不動産の譲渡と税金

マイホーム買い替えの税金の特例は注意点が意外と多い!?

個人が自分の居住用の住宅・マンションなどを譲渡・売却した場合、その譲渡で得た所得(売却益)は3000万円までは実質的には非課税となるが、この特別控除を利用しなければマイホームの買い替えの特例が利用できる。この特例は買い換えたマイホームが、売却したマイホームよりも高い場合、その利益は課税が繰り延べされる(マイホーム買い替え時の税金の特例を参照)

ただし、その利用条件は一般的に注意すべきポイント以外に、売却する不動産・買換える不動産に注意点が散見される。そのため税理士(+不動産鑑定士など)を利用せずに、自分で条件を確認して必要書類をまとめて申請する場合には、全ての条件を詳らかに確認する必要がある。

まず確認したいのは「譲渡資産の範囲」だ。これは譲渡する資産、つまりは売却するマイホームの条件のことを指している。条件は5つあり、第一に自分が居住している(していた)家屋で、10年以上は居住している必要がある。正確には、譲渡する年の1月1日時点で所有期間が10年を超える必要がある。例えば、2005年3月に譲渡するなら、2005年1月1日で10年を超える必要があるため、1995年12月31日よりも前から居住している必要がある。譲渡する3月時点で10年を超えても条件を満たさないということだ。

第二、第三、第四の条件は第一の条件にも関係する。第二の条件は10年は住んでいたが、売却前に他の家屋に転居した場合に、転居後の3年間のうちに売却することが必要というものだ。第三の条件は、建物だけでなく土地も売却する場合には、土地も居住用として10年間は用いたことが必要というものだ。第四の条件は家屋が火災などで滅失した場合で、その場合も10年は居住していて、滅失後の3年以内に譲渡することが必要というもので、基本的な中身は他の条件と大きくは異ならない。

第五の条件は前掲の条件とは異なり、譲渡額(売却額)が1億円未満というものだ。建物だけでなく土地と建物の合計額のため注意が必要だ。また、2013年には上限額1億5千万円であったことから、今後は特例自体が維持されても上限額が減る可能性を考慮する必要がある。これらの条件をまとめて一覧にすると下図のようになる。

マイホームの買い替えの特例を利用時の譲渡資産(売却する不動産)の範囲・条件

他方で「買替資産の範囲」にも条件がある。買替資産は、新たに購入するマイホームと土地を指している。条件は6つあり、第一に土地は500平方メートル以下、建物は50平方メートル以上とされている。建物の面積に上限はないが、土地・建物のセットでの売却であれば、普通に考えれば500平方メートルが限界となるだろう。また、既存住宅(中古住宅)だと面積だけでなく耐火住宅なら建築後25年内、もしくは新耐震基準に適合することが条件となる。

第二の条件は条件ではなく注釈に近いが、買換資産は一括して取得する必要がなく、土地・建物のどちらかだけ取得して居住に利用してもというものだ。つまりは、土地・建物を売却したが、買い替えたのは建物だけという場合も買替資産になるということだ。

第三、第四の条件は相互が若干関係するが、前者は店舗兼住宅を購入するなら住宅部分のみが買換資産とするというもので、後者は2つ以上の家屋だと主として居住用にする家屋のみが買換資産となるというものだ。いずれにせよ居住用ということを再掲するものだが、後者は別荘などと同時に購入すると、主に居住する家屋のみが買換え資産となることになる。

第五、第六の条件も相互が若干関係するが、前者は買換え後の1年内に死亡して相続が発生した場合も被相続人が特例を利用できるというもので、後者は逆に贈与・交換・出資・代物弁済によって資産を取得としても買換資産にはならないというものだ。第五の条件が購入以外の方法で例外として唯一認められた買換資産の取得方法ということだ。これらの買換資産についての条件をまとめると下図のようになる。

マイホームの買い替えの特例を利用時の買換資産(購入する不動産)の範囲・条件

以上がマイホームの買い替えの特例についての注意点だが、特例を受けるためには必要書類を揃えて確定申告をする必要がある。書類には登記証明書も必要になるが、法務局に赴かずともインターネットで請求できるため積極的に利用したいところだ。また、確定申告については特例だけでなく他の特例や、給与所得以外の所得があるようだと計算に自信が持てなくなるときもあるだろう。そういった時は税理士の無料相談や、自治体主催の無料の税金・不動産・確定申告相談会などを利用するのも手だ。