1% | 2.1% | 2.1% |
信託報酬 | 0.94% | 1.31% | 0.66% | 1.05% | 1.31% |
信託財産 留保額 |
0% | 0% | 0.5% | 0.3% | 0% |
分配利回り | 17.1% | 10.3% | 11.6% | 9.6% | 10.6% |
3年分の 利益額 |
511,611円 | 309,730円 | 348,298円 | 286,943円 | 316,563円 |
100万で 3年運用 ※基準価額増減考慮 |
1,096,695円 | 1,122,098円 | 1,247,740円? | 1,183,505円 | 1,111,722円 |
最終予想 利回り |
3.12% | 3.91% | 7.66%? | 5.78% | 3.59% |
上図の通り「LM・オーストラリア毎月分配型ファンド」は、分配金だけで考えると利回りは他社と遜色はないようだ。ただし、信託報酬と手数料が高めで足を引っ張っている印象だ。基準価額の増減を見ると、1年前の2011年7月の基準価額は8,660円で、現在の基準価額よりもマイナス6%程度となっている。短期豪ドル債ほどではないが、決してマイナス幅は小さいわけではない。結果、最終予想の利回りでは、他社よりも劣る数字になった。上図には無いが、累積投資額の1年の騰落率でもマイナス3%で、他社のマイナス1~2%よりもマイナス幅は大きく、伸び悩んでいるのが分かる。
最後に結論だが、悪くはない数字なのだが、どうしても他社と比較すると見劣りする。数字を重視するなら他社の投信の方がオススメだ。ただし、他の投信よりも格付けが低い債券を組み入れていることもあり、オーストラリア経済が好調に推移していくれば、それらの債券の利益が増加する可能性もある。そこに賭けてみる手は無くはない。新興国株式等ほどにリスクが高いわけではないが、為替の影響があるため運用する資産の全体配分(アセットアロケーション)は中~低めにしておくのが賢明だろう。
現在保有中の人は、他の豪ドル債に乗り換えても手数料がネックになり、大きなメリットを生み出すことが厳しそうなので、とりあえず保有し続けてもいいだろう。もちろん現在の利回りに不満なら、さらにリスクをとってリートやハイイールド債に手を伸ばすのも手だ。