野村・アジア好配当株投信/ 野村アセットマネジメント

野村アセットマネジメント/アジア好配当株投信
オススメ度:
2
運用会社:
野村アセットマネジメント
商品名:
アジア好配当株投信
地域/決算:
アジア / 年4回(3ヶ月に1回)
対象資産:
株式
基準価額:
9,062円(2013年1月22日付け)
手数料:
2.5%(最安申込手数料 ※徳島銀行) 1.10%(信託報酬)

野村・アジア好配当株投信は前年から見れば驚異的な上昇だが?

この投信は、日本を除くアジア(中国、台湾、香港、韓国、シンガポール等)の企業の中で、配当利回りが高い銘柄・割安の銘柄に投資し、配当金と売買差益で基準価額の上昇と分配金を出している。純資産額はアジア・オセアニアに投資する投信の中では、トップである岡三のオジオセ好配当成長株投信との差は2,000億円以上だが、一応はナンバー2に位置する規模となっている。1番人気と差が離れた多くの2番人気の一角ともいえる。また、毎月分配ではなく年4回の分配という点に注意したい。さて、過去の分配履歴を振り返ると、2010~2012年は年4回の1回あたり100円で、長らく100円をキープしているようだ。

野村アジア好配当株投信の基準価額(基準価格)及び純資産の推移チャート

まず基準価額だが、2012年夏から大きく上昇に転じている。これは香港と台湾の株式市場が上昇したのもあるが、2012年後半のさらなる伸びは円安が大きく寄与している。頼もしい上昇ではあるが、現在も2007年のピークは元より2008年の数値にも追いついていない点で物足りなさがある。

ただし、累積投資額(分配込みの基準価額)では2008年時の数値に接近しており、2008年時に購入した人は分配金を加味すればプラスマイナス0円まで、あと一歩だ。中国市場が堅調&円安が続けば12,000円は視野に入りそうではある。一方で純資産は2007年から減少が止まらない。これ以上は野村も売る気は無さそうで、今後も分配金が減配される微妙なラインに近づいていそうだ。

野村・アジア好配当株投信の国別上位構成銘柄

この投信の組み入れ銘柄だが、国別比率ではトップの中国に小差で台湾が続き、次いで香港・韓国・シンガポールが並んでいる。分散されているようにも見えるが、中国と香港を合算すれば35%と3割を超える比率を占めており、香港市場には外国企業も上場はしているが、この投信が中国の経済情勢に大きく影響を受けるのは間違いない。

個別銘柄では「TAIWAN SEMICONDUCTOR」がトップで、同社は台湾以外に米国・オランダにも拠点を構える世界でも有数の半導体製造企業だ。株価も近5年で2倍以上に膨らんでいる。売買益でも十分に稼いでくれていそうな銘柄だ。6番手の「PETRO CHINA」は中国で最大級の石油・ガス製造販売の企業だが、ここ数年の株価は10~12のボックス圏で推移しており上昇は鈍い。こちらは配当金メインの銘柄といえそうだ。

中国の各種経済指標(GDP・小売売上・上海総合指数など)

この投信で実質3割近い投資比率を占める中国の経済情勢だが、GDP成長率では経済成長の勢いが鈍化している。とはいえ7~8%という成長は中国からすれば低いかもしれないが、新興国の成長率としては悪くはない。それを支えるのは小売売上で、特に自動車の販売台数は2010年から右肩上がりだ。ただし、家電・衣料・自動車で前年比を見ると、家電の売上が伸びていないのが目に付く。小売売上は伸びる余地はある。

決して悪くはない経済情勢ではあるのだが、上海総合指数(左図の左下のグラフ)は底値を推移し低調を極めている。主要な輸出先である欧州経済が鈍いこともあるが、前政権で利潤を得ていた人が、新政権が誕生する前に資金を海外に流出させるべく株式を売り叩いたのが響いている。新政権が定着するまで回復にはかなりの時間を要するだろう。香港市場は良好だが、上海市場の銘柄は、この投信にはマイナスに働いているはずだ。

次に、他社のアジアオセアニアに投資する海外株式型の投資信託(純資産ランキングで上位)と基準価額・手数料・信託報酬・利益(利益=分配金-手数料-信託報酬-信託財産留保額)・分配利回り等を比較した。加えて、基準価額の増減も加味して3年後に100万円が赤字か黒字か?を計算した。その場合、過去1年間の基準価額の増減が今後3年間も繰り返し、分配金も現状維持と仮定した。計算上は「前年比で基準価額がマイナス5%なら、1~3年後も5%ずつ減額すると仮定し、3年分の分配金を足すと元金100万円はプラスか?」※増減率は基準価額が1年前から何%下落したか?を表す。一般的な騰落率とは異なる数値。

商品名 岡三
アジア・オセアニア
好配当
野村
アジア好配当
投信
JPモルガン
日興JFアジア
ディスカバリー
大和住銀
アジア好配当
ファンド
三井住友
アジア・オセアニア
好配当
基準価額 4,944円 9,062円 12,095円 6,248円 6,599円
増減率 +15.9% +39.2% - +13.3% +32.5%
手数料 3.0% 2.5% 3.5% 3.0% 1.5%
信託報酬 1.05% 1.10% 1.67% 1.36% 1.58%
信託財産
留保額
0.5% 0.5% 0% 0% 0.5%
分配利回り 17.2% 3.3% -1.7% 1.8% 2.1%
3年分の
利益額
479,617円 99,421円 -85,100円 25,231円 41,707円
100万で3年運用
※基準価額
増減考慮
2,037,297円 2,769,208円 1,480,888円 2,368,439円
最終予想
利回り
26.7% 40.4% 13.9% 33.3%
アジアオセアアニア型の株式投信の比較表(岡三 好配当成長株オープン・野村アジア好配当投信・JPモルガン日興アジア ディカバリー・大和住銀アジア好配当ファンド・三井住友アジアオセアニア好配当)

上図で「野村・アジア好配当株投信」を比較したが、基準価額が1年前の2012年1月の6,508円から現在の9,062円まで4割近い急激な上昇を記録している。好調な香港市場が牽引したこともあるが、2012年後半から大きく円安に動いたのが上昇に寄与した。その他の手数料・信託報酬に目立った数字はなく、年4回の分配なのだが分配金額が少額(100円)のため、分配利回りは岡三とは比較にならないほど低い数字だ。しかし、最終予想利回りでは、基準価額の上昇が大きく寄与して40%近い数字となった。

しかし、このパフォーマンスが来年以降も継続するとは考えにくい。このペースを維持するなら3年後にはドル円で130円程度まで円安が進行する必要がある。そこまでの円安が進行する場合、もはや日本の景気回復・金融緩和のレベルではなく、日本の財政不安・国債の格下げといった状況が起きた場合だろう。そうなれば、アジア近隣諸国の株価が堅調に上昇するとは考えにくい。最終予想では出来過ぎの25%、よくて15%、妥当な5~8%といったところだ。

結論としては、今後も爆発的な上昇を期待できる楽観的な人以外には、強くはオススメしない。もともと分配金には期待できない投信ではあるが、純資産が500億円前後と少ないのも気になる。ここは大人しく岡三のアジオセ好配当を選んだ方が無難だろう。ただし、資産を定期預金・保険・他タイプの投信などに振り分けているのが前提だが、少額であれば爆発力に賭けて購入する手はなくはない。というのも、世界の経済を俯瞰して考えてみるに、今後も急激な成長が見込めるのはアジア・アフリカ・南米しかない。特にアジアは、アフリカほどの政情不安もなく安定している。米国大統領のオバマも重視する姿勢をとっており、今後が期待できる。少額なら賭けてみる価値は無くはない。