不動産の証券化と証券化投資

Jリートに潜むリスクと対応するための処方箋とは!?

Jリートは不動産に投資する手法の1つで、不動産そのものに投資する現物投資や投資資金を小口化した小口化投資とは異なり、不動産を証券化した証券化投資のため投資資金も小口であり換金性が高くメリットも多い(詳細はJリートのメリットとデメリットを参照)。ただ、デメリットと重複する項目もあるが、Jリートには隠れたリスクがいくつもある。

代表的な5つのリスクに、価格変動リスク・金利リスク・流動性リスク・信用リスク・不動産リスクがある。

まず、リスクの代表格として「価格変動リスク」が挙げられる。リートは基本的に組み入れられている不動産価格・需給関係・分配金(利回り)の影響を受ける。さらに、株式市場と同じく景気動向・投資マインドにも影響を受ける。企業業績と不動産価格は無関係にも見えるが、株式市場が景気悪化を懸念して下落した場合、それに伴ってオフィス需要の低下、安い物件への引越しが発生する可能性がある、と考えればリートが株式と同じタイミングで下落することにも納得がいくだろう。もちろん、不動産まで影響が出ない程度のショックであれば株式に対してリートは堅調という場面も間々ある。

ここで注意したいのは、長期投資で分配金(利回り)を重視しているため、日々の値動きは無関係と考えてしまう人がいることだ。もちろん、それはそれで理屈は通っているが、先般のアベノミクス&日銀の金融緩和でJリートでも価格が2倍になったものも多い。仮に20万円のJリートが2倍になった40万円で売却して20万円の利益を得たとする。この利益は分配金に換算すれば数十年分に値する。これはこれで、数年で数十年分の利益を得たと考えれば投資としては大成功といえる。そのため、価格には週一でも月一でもチェックする必要はあるし、経済動向にも注意を払う必要がある。

その際に、予想以上に価格が下落しており、それに狼狽して売却して損失を出すのが価格変動リスクの最たるものといえる。価格が下落したときこそ、リートにおいては利回り重視だからという考え方を持つことがリスクに対する処方箋となるだろう。

次の金利リスクは、リートの母体である投資法人が、投資家から集めた資金以外に銀行などからも借入れをしているため発生する。金利上昇によって支払う利息が多額になり、結果的に投資家に支払う分配金が減額する。

Jリートの仕組み(投資法人・不動産・外部委託会社・金融機関・投資家の相関関係)

さらには利回り低下となれば売る投資家もいるため、リートの価格が下落する。金利上昇となれば国債などの債券に資金が流れる可能性もあり、相対的にリート価格が下落する可能性もある。日本は長期的に実質的にゼロ金利で、上昇する可能性は極めて低いが、万が一にも上昇するようなら最悪の事態に備えて預金に戻す(金利が上昇するなら預金の金利も僅かに上がるはず)ことが処方箋となるだろう。

次の流動性リスクについてだが、流動性が高くいつでも売買できるのはメリットではある。しかし、株式市場と同じく買値と売値が合致しなければ売買は成立しない。要は流動性が高いとはいえ、価格の板が合わずに思わぬ安値で売らされたり、売り気配でストップ安張り付きで売れないこともあるということだ。

残された信用リスクと不動産特有のリスクは少し関連するが、信用リスクでは投資法人の財務状況は元より、資産運用会社の後ろ盾となっている企業の経営が悪化すると証券がデフォルトする可能性がある。不動産特有リスクは天災による不動産の滅失(リアルエステートリスクを参照)、景気次第でテナントが退去して空室率が上昇するリスクがある。もちろん、ノウハウがあるため個人レベルでの不動産賃貸(現物投資)よりもリスクは低いが、決してゼロではない。リートの財務状況や投資している物件の地域特性、物件特性(オフィス中心か?店舗中心か?住宅中心か?)を把握しておくのが処方箋となるだろう。

以上がJリートのリスクだが、Jリートが人が利用する以上、こと日本においては人口減による需要減少も少なからず存在する。そのため医療リート(病院中心に投資)や介護施設中心のリートも存在する。これらは大勢としては妥当性があるが、収益という意味では疑問符が付くため投資する際には、資産のごく一部にしておくことが肝要だ。また、海外のリートに投資する場合には、為替リスク(円安でプラス・円高でマイナス)がある点も注意したい。もし、どの方法による不動産投資が妥当か迷っているなら、ネットや書籍だけでなくFP・銀行・証券会社などの専門家への相談や、都道府県主催の不動産相談会(不動産投資セミナー)や相続相談会なども利用するのも1つの手だ。