不動産の譲渡と税金

マンション建て替えなどが原因の不動産の譲渡は税金が優遇される!

個人が土地・建物などの不動産を他者に譲渡(譲り渡した/売った)した場合、その利益である譲渡所得には税金が課せられる。譲渡する土地建物の所有期間が5年以下であれば短期譲渡所得となり、税率は20.315%(所得税・住民税・復興税)が課せられる。所有期間が5年以上であれば長期譲渡所得でとなり、税率は39.63%に倍増する。

土地建物の譲渡所得(長期譲渡所得と短期譲渡所得)に係る所得税・住民税・復興税の税率

ただし、所有期間が5年超の長期譲渡所得で、かつ「優良住宅地の造成等のための土地等の譲渡」に該当すれば税率が軽減される。この「優良住宅地の~」は言語明瞭意味不明なため、具体的な該当するケースで考えた方がいい。該当するのは、

  • ・国や地方公共団体への譲渡
  • ・都市再生機構への譲渡
  • ・防災街区整備事業のための譲渡
  • ・都市再生事業のための譲渡
  • ・公共施設の整備を伴う宅地造成のための譲渡
  • ・マンションの建て替えの円滑化法による建て替えのための譲渡
  • ・優良住宅等建設事業や整備事業のための譲渡

などが挙げられる。大別すると国・地方公共団体や公共に近い団体への譲渡と、マンションや優良住宅建設などの一部の法律によるものに大別される。前者は、所有する土地が高速道路やダムの予定地になった場合や、都市再生機構がUR賃貸住宅を建設するための土地を譲渡するような場合が考えられる。

後者は、耐震性不足のマンションを建て替える場合や、街並みの整備や都市施設の整備などを目的とした建築物・敷地の整備などが挙げられる。特に耐震性不足によるマンションの建て替えは、今後起こると予想されている南海トラフ沖地震などを考えれば、既にマンションに住んでいる人も、これからマンションを購入する人も、この耐震不足によってマンションの譲渡は税率が軽減される点は覚えておいて損は無い。

肝心の軽減される税金の額だが、下図の計算式で税額が計算できる。ポイントは2000万円を超える額でも問題ないが、あくまで軽減されるのは2000万円までという点だ。2000万円以降は上述の税率と同じ税率になってしまう。

優良住宅地の造成等のための土地等の譲渡の場合の税額の計算方法

ちなみに、長期譲渡所得ではなく所有期間が5年以内の短期譲渡所得の場合でも、国・地方公共団体や都市再生機構等への譲渡であれば、税率は約39%ではなく平時の長期譲渡所得と同じ約20%の税率に軽減される。マンションの建て替えなどは該当しないが、短期であっても不可抗力による国への譲渡であれば、税の軽減がある点は覚えておいて損は無い。

以上が「優良住宅地の造成等のための土地等の譲渡」の場合の税の軽減だが、この特例は2016年末が一応の期限(延長の可能性あり)となるため注意しておきたい。また、上述したケースは代表例のため、それ以外にも該当する可能性はある。自分のケースが条件に合致しないと思えても、念のため税理士(+不動産鑑定士)の電話無料相談や、自治体主催の無料参加できる税金・不動産・確定申告相談会などを利用するのも手だ。