ブラジル・レアル/ 外貨普通預金の金利・為替コスト(手数料)・変動率比較

ブラジルの国旗
オススメ度:
2
通貨名:
ブラジル・レアル(BRL)
国名:
ブラジル
金利:
0.40% ※ソニー銀行
手数料:
1円あたり1.0円 ※新生銀行
現在値:
46.2円(2012年3月20日時点)
最高値:
69.0円 ※過去5年の最高値

ブラジル・レアルでの外貨普通預金は期間限定では薦められる?

ブラジル・レアルはブラジルで流通している通貨だ。ブラジル政府は過度なインフレを懸念しているため、通貨単位の切り上げ(デノミ)を先進国とは比較にならない程に実施しているため、最近20年で見ても4度も通貨の名称変更している。(クルザード → 新クルザード → クルゼイロ → クルゼイロレアル → レアル) 為替レートに関しては、対円では他国通貨とは同様の動きで、2008年近辺のリーマンショック時には円高、2011年の欧州債務時の円高となっている。しかし、他国通貨が年明け後の日銀の金融緩和での円安に動いている中でレアルに関しては回復は鈍い。レアル/USドルで見ると、2003年以来、レアル高へ流れているが、それは他国通貨と同様だ。

香港ドル・円の為替チャート

近5年のレアルの対円での動きは、リーマンショックと欧州債務問題で下落している。その間のレンジは50~55円を行き来している。

2012年現在は39年とリーマン時のレベルまで安くなっている。ここから普通に考えれば、50~55円近辺までは戻ってもおかしくはない。問題は、その期間をどれぐらい要するかということか。

ちなみに、三菱UFJモルガンのアナリストは、2012年後半でも39-50円のレンジを予想している。世界的なリスク回避志向、米国の追加緩和等の新たな金の流れが必要になると見ているようだ。。。

ブラジル経済指標(失業率・小売売上高・住宅着工件数など)

レアル高を左右するブラジル経済だが、2011年には失速していたが、2012年に入り持ち直し始めている。実際のところ、鉱工業生産も2011年を過ぎてからは反発を始めている。しかし、輸出量こそ若干減少が見られ、やはり欧州問題や中国経済の失速がブラジル経済の足かせになっているようだ。また、ブラジル経済を引っ張っている中間層の動向だが、米国民が残高を削って消費しているのに反して、ブラジル国民は残高も増やしている。そのうえで、新車を購入数をキープするなど、消費意欲は依然として高い。政府の利下げも功を奏しているといえる。まだ2014年W杯、2016年オリンピックでインフラ整備の予算も見込める。やはり、まだまだ成長期待はある。

次に、ブラジル・レアルで外貨普通預金を始めるにあたり、各銀行の金利と手数料を比較した。金利が高くとも為替コスト(手数料)が高額であれば、実際に手元に入る利益は減額されるため、金利から手数料を差し引いた金額を計算した。この場合、為替の上下(為替益)と税金は考えないものとし、預け入れ時の金額は100万円で1年間の運用で計算した。また、便宜上、46円=1レアルから変動しないものとして計算し、特殊なキャンペーン金利などは無視することとした。
預け入れ時:100万 ÷(46円+手数料)=預け入れ時のブラジル・レアル
払い戻し時:預け入れ時のレアル ÷(46円+手数料)=払い戻し時の円
利息:預け入れ時のシンガポール・ドル × 金利 × 1年

外貨預金の銀行毎の金利・手数料・利息・手数料と利息の差(住信SBI・楽天銀行・ソニー銀行・スルガフィン工・新生銀行・三井住友銀行・三菱東京UFJ銀行)

ブラジル・レアルは、実際には三井住友や三菱東京UFJも取り扱っているが、金利や為替手数料が公表されていなかった。その他のネット銀行を含めて各銀行を調べたが、ブラジル・レアルを扱っているのはソニー銀行のみだった。もちろん、FXなどであれば別だろうが、とりあえず外貨普通預金でレアルを利用するならソニー銀行しか無さそうだ。

次に、ソニー銀行でレアルで外貨普通預金を組むとして、他国の通貨での外貨普通預金を組んだ場合の金利や1外貨あたりの手数料、近1年・近5年の為替レンジ、変動率(どの程度の比率で為替が変動したか? ※パーセンテージが低いほど変動しても相対的な差は狭い)、為替が変動しなかった場合の100万円を1年運用した場合の損益を比較した。計算上の為替レートは2012年3月時点の数字を採用した。

外貨預金の通貨毎の金利・手数料・レンジ・最大変動幅・変動率・運用例(米ドル・豪ドル・ユーロ・NZドル・英ポンド・スイスフラン・南アフリカランド)

ブラジル・レアルでの外貨普通預金は為替が変動しない場合、他国通貨と比較すると想定の利益は無く、金利は高めではあるが、手数料の元をとろうとすると100万円程度では10年は要する。現実的に考えて為替差益を狙うしかない。2~3円程度の上昇は必要だ。ここ数年の変動率を見ると52.2%で、新興国としては優秀な部類だ。意外と安定力のある通貨だが、資源高やイベントが一通り終わった後のことを考えると、もちろん不安は無いわけではない。

結論としては微妙なところだが、とりあえず2016年のイベント近辺までの限定であればオススメできるかもしれない。今のレアルは相対的には安く為替差益は狙える。しかし、50円近辺は目前なのだから、ここからの上昇でも10円があるかないか、というレベルだと考えるのが無難だ。それを踏まえたうえであれば、レアルで外貨普通預金を組むという手はある。