不動産の譲渡と税金

土地建物・機械の交換は所得税の課税が繰り延べされる!?

個人が誰かと資産を交換をした場合、取得した資産の時価により所得税が課される。つまりは交換によって発生した差額(利益)が所得とみなされて、所得税が課されるということだ。金銭でなく物のため、交換した物の時価で差し引きすることになる。例えば、時価1000万円の建物を1100万円の建物と交換したなら、手元にはないが実質的な利益となる100万円に課税されるということだ。

ただし、1年以上所有していた固定資産を同じ種類の固定資産と交換し、それを同一の用途に使用した場合は課税が繰り延べられる。課税が繰り延べられるだけで、非課税となるわけではない点に注意が必要だ。それでは、この特例が適用される条件と、「課税の繰り延べ」とは一体何なのか?

まず条件としては、交換するものが共に固定資産である必要がある。固定資産とは、土地建物の他に、それに付随する借地権や構築物(堀など)がある。他に機会・装置や船舶なども固定資産に含まれる。これらを、自分が1年以上保有しており、かつ相手も1年以上保有している必要がある。また、交換する物の時価の差が20%以内であることが必要となる。例えば、時価1000万円の土地と1500万円の土地が交換された場合には、課税が繰り延べられないということになる。

また、重ねてになるが、同一物を同一の目的で利用することも条件にある。住宅用に利用していた1000万円の土地を、1200万円の土地と交換した場合には、手に入れた土地も住宅用に利用しなければならない。

それでは、これらの条件をクリアすると「課税の繰り延べ」が受けられる。この「課税の繰り延べ」は税金の徴収が後回しになると同義と考えていい。仮に1000万円の土地と1200万円の土地を交換して、その10年後に土地を1500万円で売却したとしよう。この場合、最初の交換時に実質的には利益になっている200万円に対する課税は見送られる。1200万円の土地を1500万円で売却して300万円の利益を受け取った時に、以前の交換で得た200万円と合算して500万円分の利益に所得税をかけるということだ。

考えてみれば当然だが、最後の売却の時点で300万円の利益にしか課税されなければ、トータルで得たはずの500万円の利益の一部が課税を逃れていることになる。そうはならないようにするための措置ともいえるが、利用者にとってもメリットがなくは無い。

そもそも同じ用途で利用するのに譲渡益に課税されると、手元に利益が現金として存在しないにも関わらず、課税され交換した人に重い負担になる。現金の負担を回避できる点でメリットがあるといえる。また、株・債券などの税の繰り延べ効果はないものの、現金はないが実質的な利益である200万円を運用したり、デフレ下であれば繰り延べられた利益である200万円の価値は大きくなる(デフレ下に不動産価格は上昇し難いが)になる。

以上が固定資産の交換の税の繰り延べだが、交換時に差額(交換差金)を受け取った場合や売却額で損失が出た場合などはは計算式は少し厄介になるケースもある。そのため自分で計算してもいいが、税理士(+不動産鑑定士)の電話無料相談や、自治体主催の無料の税金・不動産・確定申告相談会などを利用するのも手だ。