損保ジャパングローバルREIT / 損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント

損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント/損保ジャパン・グローバルREITファンド(毎月分配型)
オススメ度:
2
運用会社:
損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント
商品名:
損保ジャパン・グローバルREITファンド(毎月分配型)
地域/決算:
海外 / 年12回(毎月分配型)
対象資産:
不動産投信
基準価額:
10,989円(2012年8月2日付け)
手数料:
0%(申込手数料 ※マネックス証券) 1.44%(信託報酬)

損保ジャパングローバルREITは分配利回りは高いが不安アリ!

この投信は、世界各国の市場に上場している不動産を収益にしているリートに投資している。損ジャのJリートを通して、日本も投資対象としている。分配金は2010年3月から360円で分配開始し、2010年7月から220円をキープしていたが、2012年6月から170円に減額された。この頃、ギリシャのユーロ離脱からスペイン国債の金利上昇による財政懸念、米国経済の失速懸念などで市場環境が悪化していた。分配減額は止むを得ないか。

損保ジャパングローバルREITの基準価額(基準価格)及び純資産の推移チャート

まず基準価額だが、2009年からの運用のためサブプライム~リーマンのマイナスは受けていない。しかし、その後の2011年の欧州債務問題の影響は受けて下落したが、その後は持ち直しており、累積投資額(分配込みの基準価額)は順調に上昇、過去最高値まで来ている。他社には無い勢いがある。

純資産も他社と異なり、増加が続いている。近々の数ヶ月は米国経済・中国経済失速などの影響か減少したが、増加は続いているように見える。しかし、その規模は230億円前後でラリート等の20分の1しかなく、分配金の維持には不安がある。

損保ジャパングローバルreitファンド(毎月分配型)の国別・業種比率及び上位構成銘柄

国別比率では日本1に対して世界9の比率で、アメリカが60%、次いで豪州が10%と他社同様に比率が高い。業種では他社同様に店舗リート(小売関連リート)の比率が高い。他社よりも特徴的な面は無い。

銘柄上位はSimon Property,Westfield Group, Unibail Rodamcoなどの他社ワールドリートでも馴染みの銘柄が並ぶ。珍しい銘柄となるとTAUBMAN CENTERSがある。米国でショッピングモール等の不動産を中心に収益を上げているが、香港に子会社を置いてアジアの拠点としている。香港はアジアでも地価上昇が著しい場所で、中国国民の流入もさることながら、中国の投機マネー、外国資本も流入を続けており、今後も大幅なパフォーマンスの上昇が期待できる。この投信にとっても悪くない情勢だ。

今後の見通しだが、最も比率が高い米国経済・リートの現状は「ラサール・グローバルREIT」「国際投信ワールドリート」を、オーストラリア経済は「DIAMワールドリート」を、比率は低いがカナダ経済は「野村グローバルリート」を参照して欲しい。

次に、他社のワールドリート型の投資信託(純資産ランキングで上位)と、基準価額、手数料・信託報酬(税抜き)、利益額、分配利回り等を比較した。「分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額 = 利益額」
最後に、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。

計算上での考え方は「前年比で基準価額がマイナス5%とすると、1年後・2年後・3年後も5%ずつ減額した場合、3年分の分配金を足すと元金の100万円を超えているか否か?」
※増減率は1年前の基準価額から現在まで何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。

商品名 ラサール
グローバルREIT
国際投信
ワールドリート
オープン
ダイワ
グローバルREIT
DIAM
世界リート
インデックス
損保ジャパン
グローバルリート
ファンド
基準価額 3,651円 4,153円 3,369円 3,677円 10,989円
増減率 -16.8% -16.8% -10.5% -6.7% -16.2%
手数料 1.2% 0% 1.5% 2.5% 0%
信託報酬 1.50% 1.55% 1.48% 0.85% 1.44%
信託財産
留保額
0% 0% 0% 0.5% 0.5%
分配利回り 18.2% 17.2% 12.8% 10.6% 17.1%
3年分の
利益額
546,619円 516,948円 383,027円 317,171円 513,721円
100万で
3年運用
※基準価額増減考慮
1,111,425円 1,093,082円 1,084,513円 1,099,368円 1,097,654円
最終予想
利回り
3.58% 3.01% 2.74% 3.21% 3.15%
ワールドリート型の投信の比較表(ラサールグローバルリート・国際投信ワールドリートオープン・ダイワグローバルリート・DIAM世界リートインデックス・損保ジャパングローバルREIT)

上図の通り「損保ジャパングローバルREIT」は、分配金は高額で分配利回りである17%とラリートに次いで高い。ただし、それ相応に基準価額も削っておりラリート・国際投信のワールドリートに次いでマイナス幅は大きい。分配金と基準価額のマイナスを考慮した最終的な予想利回りは計算上は3%前後になった。累積投資額(分配金込みの基準価額)の1年間の騰落率では、上図にはないがプラス5%と好調だ。他社がマイナスに落ち込んでいる中では評価できる。このまま分配金が維持できれば、パフォーマンス面は安心だ。

最後に結論だが、最終予想利回りが高く手数料も証券会社によっては安いため悪くない投信といえそうだ。最終予想利回りもそうだが、ラリート・国際投信のワールドリートに次いで高い分配利回りで、それがプラスかマイナスかは置いておいても、分配金を生活費に考えている投資家には魅力的だろう。もちろん分配金は大部分が基準価額を削っている点は忘れずにおきたい。

また、分配金の維持では純資産額が問題だが、この投信は前述の通り200億円前後と少なく心もとない。現在こそ増加中だが、もしも純資産の減少が始まれば、早々に分配金の減額が始まる可能性が高い。毎月分配型の投信は純資産を削って分配金を出す傾向が強く、そういった意味では同様のパフォーマンスがある純資産が大きい投信の方が安心だ。現在保有中の人は、純資産が明らかに減少を始めるまでは様子見が賢明だろう。もしくは分配金の減額でも良いだろう。情勢から考えて、当面は解約・乗り換えは無いと考えて良いだろうが。。。