香港ドル/ 外貨普通預金の金利・為替コスト(手数料)・変動率比較

香港地域の旗
オススメ度:
2
通貨名:
香港ドル(HK$)
国名:
香港(中華人民共和国香港特別行政区)
金利:
0.01% ※住信SBIネット銀行
手数料:
1円あたり0.07円 ※住信SBIネット銀行
現在値:
10.7円(2012年3月20日時点)
最高値:
15.8円 ※過去5年の最高値

香港ドルでの外貨普通預金は結局は米ドルにした方がベターなのか?

香港ドルは中国の経済特区である香港で流通している通貨で、非公式ではあるが同じ中国で発展が著しいマカオでも流通している。為替レートに関しては変動相場制ではなく、米ドルと連動する固定相場制(ドルペッグ制)になっている。ただし、現在のレートは完全に固定されているわけではなく、1米ドル=7.75~7.85香港ドルの幅で変動している。そのため円と香港ドルの動きを見ても、円と米ドルのチャートと同様の動きをしている。

香港ドル・円の為替チャート

さて、ここ5年の動きは、米ドルと同様に基本的に香港ドル安・円高の傾向になっている。左図上グラフの10年スパンの通り、2008年のサブプライム問題で米ドルと連動し円高に動き、2011年の欧州債務問題で、さらに一段と円高になった。

現在は、欧州債務で円高が続いており、回復も鈍かったが、日銀の追加緩和で一気に香港ドル高・円安に動いてきた。しかし、それも限定的に作用しただけで、現在は一段落して伸び悩んでいる。さらに、ここから一段と香港ドルに進むには、時間か大きなイッカケが必要になりそうな動きにチャートでは見える。

米国経済指標(失業率・小売売上高・住宅着工件数など)

香港は米ドルと連動するため、米ドル高を握る米国経済の動向を調べてみる。失業率は左図の左上の通り下落している。ただし、25~34歳という働き盛りの年代の改善が他の年代よりも鈍い。この層の失業率が大きく改善してくれば、さらなる好景気の足がかりになる可能性がある。

小売売上高は2011年末には一旦減速したが、感謝祭~クリスマス商戦は好調で、例年、年明けには個人消費は減少するが、現在も上昇中だ。ただし、先般のFOMCの声明でもあったが、原油高が消費を圧迫しつつあり、原油高が個人消費の増加を止める要因になるかもしれない。住宅着工件数は、底打ちから反発しかけている状態で回復は鈍い。やはり全体的に回復途上、緩やかな回復状態といえそうだ。

次に、香港ドルで外貨普通預金を始めるにあたり、各銀行の金利と手数料を比較した。金利が高くとも為替コスト(手数料)が高額であれば、実際に手元に入る利益は減額されるため、金利から手数料を差し引いた金額を計算した。この場合、為替の上下(為替益)と税金は考えないものとし、預け入れ時の金額は100万円で1年間の運用で計算した。また、便宜上、10円=1香港ドルから変動しないものとして計算し、特殊なキャンペーン金利などは無視することとした。
預け入れ時:100万 ÷(10円+手数料)=預け入れ時の香港ドル
払い戻し時:預け入れ時の香港ドル ÷(10円+手数料)=払い戻し時の円
利息:預け入れ時の香港ドル × 金利 × 1年

外貨預金の銀行毎の金利・手数料・利息・手数料と利息の差(住信SBI・楽天銀行・ソニー銀行・スルガフィン工・新生銀行・三井住友銀行・三菱東京UFJ銀行)

香港ドルは、実際には三井住友や三菱東京UFJも取り扱っているが、金利や為替手数料が公表されていなかったため、今回は対象から外した。他国通貨と同様に、大手銀行は手数料が高めなので、公表されていたとしてもネット銀行の足元にも及ばないだろうが。さて上図の通り、各銀行で香港ドルで外貨普通預金を組んだ場合を比較すると、金利は横並びだが、為替手数料は住信SBI銀行が優秀だ。100万円で1年運用した場合、手数料は最大30,000円程の差額が発生する。これから運用するなら住信SBI銀行で決まりだろう。

次に、住信SBIで香港ドルで外貨普通預金を組むとして、他国の通貨での外貨普通預金を組んだ場合の金利や1外貨あたりの手数料、近1年・近5年の為替レンジ、変動率(どの程度の比率で為替が変動したか? ※パーセンテージが低いほど変動しても相対的な差は狭い)、為替が変動しなかった場合の100万円を1年運用した場合の損益を比較した。計算上の為替レートは2012年3月時点の数字を採用した。

外貨預金の通貨毎の金利・手数料・レンジ・最大変動幅・変動率・運用例(米ドル・豪ドル・ユーロ・NZドル・英ポンド・スイスフラン・南アフリカランド)

香港ドルでの外貨普通預金は為替が変動しない場合、他国通貨と比較すると想定の利益は低い。金利がスイスフラン並に低いため、運用期間を延ばしてもスズメの涙程度で、為替益が無ければ苦しい。

ここ数年の変動率を見ると61.4%で、なかなか優秀な部類ではある。他国通貨と同様に、香港ドルが最高値になったのは2007年のサブプライム前の好景気、最安値になったのは昨年2011年の欧州債務問題がピークに達しつつあった時期だ。

結論としては、非常に中途半端な数字で、あまりオススメはできない。そもそも米ドルと連動することを考えれば、金利が高い米ドルの方が有利であるし、さらに手数料も米ドルの方が安いため、それなら米ドルで外貨預金を組んだ方がいい。ただし、米ドルは米国経済が未だ回復途上で、これからもドル高となる要因は残されている。それに連動して香港ドルも上昇する可能性はある。それでも金利を考えれば米ドルで十分だろう。米ドルの方が、ニュースなどでも逐一放送され把握しやすく、個人投資家でも組みやすいのも良い。