米国USドル/ 外貨普通預金の金利・為替コスト(手数料)・変動率比較

アメリカ合衆国・国旗
オススメ度:
3
通貨名:
USドル
国名:
アメリカ合衆国
金利:
0.06% ※住信SBIネット銀行
手数料:
1円あたり0.09円 ※住信SBIネット銀行
現在値:
83.1円(2012年3月20日時点)
最高値:
110.6円 ※過去5年の最高値

米国USドルでの外貨普通預金は最安値の為替手数料でメリットは大きい!

米ドルはアメリカ合衆国で発行されている通貨で、国際決済通貨としても広く利用されている。米ドルはアメリカ合衆国のみで利用できるイメージがあるが、エクアドル・パナマ・ジンバブエ等のように、自国の通貨を放棄し、米ドルを国内のオフィシャル通貨にしている国も多い。

さて、過去10年のドル/円の動きを見ると、2000年に入る前に付けた150円前後を境に、多少の上下動があるものの概ね下落傾向だ。2012年現在は、欧州債務問題による歴史的な円高から円安傾向に転じている。

米ドル・円の為替チャート

まずは左図の上のグラフを見ると、円/ドルが2007年6月をピークに上下しながらも円高傾向なのが分かる。円/ユーロも同様の動きなのだが、ドル/ユーロではそこまで片方の通貨に依存した動きをしているわけではない。相対的に円が強い展開が近5年間続いていると見ていい。

次に過去1年を振り返ると、現在は日銀の政策変更を機に円安への戻りを強め、2011年4月の86円を目指す動きだ。2012-2013年も現在の状況が続けば86円近辺まで行く可能性は大だ。ただし、長期で考えると、ここ5年の動きから円安局面が続いても95円近辺が限界ではないだろうか。ちなみに日本総研は米国超低金利政策などを理由に2012年内は80円前後の円高値圏での推移を予想している。

米国経済指標(失業率・小売売上高・住宅着工件数など)

ドル高に欠かせない米国の経済状況だが、失業率は左図の左上の通り下落している。ただし、25~34歳という働き盛りの年代の改善が他の年代よりも鈍い。この層の失業率が大きく改善してくれば、さらなる好景気の足がかりになる可能性がある。

小売売上高は2011年末には一旦減速したが、感謝祭~クリスマス商戦は好調で、例年、年明けには個人消費は減少するが、現在も上昇中だ。ただし、先般のFOMCの声明でもあったが、原油高が消費を圧迫しつつあり、原油高が進行すれば個人消費の増加を止める要因になる。住宅着工件数は、やっと底打ちから反発しかけている状態で、まだ回復は鈍い。やはり全体的に回復途上、緩やかな回復状態といえそうだ。

次に、外貨普通預金を始めるにあたり、各銀行の金利と手数料を比較した。金利が高くとも、為替コスト(手数料)が高額であれば、実際に手元に入る利益は減額されるため、金利から手数料を差し引いた金額を計算した。この場合、為替の上下(為替益)と税金は考えないものとし、預け入れ時の金額は100万円で1年間の運用で計算した。また、便宜上、100円=1ドルから変動しないものとして計算し、特殊なキャンペーン金利などは無視することとした。
預け入れ時:100万 ÷(100円+手数料)=預け入れ時のドル
払い戻し時:預け入れ時のドル ÷(100円+手数料)=払い戻し時の円
利息:預け入れ時のドル×金利×1年

外貨預金の銀行毎の金利・手数料・利息・手数料と利息の差(住信SBI・楽天銀行・ソニー銀行・スルガフィン工・新生銀行・三井住友銀行・三菱東京UFJ銀行)

上図の通り、各銀行で米ドルで外貨普通預金を組んだ場合には、金利、手数料共に住信SBI銀行が最も有利な数字になっている。金利は0.01%しか他行とは差が無いが、手数料が他行を圧倒している。

実際に100万円で1年運用した場合には、手数料を楽天やソニー銀行といった他ネット系の銀行と比較しても3千円程度の差額が発生する計算になり、無視はできない数字の差といえる。

次に、住信SBIで米ドルで外貨普通預金を組むとして、米ドルでの外貨普通預金と他国の通貨での外貨普通預金を組んだ場合の金利や1外貨あたりの手数料、近1年・近5年の為替レンジ、変動率(どの程度の比率で為替が変動したか? ※パーセンテージが低いほど変動しても相対的な差は狭い)、為替が変動しなかった場合の100万円を1年運用した場合の損益を比較した。計算上の為替レートは2012年3月時点の数字を採用した。

外貨預金の通貨毎の金利・手数料・レンジ・最大変動幅・変動率・運用例(米ドル・豪ドル・ユーロ・NZドル・英ポンド・スイスフラン・南アフリカランド)

米国ドルでの外貨普通預金は、為替が変動しない場合、他国の通貨と比較すると優秀な部類に入る。この原因は、他国よりも金利が高いということではなく、手数料が他国通貨よりも異様に安いためだ。

ここ数年では、大きく動いているイメージが強い米ドルだが、実際には最高値の状態から40%程度しか変動していない。この変動率はスイスフランに次いで安定していることを表している。ちなみに、近々5年でドル高円安の最高値をつけたのは2008年8月のリーマンショック前の好景気、逆にドル安円高は昨年2011年10月の欧州債務問題の際のリスク回避による円買いの時となっている。

結論としては、米国経済が未だ回復途上で、これからもドル高となる要因は残されている点、さらに手数料が他通貨よりも安く為替差益を無駄なく得られる点も良い。比較的、安定した外貨普通預金を望むのであればオススメはできそうだ。

ただし、金利が低いため為替差益以外で利益を発生させるのは難しい。2007年、大きく見れば2002年から続いている円高傾向を考えれば、5年程度の運用期間を持って現在の円高から反発しても、100円前後が限界とも読める。5年で10%程度の利益では、年利で2%強の計算になる。それであれば豪ドルで金利を享受しながら円安を待った方がベターかもしれない。