カナダドル/ 外貨普通預金の金利・為替コスト(手数料)・変動率比較

カナダの国旗
オススメ度:
3
通貨名:
カナダドル(CAD)
国名:
カナダ
金利:
0.31% ※住信SBIネット銀行
手数料:
1円あたり0.40円 ※住信SBIネット銀行
現在値:
83.7円(2012年3月20日時点)
最高値:
109.6円 ※過去5年の最高値

カナダドルでの外貨普通預金は金利は比較的高めで安定感はあるが?

カナダドルはカナダで流通している通貨で、非公式ではあるがカナダ横にあるがフランス領であるサンピエール島などでも利用されている。為替レートに関しては、2002年から2008年まではカナダドル高に向けて上昇を続けていたが、サブプライム問題で下落し、その後、持ち直す動きを見せたが欧州債務問題で対円では下落を続けている。一方でカナダドル/USドルで見ると、カナダドル安の歴史が長かったが現在は等価に近い。

香港ドル・円の為替チャート

さて、ここ10年のカナダドルの対円での動きを見ると、他国通貨と同様に2008年に大幅に下落したが、ここ数年は比較的安定しているようだ。おおむね80~90円台で推移している期間が長いようだ。

現在までの1年間では、カナダドルは対円でも対米ドルでも下落傾向にある。カナダドルは資源国通貨としての色合いが強く、そのため円や米ドルなどの安定した通貨へと逃げた格好か。。。2012年に入ってからは、欧州の問題が収束しつつあり、それを背景に再びカナダドル高に戻ってきている。この勢いがあれば、2011年4月時の90円近辺まではカナダドル高に動くのは間違いなさそうだ。

経済指標(失業率・小売売上高・住宅着工件数など)

カナダドル高を左右するカナダ経済だが、現在はおおむね良好だ。近々2011年のGDP成長率は市場予測を上回る成長をしている。カナダはアメリカ向けの輸出が主となっているため、アメリカ経済が緩やかに回復していることから、それに連動してカナダ経済も好調になっていると考えていい。

左図の左下グラフを見ると、カナダの失業率は徐々に下がり始めている。長らくカナダの失業率はアメリカを上回る高さだったが、アメリカを下回るのも定着し始めた。貿易収支も前述したアメリカ経済の回復で2008年のリーマンショック時の水準まで上昇している。資源高の傾向も続いており高騰する鉄鉱石・石油も、豊富な資源を有するカナダにはプラスに働くだろう。

次に、カナダドルで外貨普通預金を始めるにあたり、各銀行の金利と手数料を比較した。金利が高くとも為替コスト(手数料)が高額であれば、実際に手元に入る利益は減額されるため、金利から手数料を差し引いた金額を計算した。この場合、為替の上下(為替益)と税金は考えないものとし、預け入れ時の金額は100万円で1年間の運用で計算した。また、便宜上、90円=1カナダドルから変動しないものとして計算し、特殊なキャンペーン金利などは無視することとした。
預け入れ時:100万 ÷(90円+手数料)=預け入れ時のカナダドル
払い戻し時:預け入れ時のカナダドル ÷(90円+手数料)=払い戻し時の円
利息:預け入れ時のカナダドル × 金利 × 1年

外貨預金の銀行毎の金利・手数料・利息・手数料と利息の差(住信SBI・楽天銀行・ソニー銀行・スルガフィン工・新生銀行・三井住友銀行・三菱東京UFJ銀行)

カナダドルは、実際には三井住友や三菱東京UFJも取り扱っているが、金利や為替手数料が公表されていなかったため、今回は対象から外した。他国通貨と同様に、大手銀行は手数料が高めなので、公表されていたとしてもネット銀行の足元にも及ばないだろうが。さて上図の通り、各銀行でカナダドルで外貨普通預金を組んだ場合を比較すると、金利・為替手数料共に住信SBI銀行が優秀だ。100万円で1年運用した場合、手数料は最大30,000円近い差額が発生する。これから運用するなら住信SBI銀行で決まりだろう。

次に、住信SBIでカナダドルで外貨普通預金を組むとして、他国の通貨での外貨普通預金を組んだ場合の金利や1外貨あたりの手数料、近1年・近5年の為替レンジ、変動率(どの程度の比率で為替が変動したか? ※パーセンテージが低いほど変動しても相対的な差は狭い)、為替が変動しなかった場合の100万円を1年運用した場合の損益を比較した。計算上の為替レートは2012年3月時点の数字を採用した。

外貨預金の通貨毎の金利・手数料・レンジ・最大変動幅・変動率・運用例(米ドル・豪ドル・ユーロ・NZドル・英ポンド・スイスフラン・南アフリカランド)

カナダドルでの外貨普通預金は為替が変動しない場合、他国通貨と比較すると想定の利益は中程度。金利は資源国通貨らしく高めだが、それでもオーストラリアとニュージーランドには及ばない。その割りに手数料は2国と同額だ。1年で手数料の元は取り戻せないが、この金利であれば複数年で為替差益無しでも手数料の元はとれる計算だ。ここ数年の変動率を見ると65.0%で、なかなか優秀な部類ではある。他国通貨と同様に、カナダドルが最高値になったのは2008年のサブプライム前の好景気、最安値になったのは2009年の欧州債務問題がピークに達しつつあった時期だ。

結論としては、なかなかオススメできそうだ。資源国通貨らしく金利は高めで、さらに変動率が豪ドルやNZドルよりも狭く優秀だ。手数料も2国と同額で悪くない。さらにはカナダ経済が米国経済と連動して好調に推移しているのも良い。ただ、単純に金利だけ考えれば豪ドル・NZドルの方が高いため、それらを選ぶのも手ではある。前述の2国とも経済状況も悪くない。ただし変動率の幅が大きく、豪ドルは先高感があるのもネックではあることには注意したいところだ。