オーストラリア・豪ドル/ 外貨普通預金の金利・為替コスト(手数料)・変動率比較

オーストラリア国旗
オススメ度:
4
通貨名:
豪ドル(AUD)
国名:
オーストラリア
金利:
1.75% ※住信SBIネット銀行
手数料:
1円あたり0.4円 ※住信SBIネット銀行
現在値:
87.9円(2012年3月20日時点)
最高値:
105.0円 ※過去5年の最高値

豪ドルでの外貨普通預金は大きな為替差益は期待せず住信SBIの高金利狙い!

豪ドルはオーストラリアで発行されている通貨で、1966年から発行を開始したため、通貨としては比較的歴史は浅い。1966年まではオーストラリアポンドが通貨として普及しており、レートもイギリスポンドに準じた数字だった。豪ドルはオーストラリア本国だけではなく、オーストラリア近海のポリネシア諸国でも流通している。過去2年の豪ドル/円の動きを見ると、上下動はあるが概ね平均すると80円前後での動きといえるか。一方で豪ドル/USドルで見ると、完全に豪ドル高が進んでいる。

オーストリアドル・円の各種為替チャート

グラフの通り、ここ10年の豪ドルの対円でのチャートは、激しく上下しており単純には動きは読みにくい。

一方で、豪ドルの対円の相場は、NYダウと連動するように激しく上下しており、米国経済の景気を表すNYダウと連動した動きで、米国経済の回復局面では豪ドル高・円安に動く傾向にある。米国経済と日本経済は突発的な事件や細かい差を除けば連動するため、日本経済の景気回復局面では豪ドル高円安に動く。投資家としては、景気好転の局面では高金利の豪ドルで利益を稼ぎたいという心理が働くのかもしれない。逆に考えると、現在のNYダウが13,000円を超えて、リーマン前の金額まで上昇するとすると、豪ドルは100円程度までは上昇が見込めるか。。。

オーストラリア・各種経済指標(小売売上・失業率など)

豪ドル高に欠かせないオーストラリア経済の状況だが、2011年は実質GDPはプラス0.8%、プラス0.4%と景気拡大は鈍化している。資源関連の投資が伸びるか否かが鍵を握っているが、オーストラリアの内需は鈍っている。その点、左図の右上グラフの通り、2012年も液化天然ガスなどの鉱業関連での設備投資が増加する見込みになっているため、そこからの賃金上昇→内需拡大は期待はできる。

一方で、小売売上に目を向けると、高止まりの状態が続いており、さらに失業率も5%強から回復はせず苦しい数字だ。資源がある限りは安心感がある国だが、金融引き締め等の政策次第では、伸びがイマイチの状況が長期的に続く可能性もある。

次に、豪ドルで外貨普通預金を始めるにあたり、各銀行の金利と手数料を比較した。金利が高くとも、為替コスト(手数料)が高額であれば、実際に手元に入る利益は減額されるため、金利から手数料を差し引いた金額を計算した。この場合、為替の上下(為替益)と税金は考えないものとし、預け入れ時の金額は100万円で1年間の運用で計算した。また、便宜上、100円=1豪ドルから変動しないものとして計算し、特殊なキャンペーン金利などは無視することとした。
預け入れ時:100万 ÷(100円+手数料)=預け入れ時の豪ドル
払い戻し時:預け入れ時の豪ドル ÷(100円+手数料)=払い戻し時の円
利息:預け入れ時の豪ドル×金利×1年

外貨預金の銀行毎の金利・手数料・利息・手数料と利息の差(住信SBI・楽天銀行・ソニー銀行・スルガフィン工・新生銀行・三井住友銀行・三菱東京UFJ銀行)

上図の通り、各銀行で豪ドルで外貨普通預金を組んだ場合には、金利・手数料共に住信SBI銀行が最も有利な数字になっている。金利は楽天銀行とは0.05%しか差が無いが、メガバンクと比較すると1.2%という大きな差がある。手数料でもメガバンクの5分の1程度と圧倒している。実際に100万円で1年運用した場合には、手数料は1,000円~40,000円程の差額があり、利息も10,000円近い差額があり、これから運用するなら住信SBIで決まりだろう。

次に、住信SBIで豪ドルで外貨普通預金を組むとして、豪ドルでの外貨普通預金と他国の通貨での外貨普通預金を組んだ場合の金利や1外貨あたりの手数料、近1年・近5年の為替レンジ、変動率(どの程度の比率で為替が変動したか? ※パーセンテージが低いほど変動しても相対的な差は狭い)、為替が変動しなかった場合の100万円を1年運用した場合の損益を比較した。計算上の為替レートは2012年3月時点の数字を採用した。

外貨預金の通貨毎の金利・手数料・レンジ・最大変動幅・変動率・運用例(米ドル・豪ドル・ユーロ・NZドル・英ポンド・スイスフラン・南アフリカランド)

オーストラリアドルでの外貨普通預金は、為替が変動しない場合、他国の通貨と比較するとトップの利益を叩き出す計算だ。金利自体は南アフリカに劣る数字だが、豪ドルは手数料が1豪ドルあたり0.4円で済むが、南ア・ランドでは1ランドあたり0.25円が発生するため、100万円という同額を変えても手数料がランドの方が高額になってしまう(ランドは10.9円毎に0.25円の手数料、豪ドルは87.9円毎に0.4円の手数料)

安定しているイメージが強い豪ドルではあるが、実際には最高値の状態から90%程度も変動する可能性があることは覚えておきたい。ユーロやポンドよりも変動する比率は高い。ちなみに、近々5年で豪ドル高円安の最高値をつけたのは2008年8月のリーマンショック前の好景気、逆に豪ドル安円高は同様に2008年10月のリーマン直後の円買いの時となっている。その際には再び80円近辺に戻るのに1年を要している。

結論としては、豪州経済は成長が鈍化している状態で、これからの大きな伸びは期待はできないが、トラブル時に真っ先に反発する力と高金利を鑑みれば、安定力と高金利を享受したい人には、他国通貨よりもオススメはできそうだ。問題は、これからの豪ドル高がどこまで期待できるかという点だ。NYダウとの連動を考えれば、長期で考えても90円強が限界ともとれる。また、豪州経済を見ても景気の加速が明らかに鈍化しているため期待は薄く、資源高を待つしかない。為替差益には大きな期待は持たずに運用するといいだろう。